ダンロップモータースポーツ

SUPER GT 第5戦 決勝【レポート】鈴鹿サーキット

開催場所:鈴鹿サーキット

開催日:2023年8月27日(日)

 
<GT500クラス>

ダンロップタイヤを装着する64号車は4番手スタート。伊沢選手が第1ドライバーを担当しました。スタートから安定したペースをキープするも、前を行く17号車から徐々に遅れる展開。さらに、15周目には38号車に1コーナーでパスされてしまいます。すると1/3となる27周目を前に続々とアンダーカットを狙うチームが現れます。64号車は27周目にピットイン。
 
ドライバーを伊沢選手から太田格之進選手へとスウィッチします。しかし、太田選手がコースに戻ると12位まで順位を落としてしまいます。しかし、それからも安定したラップを刻む64号車。35周目に1コーナーで3号車と37号車をWオーバーテイクし順位をふたつ上げ7位まで順位を戻します。
 
2回目のピットは46周目にピットへ戻る太田選手。アンダーカット組に先をいかれる苦しい展開でポジションは再び12位へ。最終的に9番手まで順位を戻しフィニッシュ。優勝を狙える位置からのスタートだったこともあり、チームには悔しさも見えましたが、ノートラブルで2日間しっかり戦えたこと、これだけ高温でもペースを落とすことなく戦えたことに対する次戦への期待が漲るレースとなりました。
 
≪GT500クラス リザルト≫
P.P. #16 ARTA MUGEN NSX-GT BS
2位 #39 DENSO KOBELCO SARD Supra BS
3位 #14ENEOS X PRIME GR Supra
9位 #64 Modulo NSX-GT DUNLOP
 

 

GT500クラス 9位
#64 Modulo NSX-GT
伊沢拓也選手
「スタート順位を考えて、落としてしまったところはあるんですが、しっかり周りと戦えたのはひとつの収穫だと思っています。順位以上に非常に収穫の多いレースでした。そろそろビッグポイントが欲しいところなので、次戦SUGOは今回のレースのようにミスなく2日間戦えれば十分に勝負できるはずです。タイヤ以外にもやれることはあると思いますので、ダンロップタイヤともチームとも力を合わせて頑張ります」
 
太田格之進選手
「4番手からスタートして、実質ひとつ順位を落としてバトンをもらいました。前戦の鈴鹿では摩耗が厳しくペースも安定させることが難しかったんですが、今回はダンロップタイヤさんもしっかりしたタイヤを用意してくれたので、上位には絡めませんでしたが良いペースが刻めました。SUGOは64号車が得意なコースということと、チームの成長が着実に進んでいること。表彰台を勝ち取れるようしっかり準備して臨みたいと思います」
 

 
<GT300クラス>

ポールポジションからスタートした61号車、そして2番手からスタートの96号車に期待のかかったGT300クラス。ソフトタイヤを装着する61号車がハイペースで後続を離していきます。9周目にFCYが入るまでトップを誇示し、後続との差をさらに広げます。しかし、前日に井口卓人選手が語っていた不安要素が顔をのぞかせます。今回、高温になることを想定はしていたものの、ここまで路面温度が上がると予想していなかったため、ソフトタイヤを装着した61号車は徐々にペースが落ちていきます。そのため、当初の作戦よりも早めのピットインを余儀なくされます。
 
山内英輝選手は17周目にピットへ飛び込むと、タイヤはギリギリの状態。山内選手はハード側のタイヤに履き替えコースに復帰します。さらにアンダーカット組にも先を越され7番手まで順位を落としてしまいます。高温側に設計されたハードタイヤを装着し快調に飛ばす山内選手でしたが、徐々に陽が傾きコースに影が落ち始めると、今度はハードタイヤの設定温度から外れはじめます。この厳しい状況にチームは最後の井口選手のスティントをロングに変更することを決断。耐久性に不安の残るソフトタイヤに対しダンロップが派遣するタイヤエンジニアは「路面温度が低くなればソフトでも必ず持ちます!」とチームに助言。この言葉をチームは信じ、コースに井口選手を送り出します。
 
