ダンロップモータースポーツ

【決勝レポート】SUPER GT 第2戦 – FUJI GT 3 Hours RACE GW SPECIAL

開催場所:富士スピードウェイ

開催日:2025年5月4日(日)

 

 非常にドラマチックな週末となったSUPER GT第2戦。会場は日本屈指の高速サーキット富士スピードウェイ。今年初となる3時間フォーマットでの開催となりました。前日の公式予選を受け、ダンロップタイヤを装着するGT500クラス64号車は10番手から、GT300クラスは777号車と61号車の2台がフロントローを独占してスタートしました。
 
 定刻から1分遅れで始まった決勝。ノートラブルで走れば550キロに迫るこのフォーマット。これをスプリントレースさながらのスピードで戦わなくてはいけません。GT500クラスはスタートを担当した伊沢拓也選手がしっかりポジションをキープします。タイヤの温まりも良く前をうかがえるかもしれないと思われた矢先、想定以上に上がってしまった路面温度にタイヤの反応が徐々に悪くなっていきます。6周目にはタイムが落ち始め、伊沢選手の守りの走りもむなしく順位を落としてしまいます。FCYが導入されると、タイヤがクーリングされ、一瞬グリップが戻る瞬間があったもののペースが大きく回復することはありません。大草選手のスティントになってもそれは変わらず。後半スティントになるほど外気温が下がり始めるとラップも安定しはじめます。第3スティントでは異なるコンパウンドのタイヤを投入しますが、これも裏目に出てしまい順位を上げることはできません。結果、64号車は13位でフィニッシュ。非常に厳しい週末となりました。
 
GT500クラス結果
優勝 #38 KeePer CERUMO GR Supra /BS
2位 #1 au TOM’S GR Supra /BS
3位 #100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT /BS
13位 #64 Modulo CIVIC TYPE R-GT /DUNLOP
#64 Modulo CIVIC TYPE R-GT
伊沢拓也選手
「タイヤのウォームアップは良かったんで、パフォーマンスはありそうな雰囲気がありました。ですが、序盤からペースが足りませんでした。FCYが入ったときにタイヤのグリップが復活したことに、このタイヤの使い方のポイントがあったのかもしれません。ただ、一番懸念していたピックアップはほとんどなく、非常に期待が持てるものでした。とても惜しい…、というのが正直な感想です。順位とレース内容は評価できるものではありませんが、タイヤにおいてはとても前向きな気持ちです。もう少しグリップがあれば十分に戦えたと思っています。セパンは今年タイヤテストができているので、もう少しいい結果を持って帰れるよう頑張ります」
 
大草りき選手
「非常に厳しいレースでした。3時間なんで『何か起こらないか…』と思っていたんですが…。速いクルマの後ろに入って、動きをみたりもしたんですが、まだまだですね。最終スティントでタイヤのコンパウンドを変えたんですが正しかったのかはわかりません。次のセパンは自分にとって初レースのサーキット、とにかく楽しむことができるように頑張ります」
 

 

 そして、まるでドラマのような結末となったGT300クラス。序盤はフロントローからスタートした777号車と61号車という2台のダンロップタイヤ装着車両が大逃げに成功。後続を一気に突き放します。ところが、19周目のFCYのタイミングでピットに飛び込んで一気に順位を上げたのは45号車と65号車でした。しかし、圧倒的なペースを持っていた藤井選手はトップとの差をみるみるうちに詰め始めます。そんな矢先、Wスティントを行う藤井誠暢選手を不運が襲います。1コーナーをクリアーすると左リアタイヤの内圧警告灯が点灯。まさかのパンクに見舞われてしまいます。この結果、不意なタイミングでピットへマシンを運ぶ藤井選手。C・ファグ選手も急遽ドライバー交代の準備を行います。ここで燃料を満タンにし、タイヤ交換を済ませてコースへ飛び出すと、チャーリー選手は徐々に順位を上げ再びトップに返り咲きます。61号車も45号車をオーバーテイクし2番手に復帰。残り10分を切ったところで、ガソリンが足りなくなった777号車はスプラッシュ給油のために三度ピットへと戻ってきます。しかし、3度のピットインにも関わらず戻った場所は3番手。そこでトップに立ったのは61号車BRZでした。このまま61号車が久しぶりの優勝かと思われたのですが、最終ラップにドラマが隠されていました。1コーナーを立ち上がる61号車。しかし、ここで第3スティントを担当していた井口選手がまさかの失速。マシントラブルでコースサイドに車両を止めてしまいます。この結果、777号車が2位に、45号車が6位入賞という結果になりました。
一時は表彰台独占かと思われていただけに非常に残念ではありますが、他メーカーに対し、圧倒的に高いパフォーマンスを示せたことは間違いない事実。次戦、セパンでも熱い戦いができるよう、ダンロップタイヤは全力でチームを足元からサポートしていきます。

