DIREZZA CHALLENGE 2022 2022.11.20

17年目となったDIREZZA CHALLENGEが11月20日に福井県タカスサーキットで行われた。昨年から開催されている兄弟イベントのDIREZZA CHALLENGE Lightsはマシンレギュレーション上、ライトチューニングのみが許されており、普段使いのマシンでエントリーしやすいため別名「通勤快速GP」とも言われている。

それに対してDIREZZA CHALLENGEは改造範囲も幅広く、普段からサーキットアタックを多くしている参加者も多いため、本気度が高い。クラスは排気量や駆動方式によって4つに分けられ、それぞれのクラスで午前に15分間のセッション1、午後に12分間のセッション2と3を行いベストタイムで順位を決める。各クラスセッション1の上位勢はシード権を獲得してセッション3に進むことができる。シード権を獲得した場合、セッション2で走行する必要がないためタイヤを温存できるが、セッション3はセッション2の直後に行われる。そのためシード権を獲得していない状態でセッション3を走る場合、ウォームアップが完了したタイヤでいきなりアタックができるという利点もある。それゆえに、上位を狙うマシンはセッション1であえてシード落ちをして、セッション2を走行するという戦略を取る場合もコンディションによってはある。

タカスサーキットは全長約1.5㎞で、コース図を見ると性格の似ている大小のヘアピンコーナーが組み合わされた単調なミニサーキットに思えてしまうかもしれない。しかし、実際に走ってみると複合コーナーが多く、コース終盤は約370mのバックストレートからの高速コーナーが構えており、度胸とテクニックが要求されるコースとなっている。

イベント当日、午前中は前日深夜から降り続いていた雨によりウエット路面となっていたが、昼頃から雨が止み始め午後のセッションはドライ路面に移り変わっていくという難しいコンディションとなった。このコンディション変化にどのように対応していくか、そしてこのコンディション変化をどのように予想して戦略を立てていくかが今回のDIREZZA CHALLENGEのキーポイントとなった。。

大会ダイジェストムービー

Class 1

クラス1には11台がエントリー。例年EK9やEG6といったホンダ1.6L VTEC勢が表彰台常連となっていて、そこにどこまでZC33スイフトスポーツが食い込むか?となっているクラス1の上位陣だが、今回ホンダ勢はEK9 1台のみ。参戦最多車種となったのは86/BRZ(先代)の4台で、続いてZC33スイフトスポーツが3台エントリー。そのほかには、カローラランクス、スターレット、NBロードスターがそれぞれ1台ずつエントリー。新旧のFRとFFが入り乱れるクラスとなり、ウエット路面から徐々に乾いていくという一日のコンディション変化の中、電子制御の有無や駆動方式の違いが戦略やタイム変化に表れるバトルとなった。

セッション1

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 クラス1のセッション1はAクラスとBクラスに分けられ行われた。このセッション1において両クラス総合で5位以上になったマシンがシード権を得て、セッション2をパスしてセッション3に進むことが出来る。練習走行とは逆でB クラスから走行開始。10:25にゼッケン6~11のマシンがコースインした。まだ雨が強く降る中での走行開始となり、タイヤのウォームアップからか連続アタックを行ったマシンのタイム更新が目立つセッションとなった。
序盤からアタックをしていた中で、ひとまずトップに付けたのは1‘10,393を記録した梅野スイフトスポーツ。しかし、残り3分を切ったタイミングで尾崎スイフトスポーツが1‘09.863を記録しトップへ浮上。3位には1’11.068を記録した外岡スイフトスポーツとなり、B グループは上位3台をZC33スイフトスポーツが独占する形となった。そして4位に着けたのは「打倒スイフトスポーツ」を掲げる青山スターレット。電子制御は一切装備されおらず、ショートホイールベースでピーキーなマシンであるスターレットにとって難しいハードウエットのコンディションの中、1’11.661を記録した。続いてゼッケン1~5のAグループがコースイン。早めにアタックをかけて会場を沸かせたのは古山田86。始めに1’13.019を記録すると次のラップで1’12.029、更に次のラップで1’10.602を記録し、シード権を獲得。なお、Aグループでは古山田86が唯一シード権を獲得した。Aグループ2位には1‘12.435で佐々木86、3位には1’14.686で中川NBが付け、AグループはFR勢が上位を占めた。表彰台常連であり、「今年こそは優勝!」を目標に掲げている藤坂EK9は練習走行でトップタイムを記録していたが、セッション1は規定周回のみをこなして早々にピットイン。これはセッション2で既にウォームアップが完了した状態でセッション3を走り、セッション3でウォームアップが必要なシード勢よりも優位に立とうという作戦である。終日ドライならば別の作戦を取ったかもしれないが、ウエット路面を加味して藤坂EK9はこの作戦を決行した。

