16年目を迎えたDIREZZA CHALLENGE(DZC)。ここ暫くは年に一度の開催となっていたが、2021年は2回のイベントを開催することになった。
その1回目は新たにスタートする企画。8月8日に初開催となるDZCのライトバージョン、DIREZZA CHALLENGE Lights(DZC-L)が幸田サーキット(愛知県)で開催された。
車検に通る範囲内とはいえ年々チューニングレベルが上がっているディレッツァ・チャレンジ。コンマ1秒を削るためにセッティングを変更したり、軽量化したりというチューニングもサーキット走行を楽しむ上での大切な要素。しかし、タイムを追いかければ追いかける程、普段使いがしづらいクルマになっていくことは避けられない事実。今回スタートしたDZC-Lは特別なチューニングをしていなくても勝負を楽しめるサーキットイベントを目指して企画されたイベントなのだ。
車両改造規則は従来のDZCに比べて改造範囲が狭く、よりノーマルに近い仕様となる。大まかなルールはナンバー付きの合法車両であることでDZCと同じだが、DZC-Lではタイヤサイズが同型式車両の最大サイズ(OPTを含む)から+1インチ、幅+20mmまでと規定。ホイールサイズは同型式車両の最大サイズ(OPTを含む)から+2Jまで(サイズダウン、インチダウンはOK)。ほかにも、ルーフの材質変更禁止。GTウイングやカナードは禁止するなど、通勤に使っている車両で遊ぼう! という車両レギュレーションになっている。
クラス分けは斬新。通常の競技では排気量や駆動方式でクラスが分けられるがDZC-Lは、例えば同じ2LでもV-TECエンジンは別クラス。また、速さを追求したスペシャルな限定車(86GRMNやMUGEN RRなど)は自動的にひとつ上のクラスに編入となる。もちろん、上のクラスに入れられてしまったら勝負にならない可能性大。しかし、大井競技長としては「高価なモデルを購入した人が大きなアドバンテージを得るのは避けたい。だからと言って折角スペシャルなクルマを手に入れたというのに仲間外れにするわけにはいかない」という考え。勝ち負け抜きで一緒に楽しもうというなら歓迎します。というスタンスなのだ。
そして、競技方式も変更。DZCが生み出した変則ノックダウン方式ではなく、セッション1とセッション2の平均タイムで争われる。これは16年前にDZCがスタートした時から採用されている競技方法だが、今回は更に、各セッションのリザルトはベストタイム、セカンドタイム、サードタイムとして記録された3周の平均タイムがリザルトとなる。つまり午前の速かった3周と午後の速かった3周の合計6周の平均タイムで競われるのだ。
クルマもドライバーも1周だけ速くてもダメ。できるだけベストタイムに近いタイムで何周も走れることが求められる。それこそが連続走行をしても熱ダレしないDIREZZA ZⅢの得意とする領域。安定したパフォーマンスを持つタイヤだけに、いかにその性能を引き出すドライビングとマシンメイクをできるかが明暗を分ける。
幸田サーキットはコーナーが連続したテクニカルなレイアウト。クリアラップを上手く取ることも重要な要素になる。15分の走行枠だと連続アタックすれば15〜16周はできるが、途中クーリング走行を挟むとなると、アタック出来るチャンスは減る。好タイムをマークするための要素が増えるということは、番狂わせが起きる可能性があるということ。どのタイミングでアタックを掛け、3周のタイムを記録するか。同じ枠のライバルとの駆け引きも勝負の明暗を左右する重要な要素なのだ。
となると、クルマはハイパワーチューニングというよりも、何周も走れるタフな性能がある方が有利。つまり、ライトチューン車であっても、腕と頭脳、状況判断によってポジションを上げるチャンスがあるイベントなのだ。
開催当日は8月のお盆休み真っ只中。日本列島には熱風が吹きすさび、最高気温は39℃。幸田サーキットはこの猛暑以上に熱い盛り上がりを見せた。
