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2010 D1GP 第2戦 オートポリス レポート



ボディカラーに合わせて新エンジンはヘッドカバーもゴールドに!

車両について
 予定通り・・・第2戦から車両仕様を大幅に変更しました。お台場ではあまり必要無かった馬力も、オートポリスでは極限まで絞り出さなければなりません。半年使って弱ったエンジン(09年第5戦で投入したヤツ)に鞭を打つのは不安が残るので、新たに組んだ元気なヤツに変更です。ブロック、クランク、メタル、オイルポンプ、ピストンリングを新品に交換し、高過給&高出力でもヘコたれないハズ?の仕様です。
 足まわりに関してはショックを「DG-5」製の新しい減衰力のものに変更し、リアメンバーの補強も行いました。(通称カチカチ君) 
 ロアアームの取り付け位置を変更してフロントキャンバーを5°まで付け、(やり過ぎかも?でしたが・・・)更に「3UP」製の逃転ロッド(テンションロッドのこと)を装着して、フルカウンター時にタイヤがテンションロッドに接触してスピンする症状も解消させました。
 オートポリスは直線距離が長く、車の馬力差が有り過ぎるとどうしても追走で不利になってしまいます。700psオーバーの車とも互角に戦えるよう、僕らも限界まで馬力を絞り出して行くしかありません・・・。

足回り変更吉と出ました!

23日(金)練習走行日
 今回は車両仕様を大幅に変更したため、初日の練習走行は車両のセットアップに専念します。エンジンのセッティングは低いブーストからロガーを見て徐々に詰めていき、同時に足まわりのフィーリングを野村さんに確認してもらいます。今回の賭けがどっちに転ぶか??夜も眠れない日々が続きましたが、結果は・・・良好っ!!野村さんからは「フロントの入りも良くなったし、何だかトラクションも掛かってるっぽいよ♪」との連絡がっ!・・・セットアップの方向性が間違っていなかったことを聞いて・・・まずは一安心です。確かに外から車の動きを見ても、今までよりシャープな動きになっていて、まるでスカイラインじゃ無いみたいっ♪更に素早い振り返しや大きな角度にも耐えられるようにもなったので、これはイケてるかも!

予選日も順調にメニューをこなしました

24日(土)予選日
 初戦を7位で終えた野村さんは勿論シードです。初日の時点でセットアップを決められたので、この日は本番に向けた練習走行に切り替えます。スポッター席から走りを研究し、審査基準と合わせて野村さんの走りを修正していきます。今年は2コーナーのクリップに向けて早めに振り返す走りが高得点のようで、ここを外してしまうと流され気味と言われるラインに乗ってしまいます。この走り方は追走の先行でも後追いでも有利になりそうなラインだったので、練習走行から野村さんにもとにかくここを通る練習をしてもらいました。今回はとにかく「2コーナーのゼブラの切れ目に近づく」ことが、大きなポイントになりそうです。車も順調なので大きな作業もありません。翌日の決勝に備え、早く帰って(早く飲んで)寝ましょう!
25日(日)決勝日
 春らしい晴天の中、決勝日の始まりです。両日とも天気は良かったのですが、気温はまだまだ低くて超寒い2日間だったッス・・・。
 決勝日朝一の練習走行から、ハイブーストの封印を解きました。追走に向けて馬力を絞り出し、全体の車速を上げていきます。ここからがいよいよニューエンジンの本領を発揮です。

ベスト16の走行を控えるメカニック
1回戦単走
 前日の練習走行をみても、野村さんは間違いなくベスト16に進出できる走りでした。とにかく焦らずに、練習走行と同じ走りをすれば良いのです。
 のむ「車がだいぶ速くなったみたいよ♪」
 あべ「いやぁ、良かったッス。とにかく落ち着いて、1本目からうまいことやりましょう!」
 のむ「あのー、気のせいか・・・喉がカラカラになってきました」
 あべ「あはは、大丈夫っすよぉ」(と言いつつ、僕が一番ソワソワしていました)
 それまでそんなに緊張していなかった野村さんでしたが、さすがに1本目はドキドキなのでしょう。
 1本目、タイヤが冷えていることもあり、若干手前からサイドを引いて2コーナーに向けて振り返します。 若干のミスはありましたが、ほぼ練習通りの早めに振り返すラインを通って99.66点を獲得し、この時点でベスト16進出は確定となりました。
 続く2本目は更に完璧な走りを目指し、上位を狙っていきます。
 のむ「とりあえず通ったみたいだから、次はガッツリ行きまーす!」
 あべ「ハイー!ブブブブブ(審査席前でコースアウトしそうになり、アクセルを踏めなくなる症状)には気をつけて下さいねー!」
 のむ「ハイハイ、わかってますよぉ(怒)」
 1本目より車速を上げて振り返した野村さんは、案の定?審査員席前でコースアウトしそうになりアクセルを踏めません・・・。
 あべ「ブブブブブブブ」(笑)
 のむj「すんませんでした・・・」(涙)
 ドリフトが戻る程のコースアウトではありませんでしたが、これが減点となり1本目より順位を上げることができませんでした。
 無線では相変わらずの他愛もない話し?のやり取りでしたが、無事に9位で1回戦を終え、追走トーナメント進出です!