47周目に復帰した井口選手は6番手でコースに復帰。そこからBRZ&ダンロップソフトタイヤは脅威のペースでトップを追いかけます。第1スティントでソフトタイヤのライフに不安を感じていたチームを、エンジニアが勇気付け、それを信じた井口選手は怒涛のオーバーテイクショーを披露。57周目に起こった2度目のFCY開けに2号車をパス。さらにその前を行く88号車もパス。トップまで7秒に迫ると毎周1秒近くギャップを詰める快走でトップを追いかけますが時すでに遅し…。ここまで苦しいレースが続いていた61号車は3位でフィニッシュ。表彰台の一角を勝ち取りました。

 

≪GT300クラス リザルト≫
優勝 #18 UPGARAGE NSX GT3/YH
2位 #87 Bamboo Airways ランボルギーニ GT3/YH
3位 #61 SUBARU BRZ R&D SPORT/DUNLOP
8位 #96 K-tunes RC F GT3/DUNLOP
12位 #60 Syntium LMcorsa GR Supra GT/DUNLOP
13位 #10 PONOS GAINER GT-R/DUNLOP
15位 #11 GAINER TANAX GT-R/DUNLOP
18位 #20 シェイドレーシング GR86 GT/DUNLOP
 
 
GT300クラス 3位
#61 SUBARU BRZ R&D SPORT
井口卓人選手
「チーム全員で考えた作戦で、その中でダンロップタイヤさんと選んだタイヤで、僕らが最大限できるレースをやれて満足しています。僕のスティントはソフト側のタイヤで不安もあったんですが、気温が落ちてくれれば走れると思っていました。走り出しから良いペースで走れました。最後の数周はバランスが崩れていく中で、コースに留まりながら前を追いかけるレースとなりました。中盤戦折り返して後半戦に入っていく中で、本当はここで優勝したかったんですが、次のSUGOはBRZ、ダンロップタイヤ、ドライバー全てが得意としているサーキットです。ここで勝たなくちゃいけないと思っています」
 
山内英輝選手
「もう少し速く走りたかったというのが正直な感想です。ただ、FCYのタイミングで前にいかれてしまったチームもありましたし、僕らは僕らのレースがしっかりできていたと思っています。最初のスティントは路面温度とタイヤのマッチングが良くなく、その後のハードももっと持つと思ったんですが、今度は路面温度が想定より低くなるのが速すぎて、摩耗も酷かったので早めのピットインとなってしまいました。次のSUGOは勝ちに行きたいと思います。自分たちの得意なサーキットでしっかり勝ってポイントを稼がないと厳しいので、ここから気を引き締めて皆で頑張りたいと思います」
 

 
そんな両レースを受け、タイヤ開発責任者の安田は今回のレースをこう締めくくりました。
 
ダンロップタイヤ開発責任者/安田恵直
「GT500クラスは良い戦いはできたと思うのですが、課題も見つかったレースでした。テストからレースへのつながりなど、改善できればもっと上で戦えることを確信できました。タイヤはハード・ハード・ハードでつないだんですが、ファーストスティントからセカンドスティントにかけても安定したペースは刻めていました。気温が激しく上下しましたが、最後少し足りない部分もありましたが、タイヤ側でもっと幅を広くできれば優勝も視野に入ると思っています。また、GT300クラスはある程度温度が上がると想定していたんですが、高温のロング性能が思うように発揮できませんでした。そういった点で反省点の残るレースとなってしまいました。61号車はファーストスティントで内圧が高くなってしまいましたが、最後のスティントはしっかりと力を発揮できたのは良かったと思っています。摩耗してきた状態でもドライバーが最後までタイヤをしっかり使い切って追い上げてくれたのでドライバーとチームさんに助けられたレースだったかもしれません。SUGOまでにしっかりと見直しをかけて準備したいと思います」