セッション2

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 昼休みを挟んで、13:00からコースインとなったクラス1のセッション2。6台のマシンで争われ、セッション3へと駒を進めることが出来るのは上位5台となる。午前中に降っていた雨は上がり、時間と共に路面が乾いていくコンディションとなった。

悲願の優勝に燃える藤坂EK9はセッション序盤で1’09.538を記録し、このセッショントップに付け、そのまま連続アタックを実施し1’09.482へタイムを更新。そのままトップでセッションを終えた。そのほかのマシンも路面コンディションの回復とタイヤのウォームアップが相まってか、連続アタックを多めに行ったマシンが周回していくごとにタイムを更新していく様子が多く見られた。2位には1’12.029で前川BRZ、3位には僅か0.068秒差で室井BRZ、4位はなんと0.016秒差という僅差で佐々木86が付ける結果となり、セッション2は3台の86/BRZが僅差で争う結果となった。

そしてこのセッションで会場を沸かせたのがセッション3に進むカットライン争いだ。連続アタックでタイムを更新し続ける中川NBに対して、追いすがる渡部ランクスという形で「どっちがセッション3へ進むのか?」と会場が注目していた。最終アタックラップで渡部ランクスがブレーキングミスをしてしまい、旧世代の1.8L対決は中川NBに軍配が上がる形となった。

セッション3

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セッション3はセッション2終了直後に行われ、13:15にコースイン。路面はライン上が乾いてきているという状況。「こういった状況では空気圧をどこに合わせるかが難しい、既に暖まった状況となっている非シード勢は、温間での調整がしやすいから有利になるかもしれない」と大井競技長。

セッション序盤でトップタイムをマークしたのは1‘09.533を記録した藤坂EK9。それに1‘09.789を記録した梅野と1‘09.954を記録した外岡という2台のスイフトスポーツが追いかける展開となる。EK9とスイフトスポーツの一騎打ちになるかと思われたが、残り3分のタイミングで打倒スイフトスポーツを掲げる青山スターレットが1‘09.637を記録し、暫定2位へとポジションを上げ、EK9とスイフトスポーツにスターレットが割って入る形となった。

しかし、終盤のアタックで外岡スイフトスポーツが1’09.295を刻み2位となる。その直後、梅野スイフトスポーツもタイムを更新し2位争いはスイフトスポーツ2台となる。両車連続アタックをして、最終的に1’08.360で梅野スイフトスポーツが2位、1’08.768で外岡スイフトスポーツが3位となった。

優勝は序盤でトップタイムをマークし、その後もタイムを更新し1’07.503とクラス1唯一の7秒台を記録した藤坂EK9で、参戦3年目で悲願の初優勝となった。藤坂EK9はこれまで参戦初年度が3位、2年目が2位とあと一歩のところで優勝を逃していたため、今回の優勝はまさに悲願の優勝であった。「優勝できて本当に嬉しい。ここに立てたのは協力してくれた皆のお陰」とコメントし、暫定表彰式では感極まり涙ぐむ様子も見られた。

