ダンロップモータースポーツ

SUPER GT 第3戦 決勝【レポート】鈴鹿サーキット

開催場所:鈴鹿サーキット

開催日:2023年6月4日

 
 公式テストで確かな手応えと、新しいタイヤを持ち込んだSUPER GT第3戦鈴鹿。ダンロップタイヤは今大会、GT500クラス、GT300クラスの両クラスで新たな試みを施したタイヤを投入しました。決勝で高いレースペースを発揮できるタイヤを用意。得意な鈴鹿での今季初表彰台を狙います。事実、レース直前に行われるウォームアップ走行では、64号車(Modulo NSX-GT DUNLOP)の太田格之進選手が常にトップタイムを維持し続け、次にステアリングを託された伊沢拓也選手も39号車に次ぐ全体2番タイムでマークしました。
 
 台風一過の晴天の中、開催されたレースはスタートから波乱含みの展開。GT500クラスではいきなり上がってしまった路面温度に苦しみます。徐々に順位を落とすも、後半になるとペースを回復。第2スティントになると空に雲がかかり路面温度が10℃以上下降します。すると太田選手はさらにペースメイクに苦しむことに…。伊沢選手へドライバー交代を行うと、フロントタイヤにソフト側のタイヤを装着してコースに復帰。低くなった路面温度にはまったタイヤでペースを取り戻します。しかし、130Rからシケインにかけて3台の車両が絡む大クラッシュでレースは赤旗中断。安全面を考えオーガナイザーは赤旗を持ってレース終了を宣言。この結果64号車は14位でレースを終えました。
 
 一方、予選トップ3を独占したGT300クラスは見ごたえのある展開に。スタート後すぐにタイヤ交換を行い、裏側でレースを組み立てた車両がトップ争いを演じます。しかし、61号車スバルBRZと11号車ゲイナーGT-Rがこれを追走します。ダンロップ同士のバトルは11号車がオーバーカットに成功。すると、11号車をドライブする富田竜一郎選手が絶妙なブロックラインでポジションキープに成功します。タイヤの摩耗に苦しむトップ勢を2台で追走。さらに60号車がこれに続き、明らかにトップを上回るペースで追いかけます。最終盤にはトップ争いが繰り広げられるかと思いましたが、前述したクラッシュで59周目に赤旗中断のままレースは終了。ダンロップ最上位の11号車は今季初の表彰台を目の前にしながらも悔しい5位でレース終了となりました。
 
≪GT500クラス≫
優勝 #19 WedsSport ADVAN GR Supra YH
2位 #36 au TOM’S GR Supra BS
3位 #1 MARELLI IMPUL Z BS
14位 #64 Modulo NSX-GT DUNLOP
 

 
 

GT500クラス/14位
#64  Modulo NSX-GT
中嶋悟監督
「レースペースが足りない…。そのひと言につきるかな…。という感じです。タイヤも発動したり発動しなかったりと…。とにかく改善していかなくてはいけないですよね。次も頑張ります」
 
伊沢拓也選手
「太田選手のスティントは非常に厳しい感じでしたね。接触もありましたけど、それがなくても良い状態ではなかったですね。僕のスティントはタイヤを変えて行ったんですが、基本的な症状は変わらなかったですね。予選からスピードがあって、期待していた分、残念なところもありますが、インターバルもあるので次戦までにはしっかり立て直したいと思います」
 
太田格之進選手
「39号車が止まれずにぶつかってきた接触が非常に悔やまれますね。ポジションこそ落としましたが、第1スティントの後半からはペースは改善し、前にしっかりついていけました。しかし、第2スティントではいきなり下がった路面温度にタイヤがついていけなかった感じですね。しかし、このレースでGT300との混走をどう処理するかなど、多くの学びもありました。次戦以降もこの経験を活かしてひとつでも上位を狙っていきたいと思います」
  

 

  
≪GT300クラス≫
優勝 # 7 Studie BMW M4 MI
2位 #2 muta Racing GR86 GT BS
3位 #52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT BS
5位 #11 GAINER TANAX GT-R DUNLOP
6位 #61 SUBARU BRZ R&D SPORT  DUNLOP
7位 #60 Syntium LMcorsa GR Supra GT DUNLOP
8位 #10 PONOS GAINER GT-R DUNLOP
10位 #20 シェイドレーシング GR86 GT DUNLOP
22位 #96 K-tunes RC F GT3 DUNLOP
 
 
GT300クラス 5位/#11 GAINER TANAX GT-R
富田竜一郎選手
「第1スティントで石川選手がちょっと集団につかまってしまい56号車に先に行かれてしまいましたが、僕らのペースなら表彰台はもちろんトップも狙えると思っていたのでちょっと悔しいですね。でも、大きな事故にも関わらずドライバーの命が無事だったことは嬉しく思います。レースは5位でしたが、ダンロップさんと7年近くレースをやってきて最も良い構造のタイヤを開発してくれたと思っています。後半戦に向けて非常に良い手応えを得れたので、ここで腐らずに前を向いて次戦以降もしっかり戦いたいと思います」
 
石川京侍選手
「スタートが2番手だったので、優勝を狙いたかったんですが、JAF-GT勢がタイヤ交換1回という奇策できたので、それをひっくり返すことができませんでした。特に富田選手のペースが良かったのでちょっと悔しいですね。ただ、ドライバーみんなが無事だったのが本当に良かったです。ただ、スバルについていけず、差をつけられたのが悔やまれます」
 
塩津佑介選手
「最初SCが入ってしまったのが残念でしたが、このままいけば追いつくんじゃないかと思ってみていました。ただ、クラッシュしたドライバー皆さんが無事だったのが救いですね。僕自身、今大会マシンをドライブさせてもらいしっかりと進化のあったレースだったと思います。またチャンスがきたらしっかりと結果を出せるように準備しておきます」
 

 
そんな両レースを受け、タイヤ開発責任者の安田は今回のレースをこう締めくくりました。
ダンロップタイヤ開発責任者/安田恵直
「GT500クラスはまだ理解できていない状態で困惑しています。テストのときとあまりにも変わってしまい、持ち帰って検討する余地があると思います。第1スティントはゴムが柔らかくなりすぎてしまい、第2スティントでは10℃以上路面温度が低くなってしまいゴムが機能していないようなフィーリングでした。ただ、ゴムの配合もそんなにナーバスな仕様ではないのでこんな状況になってしまったことを、7月のオートポリスでのテストも含め、しっかりと分析しなくてはいけないと思います。一方、GT300クラスはゲイナーさんに持ち込んだタイヤは新構造かつ持ち込み配合もレースにしっかりと合わせたタイヤを用意できました。このタイヤにチームがしっかり合わせこんでくれたこともあり、トップに追いつけるだけのペースを発揮できたのは、これから後半戦に向けて良い兆しになると思っています。次戦に向けて新しい考え方を採用して、しっかりと検討した上で優勝を狙えるタイヤを用意したいと思います」
 
 しばしのサマーブレイクを置いて、次戦は8月5日-6日に富士スピードウェイで開催されます。ダンロップタイヤは引き続きGT500の中嶋レーシングを筆頭に6チーム7台にサポートを行います。これからも皆様の熱い応援よろしくお願いいたします。