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2010年 D1 GP 第5戦 エビスレポート



リアウイングをドラッグウイングへ変更

車両について
 早いもので・・・今年のD1グランプリシリーズも後半戦となりました。
 残り3戦のうちの2戦は真夏のエビスでデュアルファイナルズとなり、マシンにも野村さんにも非常に過酷な戦いとなります。練習走行日を含む4日間の長丁場をノントラブルで終えることができなければ・・・僕らに勝利の女神が微笑むことはありません。
 この大事な戦いを勝ち進む為にも車両全体の見直しは必須となり・・・ちょっぴり秘密の加工を施したニュークランク&ピストンでリフレッシュしたエンジンを搭載し、足まわりもリアの振り出し易さを重視したエビス専用のセットアップに変更しました。またリアウイングもURAS製のドラッグウイング(ローマウントのベタ付けタイプ)に変更し、最終コーナーの脱出にターゲットを絞ったセットアップとなっています。

デフ交換をするメカニック

5日(木) 練習走行日
 初日の練習走行はライン取りなどの走り方に関してはあまり気にせず、リフレッシュしたエンジンのセッティングと、変更した足まわりの確認から始めます。徐々に点火時期を進めてエンジンのピックアップを良くして行き、最終コーナーの振り出しに照準を合わせたマシン全体のセットアップを確認していきます。エンジンがある程度決まったところで、そろそろ最終コーナーのラインでも確認を・・・と思ったところで、若干のトラブル発生・・・です。
 なんと、デフのリアカバーにクラックが入り、オイル漏れー!
 そんな所が割れちゃうの??って感じでしたが、スペアもイッパイあるので大したトラブルではありません。これが本番の最中だったら・・・と考えるとゾッとしますが・・・とにかく、初日の練習走行の時点で起こったのは、不幸中の幸いでした。

エビス南コース最終コーナー

6日(金)練習走行及び第5戦予選日
 デュアルファイナルズは通常とは異なった変則的なスケジュールとなり、金曜日の午後から予選が行われます。この予選前のドライバーズミーティングで翌日の第5戦は最終コーナーをフリースタイルで出ても良いことになり、ここを直線的に出てくることが可能になりました。予選からこの審査基準が導入され、これによりスピードも迫力も上がりましたが、最終コーナーからジャンプして着地時のマシンの姿勢を崩さないようにしなければならないというリスクも同時に背負うことになりました。野村さんもこの直線的なラインで最終コーナーを速いスピードで飛び出してくるラインを見つけ、今まで以上に迫力のある走りができるようになりました。何故かスポッター席が異様な盛り上がりをみせた(笑)、予選終了後のシード選手による単走シミュレーション(デモラン)でもトップレベルの成績を収めました。
7日(土)第5戦決勝
 デュアルファイナルズ初日の第5戦は真夏のエビスらしく、猛暑の中での戦いとなりました。エビス入りしてから事実上3日目となりますが、本当の戦いはこれからです。最後まで集中力が途切れないよう、チーム一丸となって全力で戦います。

最終コーナーを豪快に駆け抜けます
1回戦単走
 野村さんは最終コーナーの直線的なライン取りの練習を重ねるたびに、全体的なスピードが増してきました。朝の練習走行を見ていても、ベスト16進出は間違いないハズです・・・。  1本目、最終コーナーを直線的にジャンプし、今まで以上に審査員席前のアウト側を狙って全開で飛び込んできます。ところがグリップの低いグリーンゾーン(通称「グリーンだよ」)に乗ってしまい、2コーナーで痛恨のハーフスピン・・・これでは点数は入りません。
 
 のむ:「いやぁ、本番のスイッチを入れたら、アウトまで行きすぎたー。やっぱりあそこは滑るバイ」
 あべ:「・・・ここは守らず、ガッツリ攻めて行きましょう!」

 もう後の無い2本目、いつもなら守りに入るところでしたが、今回は違います。とにかく自信を持ち、攻めの姿勢でベスト16進出を目指します。1本目と同じ様に最終コーナーを飛び出し、審査員席前はアウト側に行き過ぎないギリギリのラインで2コーナーをクリアっ!そのまま3コーナー、4コーナーを綺麗に立ち上がり・・・99.6点を獲得して、見事に5位で1回戦単走を突破しましたっ!!