Class 1 総合結果

順位ドライバーエントリー車名型式エリアタイムGap
練習走行セッション1セッション2セッション3
1藤坂 直樹テックワールドEK9EK9岡山県1:10.6521:26.3751:09.4821:07.503
2梅野 健太スイフトスポーツ R/TZC33S神奈川県1:11.3131:10.393シード1:08.3600.857
3外岡 佑一とのZC33S@ベイベー!軍団ZC33S茨城県1:11.3881:11.0681:08.7680.408
4青山 慎志スイフトスポーツ R/TEP91愛知県1:11.7761:11.6611:09.3810.613
5古山田 竜也サロンこやまーるEg☆ラズ86ZN6愛知県1:13.9801:10.6021:09.5300.149
6尾崎 光義トトまる スイスポでぼちぼちZC33S愛知県1:11.3151:09.8631:10.1500.62
7前川 尚司ラズ☆前川自動車BRZZC6石川県1:11.9451:15.4951:12.0291:10.1860.036
8宝井 郁弥RZ&前川自動車BRZ影武者ZC6石川県1:13.9901:13.2641:12.0971:10.4720.286
9佐々木 喜庸史テックワールド86ストリート号ZN6大阪府1:13.7871:12.4351:12.1131:11.1340.662
10中川 雅義ロードスター NB8CNB8C石川県1:17.3251:14.6861:13.1431:12.5441.41
11渡部 秀馬ストラダーレ ランクスZZE123岐阜県1:17.8791:16.1181:14.820
12藤田 成紀みだれあしBIL RZロドND5RC愛知県DNS

 

Class 2

クラス2には8台がエントリー。このクラスでの主力はS2000やFD2といった2.0L以上のVTECマシンたち。今回のエントリーマシンの中で最多車種となったのはS2000で3台、その他ホンダVTEC勢はFD2、FN2の歴代シビックがそれぞれ1台ずつエントリーしたほか、プレリュードもエントリーした。ホンダVTEC勢はハードなチューニングを施したマシンも多い中、それぞれ1台ずつの参戦となったZ33とGR86は比較的ライトチューンのマシンがエントリー。正木GR86はDIREZZA CHALLENGE Lightsでタイムアタックイベントにハマり、Lights仕様のままエントリー。大笹Z33も「ライトチューンなので順位は期待していない、目標は自己ベスト更新!」と大会への意気込みを語っていた。こういったアプローチで参戦出来るのも、DIREZZA CHALLENGEの良いところと言えるだろう。

セッション1

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 クラス2のセッション1は10:57よりコースイン。参戦する全8台がアタックをし、上位3台がセッション2をスキップしてセッション3へ進めるシード権を獲得できる。セッション中雨が弱まる場面も一瞬あったものの、クラス1と同じようにウエット路面でのセッションとなった。

各マシン序盤のアタックを終えたところでトップタイムをマークしたのは山本FD2で、タイムは1’13.367。しかし、そのタイムを記録した直後の1コーナーでオーバーランしてしまうが、大事には至らずコースに復帰。復帰後もアタックを重ね最終的には1‘12.994までタイムを更新し、このセッションでトップタイムを記録したままチェッカーとなった。2位に付けたのは武藤S2000で、山本FD2とは僅か0.041秒差の1’13.035であった。シード権を獲得ラインの3位に食い込んだのは1‘13.390を記録した大笹Z33。タイヤのウォームアップに苦労したと語っており、セッション後半でのベスト更新となった。

Lights仕様の正木GR86は果敢に連続アタックを行い、チェッカーと同時にベストを更新し1‘14.659をマークするが、4位となりシードまで一歩届かなかった。

練習走行でトップタイムを記録した加藤S2000は最低周回のみをしてピットイン。減衰力のチェックを行ったそうだが、セッション3でタイヤがウォームアップした状態からスタートするためにセッション2をあえて走るための作戦でもあった。その証拠としてセッション1の後に話を聞くと、「今日は2秒差を着けて優勝します!」と語っていた。

セッション2

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 セッション3は13:40から5台がコースイン。ここからセッション3に進めるのは3台。昼休みを挟み雨が上がったこともあり、路面コンディションは回復傾向となった。また、直前に行われたクラス1のセッション2・3の走行により、ライン上は大分乾いてきた印象となった。

このセッションで序盤から会場を沸かせたのは加藤と井上の2台のS2000だった。最初のアタックで井上S2000が1’07.445、加藤S2000が1’07.486といきなり7秒台を記録すると、2台は次のラップも連続アタックでタイムを更新。井上S2000が1’06.589、加藤S2000が1‘05.425を記録し、加藤S2000が逆転。次のラップで井上S2000は1‘05.700を記録し両車5秒台のハイレベルなタイムアタック合戦を展開。しかし、セッション終盤で加藤S2000が1’04.680とこのセッション唯一の4秒台を記録し、このセッショントップでチェッカーとなった。