 

GT300クラス結果
優勝 #6 UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI /YH
2位 #777 D’station Vantage GT3 /DUNLOP
3位 #2 HYPER WATER INGING GR86 GT /BS
6位 #45 PONOS FERRARI 296 /DUNLOP
8位 #61 SUBARU BRZ R&D SPORT /DUNLOP
13位 #96 K-tunes RC F GT3 /DUNLOP
14位 #11 GAINER TANAX Z /DUNLOP
15位 #60 Syntium LMcorsa GR Supra GT /DUNLOP
全ての結果はこちら
https://mos.dunlop.co.jp/motorsports/supergt/58663
 


 

 
#777  D’station Vantage GT3
藤井誠暢選手
「きょうはスタートからダンロップさんが用意してくれたタイヤが見事にその性能を発揮してくれました。個性の違う61号車と付かず離れずだったことからも、タイヤが良かったことが分かると思います。FCYのタイミングで2台の車両に前にいかれたときは、もうダメかと思ったんですが、きょうはとにかくペースが良くて、気が付いたら追いつけるところまで行きました。パンクの兆候はBコーナーの手前で内圧低下のチェックランプが点灯したことで気が付きましたが。その瞬間はまだいける感覚はありました。ロスは最小限で抑えることができましたが燃料は最後までもちませんでした。優勝できなかったのは正直悔しいですが、2位になれたことは喜んでいます。」
 
チャーリー・ファグ選手
「ほろ苦い気分です。きょうは本当に素晴らしいマシンに仕上がっていて、D’stationチーム全員、チームメイトの藤井選手も素晴らしい仕事をしてくれました。それだけにパンクはとても残念でした。ですが、それでも素晴らしい週末だったと思います。ポールポジションを獲得し、表彰台に立てたことは本当に嬉しいですね。シリーズタイトルから考えてもいい弾みになったことは間違いありません。最後、燃料が足りなくなってスプラッシュすることになってしまいましたが、タイヤは想定外の距離にも関わらずしっかりグリップしてくれました。そういった意味でもダンロップには感謝しています。この勢いをマレーシアまで維持したいですね」
 

 

ダンロップタイヤ開発責任者/安田恵直
「非常に厳しいレースでした。温度が想定よりも高かったことはありますが、そこまでペースが落ちることは想定していませんでした。第1スティントが終わったときは、ピックアップもなく非常にきれいに摩耗していました。第3スティントだけ異なるゴムで出たんですが、待っていた方が良かったかもしれません。岡山と富士はテストとレースがあまりにも違っていたため、データの量が少ないうちとしては難しい部分がありました。しかし、セパンは比較的テストと近い条件で走れると思うので期待しています。GT300クラスは777号車にパンクトラブルがありましたが2位に入れたのは良かったです。このパンクがタイヤに起因しているものかは持ち帰って分析が必要だと思っています。ただ、いくつものトラブルにチームがしっかりと対応してくれた結果だと思っています。また、61号車は50℃以上という路面温度の中、しっかりと777号車と逃げてくれました。セクター3でリアがしんどそうだった分、777号車に追いつくペースが足りなかったようです。ただ、タイヤの摩耗は非常にきれいで、しっかりとタイヤを使ってもらえました。最後はマシントラブルに見舞われてしまいましたが、次戦につながる速さを示せたと思います」