ダンロップモータースポーツ

SUPER GT 第4戦 決勝【レポート】ダンロップタイヤ装着車がGT300で優勝、GT500で2位を獲得

開催場所:富士スピードウェイ

開催日:2023年8月6日(日)

 
SUPER GT 第4戦は目まぐるしく変わる天気と相次ぐトラブルにより非常に荒れたレースとなりました。
まず20分間のウォームアップ走行前に雨が降り始めます。これによりウォームアップ走行は今週末初のウェット路面。ほとんどの車両がレインタイヤを選ぶ中、ドライアップする路面でのスリックタイヤで出て行ったのはゲイナーGT-Rの11号車でした。一方で、61号車のSUBARU BRZはプロペラシャフト交換のためにウォームアップ走行の時間をピットで過ごします。
 
徐々に路面が乾く中、スタート前進行がはじまるとスタート直前にまたもや大粒の雨がサーキットを包みます。あまりの雨の強さにパレードラップはキャンセル。全車レインタイヤを装着し、SC誘導でのスタートとなります。SC退去後レースがスタートされるとGT300クラスはダンロップ勢が躍進。11号車を筆頭に次々とオーバーテイクを繰り返しトップに浮上。一方で61号車は制御系のトラブルとともにドライアップする路面にタイヤがマッチせずズルズルと順位を落としてしまいます。
 

 
その後、レインタイヤとスリックの履き替えのタイミングを見計らった11号車は絶妙なタイミングでスリックタイヤへ交換。「僕は堅めのタイヤが好きなんでミディアムソフトでアタックさせてもらいました」とは石川京侍選手。続々と3回目のタイヤ交換に他車がピットへ飛び込んでも11号車はハイペースのままステイアウトを続けます。途中SCが導入されるも、11号車は53周目までタイヤ交換を引っ張り続け、満を持して富田竜一郎選手へ交代。石川選手がタイヤマネージメントしてロングランを行ってくれたことで富田選手はライフを気にせずプッシュすることができ、どんどん前との差が詰まっていきます。
 
しかし、64周目にまたもや車両火災によって赤旗中断。すると中断中にスコールのような雨がサーキットを濡らします。グリッド上でタイヤ交換の許可が出ると11号車はフルウェット用のタイヤを選択。しかし、雨はすぐに止み、どんどんと路面は乾いていきます。そこでチームは残り12周でピット作業を選択。このギャンブルが見事に的中。予選Q2でスクラブしてあったタイヤは発動も良く、トップよりも10秒近く速いタイムで周回し最大延長17時半を前に逆転。トップを奪還した11号車はそのままチェッカーを受け今季初優勝を挙げました。
 
また、Modulo NSX-GTが走るGT500クラスは伊沢拓也選手が粘り強い走り。ウェットでは他メーカーを上回るペースで走るも、30℃を下回る気温は持ち込んだタイヤの発動域に微妙に足りない温度。スリックタイヤでのペースメイクに苦しみながらもマシンを太田格之進選手へ繋ぎます。すると赤旗中断後、濡れた路面で太田選手は水を得た魚のようにオーバーテイクを連発。12位から一気に10位まで順位を押し上げると、ドライアップする路面に悲鳴を上げる選手が続々ピットへ…。今回、ダンロップはフルウェット用のレインタイヤとドライアップする路面に対して適応性の高いレインタイヤを持ち込んでいたこともあり、徐々に乾く路面でも太田選手は最小限のペースダウンでマシンを前に運びます。最後、目の前に迫る100号車を捕らえようとしたところでタイムアップ…。太田選手は4位でチェッカーを受けます。しかし、その後の審議で16号車と100号車にピット作業違反の判定。暫定表彰式では表彰台に上ることはできませんでしたが、今季初の表彰台を獲得しました。
 
≪GT500クラス≫
優勝 # 3 Niterra MOTUL Z/MI
2位  #64 Modulo NSX-GT/DUNLOP
3位.  #16 ARTA MUGEN NSX-GT/BS
 

 

 

GT500クラス 2位
#64 Modulo NSX-GT
伊沢拓也選手
「荒れたレースでしたが、僕らのパッケージの中でもレインコンディションでは良い部分もたくさんありました。ドライアップする路面でもしっかり力を発揮してくれました。太田選手も最後、見せ場を作ってくれたんですが、あとちょっと届きませんでした。表彰台に乗れなかったのは悔しいですけれど、満足の4位です」
 
太田格之進選手
「こういうチャンスもあんまりないんで、抜かれたときはもうダメかと思ったんですが、もう1度チャンスがきたんで飛び込んでいったんですが、止めきれませんでした。悔しいです。でも、タイヤも良かったと思いすし…。でも、3位と4位じゃ大きく違うんで本当に悔しいです。でも、これでチームの士気も上がっていると思うんで得意の鈴鹿でもっといい成績を残したいと思います」
※コメントはレース直後の暫定結果をもとに話しています
 
  

 

  
≪GT300クラス≫
優勝 #11  GAINER TANAX GT-R/DUNLOP
2位.  #7    Studie BMW M4/MI
3位.  #6    DOBOT Audi R8 LMS/YH

6位.  #61  SUBARU BRZ R&D SPORT/DUNLOP
7位.  #10  PONOS GAINER GT-R/DUNLOP
10位#60 Syntium LMcorsa GR Supra GT/DUNLOP
15位 #20  シェイドレーシング GR86 GT/DUNLOP
23位 #96. K-tunes RC F GT3/DUNLOP
 
 
GT300クラス 優勝
#11 GAINER TANAX GT-R
富田竜一郎選手
「ウェット厳しいだろうなと思っていたんですが石川選手がそんなに悪くないタイムで走ってくれて、スリックに変えてからも3番手をキープしてくれたのがとても良かったですね。自分のスティントになっても前よりも1秒近く速いタイムで走れていたので、これならいけるなと思っていました。赤旗でウェットになったのはちょっと想定外だったんですが、ドライアップする路面の中でチームからソフトとミディアムソフトのどっちが履きたい?という提案があり、ミディアムソフトを選択して最後逆転することができました。次は78キロを積むことになりますが、千代選手と組んでいたときにはそれ以上に積んでても優勝できたので頑張ります」
 
石川京侍選手
「タイヤの本数制限でレインタイヤの本数も決められていたので、ウォームアップ走行で10号車とタイヤの比較をできたのが大きかったですね。自分のスティントのときはタイヤをマネージメントをしつつ、前で走れているので勝負できるときに勝負したかったのでいっちゃいました。走っていて『勝てるかな』と思っていましたが、富田選手の完璧な走りを見てそれが確信に変わりました。本当に勝てて良かったです」
 
塩津佑介選手
「もう最高のひと言しかないです。タイヤの発動も良く、石川選手もしっかり厳しいスティントをマネージメントしながら走ってくれましたし、富田選手も戦略通りの走りで感動でした。次はチームの地元からも近いサーキットですし、マシン的にも相性の良いコースなので頑張ります」
 

 
そんな両レースを受け、タイヤ開発責任者の安田は今回のレースをこう締めくくりました。
 
ダンロップタイヤ開発責任者/安田恵直
「GT300では優勝、GT500では2位入賞と満足のいく成績を残せました。GT500では帰ってきたタイヤを見てみないとわかりませんが、ドライアップしたときに効果を発揮する工夫も施してきたのが功を奏したのかもしれません。GT300はしっかりと結果につながったんで、新投入したウェットタイヤも機能してくれたと思います。ただ、ほかの車両ももっと上にいける要素があっただけに悔しい部分も残ります。鈴鹿は良いセットを見つけているので、優勝を目指して頑張ります」