そして、このセッションでは正木GR86と岩田FN2もセッション3に進むカットライン争いで会場を沸かせた。終盤で1‘10.473を記録し3位となった正木GR86だったが、すぐに岩田FN2が1‘09.957を記録しポジションを取り返す。このアタックラップを最後に岩田FN2はアタックを終えてしまうが、正木GR86は諦めずにチェッカーを受けるまでアタック。路面コンディションが徐々に回復していく中この粘り強さが功を奏し、チェッカーを受けると同時に正木GR86は1‘09.489を記録し、3位のポジションを取り返した。Lights仕様ながら粘り勝ちでセッション3へ駒を進めることに成功した。

セッション3

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 13:55からコースインしたセッション3。このセッション序盤はセッション2と同じく、井上と加藤の2台のS2000のタイムアタック合戦によるトップ争いが展開された。まず、最初のアタックで加藤S2000が1‘04.020、井上S2000が1’04.766を記録。この2台だけが4秒台を記録し、3位以下を一気に突き放した。そこから一歩進んだのが加藤S2000だった。セッション半ばで1‘03.333を記録し、唯一の3秒台をマーク。井上S2000はなかなかクリアラップが取れず、終盤でなんとかクリアラップを得てタイムを更新するも1‘04.568に留まった。その間にも加藤S2000はタイムを更新し、最終的に1’03.150で優勝を勝ち取った。

表彰台をかけた3位争いも白熱。ここでタイムアタックバトルを演じたのは大笹Z33と武藤S2000の2台。1‘06.773で3位に付けていた大笹Z33であったが、セッション終盤で武藤S2000が1’06.625を記録し3位のポジションを得る。しかし、連続アタックを成功させた大笹Z33が1‘06.166を記録し3位を取り返す。大笹Z33はアタックを続け、チェッカーを受けながら1‘06.095へとタイムを更新した。

優勝した加藤S2000は「普段Sタイヤを履いているマシンにZ3を履かせての参戦となったので、セッティング面で苦労した点もあった。しかし、Z3は新品からのタレ幅が少ないため、様々なセッティングを試すことが出来た。それが今日の優勝に繋がったと思う」とコメントしていた。

Class 2 総合結果

順位ドライバーエントリー車名型式エリアタイムGap
練習走行セッション1セッション2セッション3
1加藤 浩司かとぴょん♪S2000AP2福井県1:09.3601:34.4101:04.6801:03.150
2井上 湧太RzFactory s2000AP1愛知県1:09.6571:31.5861:05.5481:04.5681.418
3武藤 海空ストラダーレs2000AP1愛知県1:13.0211:13.035シード1:06.0951.527
4大笹 繁ファントム AZUR ☆Z33Z33石川県1:14.1121:13.3901:06.1660.071
5山本 拓ヤマモトFD2FD2石川県1:12.9901:12.9941:07.7371.571
6正木 伸篤アライメントだけGR86ZN8愛知県1:16.1041:14.6591:09.4891:08.1770.44
7岩田 純治Rz-F七転八倒シビックFN2愛知県1:13.1651:21.9511:09.957
8山本 訓生プレリュード@やんまん号BB4愛知県1:17.5641:17.4991:13.164

 

Class 3

8台がエントリーしたクラス3。2001㏄以上の過給機付きRWD車が対象となるこのクラスは長年FD3Sとシルビアの争いとなっていた。しかし、近年はロータスやポルシェなどの外車勢も上位に食い込む活躍を見せている。今回はS15シルビアが2台、S14が1台、FD3Sが2台と国産ターボFRが合計で5台。それに対してロータスエキシージ、ポルシェ718ケイマンS、アルピーヌA110Sの3台のヨーロッパスポーツが対抗する構図となった。国産ターボ勢は電子制御が乏しく、ターボラグも大きいためハードウエットではピーキーだが、軽量かつハイパワーを武器にして戦い。対するヨーロッパスポーツ勢は電子制御と新しい設計からくるメカニカルグリップの高さを武器にして戦う戦いとなり、それぞれの戦法が分かれる形になった。

セッション1

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 セッション1は11:13にコースイン。午後に向かって雨が弱まり止む予報ではあったものの、一瞬止んだ雨は再び降り始め、クラス1・2と同じく依然としてウエット路面でのセッションとなった。エントリーした8台全車がコースインし、この中から上位3台がセッション2をスキップしてセッション3へ進めるシード権を獲得できる。