26台がエントリーしたクラス1。半数の13台がNA/NB/NDロードスター。ほかに新旧のマーチが2台。GK5型フィットが3台。ちょっと懐かしいミドシップのMR-Sが2台。他には、デミオのモータースポーツ用ベース車15MB、ZC32S型スイフトスポーツ、新型ヤリス、カプチーノ、アクセラスポーツ、そしてNOTE e-POWER NISMOも参加しているというバラエティに富んだ顔ぶれ。ドライバーもバラエティに富んでいて、ディレッツァチャレンジ常連組がライトチューンの通勤号で参戦しているかと思えば、愛車のMR-Sに初心者マークを貼って参加するDZC二世組の大学生がいたり、パドックを見ていても幅広い楽しみ方が見られるクラスだ。
20台がエントリーしたクラス2。
86/BRZが10台。2LのND型ロードスターRFが4台。NC型ロードスターが4台。アルテッツァに、KGC10型スカイライン(ハコスカ)というラインアップ。ハコスカのグレードは2000GT-X。SUツインキャブのほぼノーマル車両。幼稚園のお迎えにも活躍しているという数少ない旧車だ。アルテッツァはDZCがスタートした頃に参戦したことがある復活組だ。
もちろんハコスカやアルテッツァなども大歓迎だが、排気量によるクラス分けだとS2000やシビックタイプR の影となってしまう86/BRZとNC型ロードスターでトップ争いをしてもらいたいというのが、このクラスを設定した大井競技長の狙いのようだ。
クラス3は小排気量ターボとHONDA VTECエンジンを搭載した2WD車が対象となるクラス。ZC33Sスイフトスポーツが6台。新旧シビックタイプRが6台。ゴルフGTIが1台。アバルト595が1台。そして、S2000が3台。さらにNSXが1台。ポルシェ911(964)が1台。注目は最新FFターボのスイフトスポーツとNA VTECエンジンのFD2&FN2がどこまで渡り合うかだ。そして大井貴之競技長もクラス分けに迷ったというのが、NSXと911の高級スポーツカー。しかし、その予想は的中し、FFスポーツ勢とミッドシップのNSX、リアエンジンの911がガップリと組み合う展開になった。
クラス4は2L+4WDターボがメインとなるクラス。基本はランサーエボリューションとWRXがメインのクラスだが、WRX STIは3台。ランエボは1台。DZC-Lのレギュレーションに合致するライトチューニング車両が少ないのかもしれない。しかし、そこにGRヤリスが食い込んできた。GRヤリスは今回2台がエントリー。圧倒的に軽量なGRヤリスの走りに注目。そして4WDがもう1台、メルセデスAMG A45。このクラスには更にFK8型シビックタイプRが2台。ポルシェケイマンS、アルピーヌA110S、そしてエントリーしていたロータスエキシージにトラブルが発生し車両変更をした三浦選手はポルシェ996GT3(社外ウイングが装着されていたためウイングを外して参戦)とクラス3からの編入組が加わりバラエティに富んだクラスになった。高級スポーツカー組が4WDターボを相手にどこまで戦えるのかが注目。「コーナーが連続するというか、横Gが消えることがない幸田サーキットでは4WDのアドバンテージは圧倒的とはならないはずだ」というのが大井競技長のイメージらしい。
新しい形のディレッツァ・チャレンジ、とても良い雰囲気でした。
今までなら勝負権が無かった車種がトップ争いをしていたり、若手が活躍していたり、車検自体は台数も車種も多く大変でしたが、エントラントの皆さんが感じた楽しさが伝わって来るイベントでした。
主催 | DUNLOP DIREZZA CHALLENGE 事務局 TEL:03-6795-5757 / FAX 03-6795-7441 受付時間:10:00~18:00(土・日・祝日を除く) E-mail:direzza@d-rights.co.jp |
運営 | 株式会社電通名鉄コミュニケーションズ D-Rights |
後援 | 住友ゴム工業株式会社 |
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