ベスト16後に走りの確認をします
追走トーナメントベスト16
 ベスト16初戦はチームHPIの水畑選手です。水畑選手は練習走行から高いスピードを見せており、最終コーナーの脱出速度はトップレベルの相手です。
 1本目、先行からスタートした野村さんは、驚くほどのスピードで最終コーナーを飛び出してきます。そのスピードに付いて行けなかった水畑選手は2コーナーで流されてしまい、野村さんは大きなアドバンテージを獲得しました。続く2本目、野村さんは落ち着いて最終コーナーを飛び出し、2コーナーから先で水畑選手に詰め寄ります。この判定は当然野村さんに軍配が上がり、見事にベスト8進出となりました!

今村陽一選手との対戦前

追走トーナメントベスト8
 続くベスト8はシリーズチャンピオンに最も近い男、今村陽一選手との対戦となりました。今年一番のヤマ場となるこの勝負はポイント差を縮める為にも、絶対に負けられません。(注:DUNLOP対決ですが)
 運命の1本目は野村さんの先行から始まりました。野村さんは全開で最終コーナーを飛び出しますが、今村選手も負けずに喰らいついてきます。ところが今村選手は1コーナーの進入でオイル処理後のラインに乗ってしまい、審査員席前で完全に流されてしまいます。

 ・・・この瞬間、思わず出た言葉は「いえーい!」(注:DUNLOP対決ですが&よーちゃんゴメン)

 あべ:「やったー!よーちゃん、流されたッス!!」
 のむ:「違う違う、オイルに乗ってメッチャ滑ったのよー!俺も危なかったー!ちょっとイン側行かないとダメっぽいー!」
 野村さんの大きなアドバンテージから始まった後追いの2本目、野村さんは焦ることなく今村選手にピッタリと合わせ・・・この判定は五分です。
 野村さんは1本目のアドバンテージを守り切り、見事にベスト4進出となりました!

斉藤太吾選手と決勝進出をかけて戦いました!

追走トーナメントベスト4
 ベスト4は1回戦1位通過の強敵、斉藤太吾選手との対戦です。ランキング1位の今村選手とのポイント差を縮める為にも、野村さんは一つでも多く勝ち進まなければなりません。
 1本目、野村さんは後追いからのスタートです。斉藤選手の最終コーナーの脱出スピードが速いことは分かっていたので、ここは焦らずに2コーナーから先で距離を詰める作戦で行きます。斉藤選手は物凄い勢いで最終コーナーを飛び出して行きましたが、野村さんは落ち着いて自分のペースで付いて行きます。作戦通り2コーナーから先で詰め寄り、この両者ノーミスの走りは五分の判定となりました。
 続く先行の2本目、野村さんは今までと同じ様に速いスピードで最終コーナーを飛び出し、綺麗な単走のラインを通って行きます。ところが斉藤選手は2コーナーで流され、4コーナーでも減点となるインカットのラインに乗ってしまいました。この斉藤選手のミスにより、野村さんは文句無しの決勝進出となりました!

Rd6も頑張ります!

追走トーナメント決勝
 最後の対戦相手は2004年第3戦エビスの決勝戦と全く同じカード、日比野選手との戦いです。野村さんにとって公式戦初優勝となった伝説の戦いが・・・6年後の今、再び繰り広げられることになりました。
 野村さんの先行から始まった1本目、日比野選手は相変わらずの派手な走りで最終コーナーを飛び出してきますが、そこから先は野村さんも負けてはいません。2コーナーから3コーナーに掛けて日比野選手に若干のミスもあり、1本目の判定はほぼ五分となりました。
 2本目、野村さんは最終コーナーのアプローチから離されないように3速でフル加速し、脱出後の着地するタイミングで4速にシフトアップするはずでしたが・・・距離を縮めることに気を取られてしまい、4速にシフトアップすることができません。3速のままではエンジンの回転数が足りず、どうしてもイン側の小さいラインに乗ってしまいます。結局、このラインミスの減点が大きく・・・残念ながら野村さんは今季初優勝を逃してしまうことになりました。(涙)
 
 Rd6も頑張ります!