セッション序盤でトップタイムをマークしたのは練習走行でも1番時計をマークした三浦エキシージでタイム1‘09.252。続いて2位に渡邊A110Sが1’10.307を記録。国産ターボ勢はこのセッションでは好タイムをマークしないかとも思ったが、セッション中盤に海老FDが1‘10.522を記録。

セッション後半になると雨は止んできたものの、依然として路面コンディションはウエット。他のクラスのセッションを見て、セッション終盤に連続アタックを行った方が、タイムが出ると考えたマシンが多かったのか、残り5分を過ぎたあたりから各マシンのアタックが頻繁に行われていた印象であった。その中でセッション中、終始安定して連続アタックをしていた田谷ケイマンSが残り3分のタイミングで1‘09.640をマークし、2位へポジションアップ。3位には1’09.643で渡邊A110Sとなり、2位に僅か0.003秒及ばない形となった。終始トップでセッションを走り切った三浦エキシージはチェッカーを受けながらベストを更新し、1‘08.278を記録。このセッション唯一8秒台となった。

各マシン、比較的ヘビーウエットなコンディションになったセッション1に対して、セッション2・3は天候の回復から路面がドライ傾向になると予想。そこから雨の方が有利と考えていたヨーロッパスポーツ3台は全力でシード獲得に向けてアタックしたとのこと。それに対して国産ターボ勢は全マシン共通ではないものの、午後のドライ傾向の路面を願ったのと、タイヤのウォームアップが完了した状態でセッション3を走行するために、あえてセッション2を走るためにシード権を獲得しないマシンが多く見られた。マシン特性の違いが戦略に表れたセッション1となった。

セッション2

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 14:16に5台がコースインしたセッション2。ライン上はほぼドライとなり、ブレーキロック時にはタイヤスモークが上がるほどの路面コンディションとなった。ここからセッション3に駒を進めることが出来るのは上位3台となる。セッション2は3台のシルビアと2台のFD3Sで争われ、奇しくも国産ターボ勢オンリーの争いとなった。

セッション序盤、最初に好タイムを記録したのはクラス3表彰台常連の海老FDでタイムは1‘04.453。しかし、その直後に寺浦S14が1‘03.952を記録し、暫定トップとなる。ここから連続アタックによるタイムアタック合戦となるのが当日のタカスサーキットの流れであったものの、クラス3のセッション2は様子が違った。ドライ路面になってきたのと、各マシンがハイパワーターボという理由からクーリングラップを挟むマシンが多く見られた。クーリングラップを挟んで海老FDはタイムを更新し1‘02.889を記録し暫定トップに、それを追いかける形で直後に寺浦S14も1’03.081をマークして2位で詰め寄る。海老FDは更にタイムを縮め、残り2分の段階で1‘02.328を記録。このタイミングで海老FDと寺浦S14はアタックを止め、セッション3に備えてピットへ戻り空気圧調整を実施した。

そんな中、粘りのアタックを見せていたのが塩出S15であった。当初セッション3への権利を得られる3位に付けていたのは、1‘05.421を記録していた中田S15。中田S15はセッション終盤に更にタイムを短縮し1’04.588を記録する。しかし、塩出S15はチェッカーを受ける最後までアタック。チェッカーと同時に1‘04.588を記録し3位にポジションを上げ、見事セッション3へと駒を進めた。

セッション3

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 14:31にコースインとなったセッション3。このセッションではセッション2よりもドライ路面のポイントは増えていて、後半になるにつれ路面コンディションが回復するため、目まぐるしくトップタイムが入れ替わり、最後までどのマシンが優勝するか分からないという展開となった。

最初のアタックを終えたタイミングでトップタイムを記録したのは、渡邊A110Sでタイムは1‘03.561。しかし、その直後セッション2トップの海老FDが1’02.704を記録し、暫定トップとなる。それを許さなかったのがセッション1をトップタイムで終え、シード権を獲得した三浦エキシージだ。連続アタックを開始すると2周目で1‘02.574を記録し、トップに躍り出る。

ここからは海老FDと三浦エキシージのタイムアタック合戦となった。アタックラップを終える度に海老FDと三浦エキシージでトップが入れ替わるという展開に。この2台だけが2秒台を記録するかと思われたが、寺浦S14もラスト3分というタイミングで1‘02.921を記録し、上位3台が2秒台をマーク。