高山選手に勝利後ロガーチェックをしながらマシンの様子を聞きます
追走トーナメントベスト16
 ベスト16初戦の相手はチームRマジックの高山選手との対戦です。後追いの必殺技である「同時振り」は勿論ですが、練習走行から狙っていた「2コーナーのゼブラの切れ目」を通るラインで行けば「先返し」にもなり、これでも大きなアドバンテージを獲得することができます。この2つの必殺技を駆使し、とにかくミス無く走り切れば順当に勝ち上がって行けるはず・・・です。(これが今回の作戦だったりして)
 1本目、「先振り、先返し」を合言葉に、野村さんは後追いからスタートしました。作戦通り「先振り」で高山選手のイン側に飛び込み、2コーナーのゼブラの切れ目に向かってすぐに振り返します。一歩間違えると接触の危険性があるリスクの高いライン取りですが、野村さんは見事に車をコントロールして大きなアドバンテージを獲得しました。
 2本目、野村さんの先行でも「先振り、先返し」の合言葉は変わりません。1コーナーのクリップから早めに振り返す「先返し」のラインでは後追いの高山選手が入り込めるのは審査員席前しかありません。野村さんは1本目のアドバンテージを守り切り、見事にベスト8に進出です!

激闘の末見事勝利した野村さん

追走トーナメントベスト8
 続くベスト8は昨年の決勝戦と同じカード、今村選手との対戦となりました。同じDUNLOPチームの対戦ではありますが、今回のオートポリスは「打倒、今村陽一」(笑)だったので、何としても負けられません。
 1本目、野村さんは後追いからスタートし、同じように「先振り、先返し」を狙いますが、さすが今村選手、全く通用する気配がありません。
 続く2本目、野村さんはロングサイドから早めに振り返す単走ラインで走りますが、今村選手はこれにピッタリと合わせてきます。1本目、2本目共に大差なく、勝負はサドンデスに突入です。
 サドンデス1本目、「先振り、先返し」が通用しないとわかった野村さんは角度で勝負に出ました。後追いから今まで以上に角度を付けた走りで1コーナーに進入し、今村選手のインに飛び込みます。この走りは審査員からも高く評価され、見事にアドバンテージを獲得しました。
 しかし、ここでも勝負は付きません。今村選手は後追いで更に素晴らしい走りを披露し、その差を縮めてきました。
 サドンデス2本目、野村さんは同じように角度勝負の走りで今村選手のインに飛び込みますが、ここでも両者に大差はありません。さすが今村選手、本当に手強い相手です・・・。
 入れ替えて野村さんの先行、長い戦いもようやくここで決着が付きました。2コーナー進入で今村選手が流されて、痛恨のミス。野村さんはそのままミス無く走り切り、見事にベスト4に駒を進めました。

ベスト8は斉藤太吾選手との対戦

追走トーナメントベスト4
 ベスト4の対戦相手は2008年シリーズチャンピオンの斉藤選手です。斉藤選手はお台場ではたまたま成績が良くありませんでしたが、今回はチャンピオンの貫録で次々と相手を倒して勝ち上がってきました。しかも車は相変わらずのハイパワー車なので、進入までの直線で離されないことが重要になってきます。
 1本目、野村さんは先行からスタートです。斉藤選手はパワーを生かし、ストレートからピッタリと真後ろに付いてきます。野村さんは今までと同じ様にロングサイド進入を試みますが、斉藤選手はほぼ同時に振り出しました。そのままビタビタで走り切り、斉藤選手にアドバンテージが付きました。
 2本目の後追い、野村さんはハイパワー車の斉藤選手に必死に付いて行きますが、進入の前に若干距離が開いてしまいました。この距離では先振りをすることもできず、斉藤選手の素早い振り返しにも付いていけません。残念ながら・・・ここで敗退です。チクショー!!


第2戦総括
 今回から変えた足まわりのセットアップが良い方向に行き、車全体のレベルを引き上げることができました。今まで以上にクイックな動きと、アクセルオン時のトラクションが若干プラスされ、他のコースでも更に高レベルな走りができるはずです。又、今回は作戦勝ち?を狙い、かなり皆の走りを見て研究しました。あの「先振り先返し」のラインは単走からかなり有効だったので、とにかくあそこを通れるように野村さんにも頑張ってもらいました。
 それと、よーちゃん(今村選手)との対戦はホントに熱くなりました。絶対に負けたくなくって、直線で離されるのも嫌だからブーストもかなり上げちゃいました。・・・よーちゃんには申し訳ないけど、1コーナーで流された瞬間、マジで超嬉しかったッス。
 「オレは変な駆け引きはせんよ」って言って、本当に男らしく走った野村さん。
 本当は優勝する筈でしたが・・・(涙)
 次の富士では更にパワーアップして、優勝を狙っていきますから!