ダンロップモータースポーツ

SUPER GT 第8戦 決勝【レポート】モビリティリゾートもてぎ

開催場所:モビリティリゾートもてぎ

開催日:2023年11月5日(日)

 
SUPER GT 2023シリーズも最終戦となりました。タイトル争いはもちろん、最後の勝利を賭けてダンロップタイヤ装着車両が果敢なレースを繰り広げました。スタート直後から雨が降ったと思えば、強い日差しが差し込んだり、また終盤にも路面をしっかり濡らすほどの雨が降ったりなどと、全く予断を許さないコンディション。チャンピオン争いを繰り広げていたチームもコースアウトを喫するなど目まぐりしい展開となりました。ダンロップタイヤが得意とするダンプコンディションであったにも関わらず、路面温度にも恵まれず良い結果で締めくくることはできませんでした。

 
≪GT500クラス≫
予選7番手からのスタートとなった64号車Modulo NSX-GT。スタートドライバーを務めるのは伊沢拓也選手でした。確実なスタートを切った伊沢選手。心配されたウォームアップも無難にまとめ、これから追い上げを始めようとした刹那。大量のピックアップに襲われコースに留まることも難しい状況に陥ってしまいます。その後、マシンを揺さぶるなどリアタイヤについてしまったピックアップを引きはがそうとしますが効果を得られないまま苦しい展開が続きます。その後、事前からタイヤ無交換作戦を考えていたチームは25周目に伊沢選手をピットへ呼び戻します。フロントタイヤへの攻撃性が強いことからダンロップは左フロントタイヤの交換はマストであるとチームに提言。その提言を受け、左フロント1本だけを交換して太田格之進選手をコースへ送り出します。GT500のハイパワーと強烈なブレーキングを必要とするもてぎ。しかし、ペースが足りずラップダウンを喫してしまいます。想定よりも低い気温だったこともあり、このままでは厳しいと判断したチームはバックアップ用の開発タイヤを投入することを決定。40周目にピットインしタイヤ交換を行うものの、42周目にGT300車両にインを閉められてしまい追突。最終戦をリタイアで終えることなりました。

 

 
≪GT500クラス リザルト≫
優勝 #36 au TOM’S GR Supra BS
2位 #23 MOTUL AUTECH Z MI
3位 #17 Astemo NSX-GT BS
11位 D.N.S. Modulo NSX-GT DUNLOP
GT500クラス 11位
#64 Modulo NSX-GT
伊沢拓也選手
「今回、懸念していたウォームアップは上手く温められたんですが、ピックアップで大きく順位を落としてしまいました。太田選手に変わる時もタイヤ無交換作戦という奇策に出てみたんですが上手く機能しませんでした。太田選手に代わってバックアップのタイヤに交換していってみたんですが、それも難しく残念な結果になってしまいました。今年1年を振り返ると、レインタイヤの性能がとても向上してくれたこともあり、決勝でも表彰台を獲得することができたり、一発の速さがあるときもありました。なにより太田選手がその才能を十分に発揮してくれたことを嬉しく思います。来年も一歩ずつ進めるように頑張っていきたいと思います」
 
太田格之進選手
「タイヤ無交換で行ったんですが、タイヤが持たないと思い再度バックアップに4本交換することになりました。タイヤのウォームアップに苦しんでいるところをGT300の車両と当たってしまいリタイアをすることなりました。シーズンとしては後半に向けて上がったり下がったりを繰り返してきましたが、こういう終わり方で凄く残念ですがこのチームで走れたことは感謝でしかありません」
 

 
≪GT300クラス≫

予選では6台中5台がQ1を通過し、安定した速さを示したダンロップタイヤ。最終戦に気合が入りましたが、4位スタートのSUBARUのペースが悪く徐々に順位を下げると、全体的に低い路面温度に悩まされるチームが続出。そんな中、着実なレース展開でプッシュし続けた96号車が5番手にジャンプアップ。ダンプコンディションに得意なダンロップタイヤの特性を上手く活かした新田守男選手がその順位を死守し、見事ゴールへとマシンを運びました。
 