セッション終盤、海老FDが1‘02.454を記録しトップとなり、その直後にアタックラップから帰ってきた三浦エキシージが記録したタイムは1‘02.463。その差僅か0.009秒差。そこから更に海老FDはタイムを更新し1‘02.418を記録して、三浦エキシージを引き離した。これで勝負が決まったかと思ったが、ラストラップで三浦エキシージが1’02.246を記録し、チェッカーと同時に逆転でトップへ浮上。優勝を勝ち取った。この終盤のアタック合戦を見た大井競技長は「最後までタイムが落ちないZ3らしい見ごたえあるバトルだった!」とコメント。

優勝を勝ち取った三浦エキシージは「国産ターボ勢に比べるとパワー的に劣ると思うので、ドライ路面になって正直諦めた場面もありました。優勝できてよかったです。優勝ももちろん嬉しいのですが、身内のライバルである渡邊さん(A110S)に勝てたのが何よりうれしいです」とコメントしていた。

Class 3 総合結果

順位ドライバーエントリー車名型式エリアタイムGap
練習走行セッション1セッション2セッション3
1三浦 茂人MURA エキシージ380愛知県1:08.9441:08.278シード1:02.246
2海老 一輝ストラダーレ RX-7FD3S岐阜県1:11.7221:10.4861:02.3281:02.4180.172
3寺浦 裕哉テラレーシング S14銀S14岡山県1:09.9671:16.9101:03.0811:02.6780.26
4渡邊 千尋TOLAP’ A110SDFM5P石川県1:10.3041:09.643シード1:02.8340.156
5田谷 正樹spacelionケイマンS718石川県1:11.4691:09.6401:03.9401.106
6塩出 尚久テラレーシングs15シオデS15愛媛県1:14.7211:11.8001:04.5881:03.9840.044
7中田 太初シルビアs15S15和歌山県1:12.5081:11.8271:04.898
8川口 修司スエマツダRX-7Rz-FFD3S愛知県1:15.7801:17.6781:07.616

 

Class 4

ランサーエボリューションやWRX STIなどの排気量2001㏄以上の4WDが対象となるこのクラス。長年ランエボVSインプレッサWRX系といった構図だったが、近年はこの戦いにGRヤリスも加わってきている。当初3台のエントリー予定であったクラス4だが、前日のDIREZZA DAYでアクシデントがあったため、2台のみとなった。ハイチューニングの武内ランサーと、Lightsに参戦したマシンを同じライトチューンのマシンを持ち込んだ水山WRXという2台が出走した。通常であれば、上位1台がセッション2を走行せずにセッション3へ進めるシード権を獲得するものの、今回は全車が全てのセッションを走行することとなった。

セッション1

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 セッション1は11:29にコースイン。一瞬日が差した時もあったものの、再び雨が降ってきており、他のクラスと同じく相変わらずのウエット路面でのセッションとなった。

他のクラスの走行を見て、午前のセッション1は連続アタックがタイム更新のカギとなると考えたのか、2台とも計測1周目から果敢にアタックを開始。武内ランサーは最初のアタックラップで1‘07.361を記録すると、5周目には1’06.765、9周目1‘06.248を記録。最終ラップでもアタックをするが、タイム更新とはならなかった。この9周目のタイムはオーバーオール(全クラス)のセッション1の中で、トップタイムであった。路面コンディションの回復などもあったものの、ウエット路面という状況下でトップタイムを記録するあたりは、流石4WDといった具合であった。

水山WRXもセッション中、終始果敢にアタック。最初のアタックで1‘10.993を記録すると、そこから連続アタックを実施。セッション終盤にコースコンディションが掴めてきたようで、6周目に1’09.614、8周目1‘09.544、9周目1’09.267とタイムを更新していった。

セッション2

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 14:51にコースインとなったセッション2。午後から雨が止み、クラス1~3がセッション2・3を行った後ということもあり、ライン上はほぼドライ路面といえるコースコンディションとなったいた。

最初のアタックで武内ランサーは1‘02.022を記録。水山WRXはツッコミ過ぎからか、スライドしてしまうが、4WDらしいゼロカウンターのスライド走法でこれをリカバー、1‘04.808を記録して、当日の自己ベストを更新した。

