SUPER GT 第4戦は目まぐるしく変わる天気と相次ぐトラブルにより非常に荒れたレースとなりました。
まず20分間のウォームアップ走行前に雨が降り始めます。これによりウォームアップ走行は今週末初のウェット路面。ほとんどの車両がレインタイヤを選ぶ中、ドライアップする路面でのスリックタイヤで出て行ったのはゲイナーGT-Rの11号車でした。一方で、61号車のSUBARU BRZはプロペラシャフト交換のためにウォームアップ走行の時間をピットで過ごします。
徐々に路面が乾く中、スタート前進行がはじまるとスタート直前にまたもや大粒の雨がサーキットを包みます。あまりの雨の強さにパレードラップはキャンセル。全車レインタイヤを装着し、SC誘導でのスタートとなります。SC退去後レースがスタートされるとGT300クラスはダンロップ勢が躍進。11号車を筆頭に次々とオーバーテイクを繰り返しトップに浮上。一方で61号車は制御系のトラブルとともにドライアップする路面にタイヤがマッチせずズルズルと順位を落としてしまいます。
その後、レインタイヤとスリックの履き替えのタイミングを見計らった11号車は絶妙なタイミングでスリックタイヤへ交換。「僕は堅めのタイヤが好きなんでミディアムソフトでアタックさせてもらいました」とは石川京侍選手。続々と3回目のタイヤ交換に他車がピットへ飛び込んでも11号車はハイペースのままステイアウトを続けます。途中SCが導入されるも、11号車は53周目までタイヤ交換を引っ張り続け、満を持して富田竜一郎選手へ交代。石川選手がタイヤマネージメントしてロングランを行ってくれたことで富田選手はライフを気にせずプッシュすることができ、どんどん前との差が詰まっていきます。
しかし、64周目にまたもや車両火災によって赤旗中断。すると中断中にスコールのような雨がサーキットを濡らします。グリッド上でタイヤ交換の許可が出ると11号車はフルウェット用のタイヤを選択。しかし、雨はすぐに止み、どんどんと路面は乾いていきます。そこでチームは残り12周でピット作業を選択。このギャンブルが見事に的中。予選Q2でスクラブしてあったタイヤは発動も良く、トップよりも10秒近く速いタイムで周回し最大延長17時半を前に逆転。トップを奪還した11号車はそのままチェッカーを受け今季初優勝を挙げました。
また、Modulo NSX-GTが走るGT500クラスは伊沢拓也選手が粘り強い走り。ウェットでは他メーカーを上回るペースで走るも、30℃を下回る気温は持ち込んだタイヤの発動域に微妙に足りない温度。スリックタイヤでのペースメイクに苦しみながらもマシンを太田格之進選手へ繋ぎます。すると赤旗中断後、濡れた路面で太田選手は水を得た魚のようにオーバーテイクを連発。12位から一気に10位まで順位を押し上げると、ドライアップする路面に悲鳴を上げる選手が続々ピットへ…。今回、ダンロップはフルウェット用のレインタイヤとドライアップする路面に対して適応性の高いレインタイヤを持ち込んでいたこともあり、徐々に乾く路面でも太田選手は最小限のペースダウンでマシンを前に運びます。最後、目の前に迫る100号車を捕らえようとしたところでタイムアップ…。太田選手は4位でチェッカーを受けます。しかし、その後の審議で16号車と100号車にピット作業違反の判定。暫定表彰式では表彰台に上ることはできませんでしたが、今季初の表彰台を獲得しました。