 

≪GT300クラス リザルト≫
優勝 #88 JLOC ランボルギーニ GT3 / BS
2位 #65 LEON PYRAMID AMG / BS
3位 #6 DOBOT Audi R8 LMS / BS
5位 #96 K-tunes RC F GT3 / DUNLOP
10位 #61 SUBARU BRZ R&D SPORT / DUNLOP
13位 #11 GAINER TANAX GT-R / DUNLOP
14位 #20 シェイドレーシング GR86 GT / DUNLOP
15位 #60 Syntium LMcorsa GR Supra GT / DUNLOP
16位 #10 PONOS GAINER GT-R / DUNLOP
 
GT300クラス 5位
#96 K-tunes RC F GT3
新田守男選手
「最後、来年に向けてポイントを残すレースをしなくてはいけないと思い、皆で気を引き締めながらレースに臨みました。難しいコンディションの中で高木選手もしっかりと追い上げてくれたし、チーム一丸となって戦えたレースだったと思います。車も含めてもっとタイヤに合わせこんだセッティングも必要だし、ダンロップタイヤさんももっと進化が必要なシーズンだったと思います。来年はもっといいシーズンになるといいですね」
 
高木真一選手
「予選9位から、新田選手のペースも良くて結構しっかり戦えるレースでした。後半スティントはロングドライブなったんですが、しっかりデータもあったんでタイヤもきちんとグリップしてくれました。いろんな意味でダンロップがやってきた開発と、チームのセットアップがかみ合って、いままでは鈴鹿だけが得意だったのがいろいろなサーキットで戦えるレースが多かったシーズンだったと思います。BOPでパワーを落とされたにも関わらず、なにかかあったら表彰台に乗れる順位を走れたことは良かったと思っています」
 
そんな両レースを受け、タイヤ開発責任者の安田は今回のレースをこう締めくくりました。
 

 
ダンロップタイヤ開発責任者/安田恵直
「GT500クラスに関しては、ソフト側のタイヤを用意してきたんですが想定していた路面温度よりも低かったこともあり、チームからタイヤ無交換作戦を持ちかけられ、フロントに負担がいっていることをチームに伝え、左フロントだけは交換してもらいました。太田選手の2度目のピットインはバックアップで用意したタイヤをチェックするために入ってもらいました。今年1年かけて決勝でしっかりとペースを刻めることも確認でき、テストのプロセスで改善しなくてはならないポイントもしっかり見えたシーズンでした。新しいエンジニアにも加入してもらい、大きく変わるための1年だったと思います。GT300クラスに関しても今回は持ち込みタイヤでも想定していた路面温度を外してしまったため、チームが満足するパフォーマンスを発揮できなかった部分もあると思います。他社に比べて劣る点も、逆に勝っている点もあったシーズンでした。第3戦目以降は新構造を投入し、タイヤの耐久性で非常に優れた安定性を示せたと思っています。来季はここにスピードを加えることが最重要課題だと思っています。今シーズンも皆様の熱い応援ありがとうございました。引き続きダンロップタイヤを装着するチームを応援していただけますようお願いいたします」
 

 
そして、今シーズンを終えて住友ゴム工業 モータースポーツ部長/竹内二郎は、
「最終戦、このような結果になってしまい残念ですが、中盤からは表彰台に登れました。決勝でのスピードは確認できているので、予選でのスピードが課題の年でした。予選から決勝につなげられるような性能を持ったタイヤを来期は開発していかなくてはならないと思っています。いろいろと変更点もあると思うので、きちんとその規定に沿ったタイヤを供給することを使命とし、来年も頑張っていきたいと思います。また、スピード競技でも新しいタイヤの投入などいろいろな新商品を投入し、しっかりと結果を残せました。お客様のニーズに合ったタイヤを投入できた結果だとも思っています。一年間、沢山の応援、ご声援ありがとうございました」