2回目のアタックで武内ランサーは1‘01.202を記録、水山WRXは武内ランサーの後ろに付いて、ラインをコピーしつつスリップストリームを活用するような形で、タイムを更に更新し1’03.893をマークした。

セッション終盤、僅かながら雨がチラついてきたものの、セッション2に関しては大きなコンディション変化を及ぼすものではなかった。

セッション3

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 15:04コースインとなったセッション3。セッション2の終盤で降り始めた小雨は依然として降っているものの、ベストタイムを更新するのであれば、早めにタイムを出した方が吉と言えそうな雰囲気であった。

最初のアタックで武内ランサーは1‘03.257を記録。クーリングラップを挟みつつも、2回目のアタックで1‘02.595、3回目のアタックで1‘02.219と徐々にタイムを短縮していった。セッション終盤には雨が止んだものの、セッション2と比べるとセッション3のコースコンディションは悪いと言える状況だった。当日のベストタイム更新とはいかなかったものの、武内ランサーは最終アタックで1’01.707を記録。「このコンディションで1秒台は素晴らしい!」と大井競技長も驚いていた。

水山WRXも最初のアタックで1’10.558を記録すると連続アタックを実施し、1‘05.104を記録。3回目のアタックでは1‘04.968を記録した。最終ラップで、コース前半を綺麗にまとめ上げ、セッションベスト更新かと思われたがコース後半でスローダウンしてしまい、セッション3での走行を終えた。マシントラブルかと心配されたが、原因はガス欠。参加台数2台という中で、マシンスペック的にも優勝は難しい水山WRXであったが、軽量化のためにギリギリまでガソリン量を攻めてセッションに挑むその姿はタイムアタッカーらしい懸命さが伺えるものがあった。

優勝した武内ランサーは「久しぶりの表彰台で優勝することが出来て嬉しい。今回マシンチェンジをしたこともあり、レギュレーションに合致させるために苦労した面もあった。協力してくれた人たちに感謝したい」とコメントしていた。

Class 4 総合結果

順位ドライバーエントリー車名型式エリアタイムGap
練習走行セッション1セッション2セッション3
1武内 浩樹TS-S TOLAPランサーCT9A愛知県1:06.4731:06.2481:01.2021:01.707
2水山 健史エム・スポーツWRX STIVAB富山県1:09.0211:09.2671:03.8921:04.9683.261
3石原 賢二ZEAL☆AZUR☆ランサー紅CT9A愛知県DNS

 

競技長特別賞 正木伸篤選手

 

技術委員長特別賞 山本訓生選手

 

最多Lap賞 水山健史選手・塩出尚久選手

 

DIREZZA ZⅢ争奪じゃんけん大会 中川雅義選手

 

Wedsアルミホイール争奪じゃんけん大会 佐々木喜庸史選手

 

Wedsディレクターチェア争奪じゃんけん大会 川口修司選手

 

熊倉車検委員長のコメント

天候や路面コンディションが色々と変わって、皆さんクルマのセットアップが大変だったと思います。そんな中でも、皆さんがご自身や仲間たちと様々なアプローチで、このコンディション変化に立ち向かっていく姿を見ていて感激しました。また、このイベントが開催される時に参加して下さると嬉しいです。今日は良い一日になりました。ありがとうございました。

大井競技長のコメント

皆さん、お疲れ様でした。30台で行われる「DIREZZA CHALLENGE」は開催当初ぶりくらいになると思うので、15年ぶりくらいになると思います。そんな中、盛り上がるかなと心配していた面もあったのですが、皆さんにすごいバトルを見せてもらい、感動しました。そしてコンディション変化に対して、見事に合わせてくる様子も素晴らしいと思いました。このイベントを来年以降も続けていきたいと思いますので、「DIREZZA CHALLENGE Lights」共々、よろしくお願いします。皆さんどんどん参加してください!

協賛各社

 

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TEL:03-6795-5757 / FAX 03-6795-7441
受付時間:10:00~18:00(土・日・祝日を除く)

E-mail:direzza@d-rights.co.jp

運営株式会社電通名鉄コミュニケーションズ D-Rights
後援住友ゴム工業株式会社

 

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