ダンロップモータースポーツ

【決勝レポート】SUPER GT 第8戦 – MOTEGI GT300KM RACE

開催場所:モビリティリゾートもてぎ

開催日:2025年11月2日(日)

ダンロップタイヤ装着車両 SUBARU BRZ R&D SPORTがGT300クラスで2位を獲得

 
 2025年もドラマチックなレースが全国で繰り広げられてきたSUPER GTシリーズ。いよいよここモビリティリゾートもてぎのレースで最終戦を迎えることとなりました。ダンロップタイヤを装着する64号車・伊沢拓也選手のGT500ラストランのレースであり、61号車SUBARU BRZの心臓部を支えるEJ20エンジン最後のレース。本社からはダンロップタイヤの山本悟社長も応援に駆け付けました。
 

 レースはサイティングラップ中にGT300のマシンが途中停車してしまうトラブルが発生したものの、クリーンなスタートが切られました。96号車がオープニングラップの5コーナーで押し出されるようにコースオフ。64号車もひとつ順位を落とすなど、順位変動も多い展開。しかし、61号車は2番手の5号車を突き放しながらラップを重ね、3周目までに3秒以上のギャップを築き、後続を引き離していきます。すると8周目の90度コーナーで777号車 D’station Vantage GT3が6号車とともにコースアウト。25番手まで順位を落としてしまいます。FCY(フルコースイエロー)が宣言。ここからも各所でバトルが勃発するも、大きな順位変動がないまま21周目へ。ピットレーンがオープンになるこの周、ダンロップ勢で最初にピットへ飛び込んできたのは45号車 PONOS FERRARI 296。Bドライバーの篠原拓朗選手に交代を終え、ピット義務消化組の3番手でコースへ戻ります。
 
 そしてトップをひた走る61号車は27周目にピットへ。 ピット義務消化組の3番手でコースに復帰。井口卓人選手から山内英輝選手へとドライバーチェンジを行い、トップ奪還へアクセルを開けます。すると山内選手は徐々に実質2番手を走る52号車とのギャップを詰めていき、31周目にはテールトゥノーズに! S字コーナーで並走しかける山内選手。V字コーナーまでサイドバイサイドの攻防を見せ、その立ち上がりで順位をひとつ上げます。残すはトップを走るタイヤ無交換作戦の5号車のみ。しかし、周回を重ねるごとにその差は徐々に広がっていきます。逆に、一度は追い抜いた3位の52号車が2位の座を奪いに近づいてくる展開。4台のパックになり残り5周。山内選手はGT500の車両を上手く使いながらブロックラインをトレースし、2位を死守し続けます。最後は後続の3位争いが激化したこともあり、山内選手は2位を死守。EJ20エンジンのラストランを表彰台で飾りました。
 
 一方で、レース終盤になるとGT500クラスの6位争いが38号車を先頭にパックに。ペースの上がらない38号車に対し、64号車・大草りき選手は1秒近く速いタイムでそのパックへドッキング。しかし、レース終盤にかけてタイヤの表面がささくれるグレーニングが発生してしまい、ペースを上げられない状況に……。それでも前を追いかけることをやめない大草選手でしたが、これ以上順位を戻すことはできず12番手でフィニッシュ。悔しい結果となってしまいました。
 

 

GT500クラス
優勝 #1 au TOM’S GR Supra /BS
2位 #23 MOTUL AUTECH Z /BS
3位 #100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT /BS
12位 #64 Modulo CIVIC TYPE R-GT /DUNLOP
#64 Modulo CIVIC TYPE R-GT

伊沢拓也選手
「結果は望んでいたものではありませんでしたが、オートポリスと同じ流れで車もタイヤも良いものをチームとダンロップタイヤに用意してもらえたと思っています。やっぱり寒い時期に課題が残る結果となってしまいましたが、そのあたりが今後の課題になると思います。大草選手も長く辛いスティントを頑張ってくれましたし、2日間でいろんな人にいろんなことをしてもらい、声をかけてもらいました。とても幸せな2日間でした。最後に中嶋レーシングで自分のレース人生の最後を迎えられたのは本当に良かったと思っています。また、ダンロップタイヤさんのおかげで僕もここまで長くやってこれました。最後の1年でとても良いタイヤができあがってきました。来年はこのタイヤをベースに新しいドライバーとチャンピオンを獲ってもらいたいですね。本当に応援いただきありがとうございました」
 
大草りき選手
「ここまですごく良い調子で来ていて、このままいけるんじゃないかと思っていたんですが、走り出してみたらちょっと苦しい展開になってしまいました。路面温度が低くなってくるとどうしても厳しいんです。グレーニングが出てバイブレーションも発生しましたし、フロントの摩耗も厳しかった。特に僕が担当した第2スティントは一気に気温も路面温度も下がりました。前に大きなパッケージが迫ってきたんですが、前がばらけるとついていけませんでした。今年1年間を振り返ると、タイヤ開発がものすごく進んだ1年だったと思います。伊沢選手最後のレースでこういう結果になってしまったのはとても悔しいです。伊沢選手にお願いができるなら『引退するのをやめてほしい!』ですね。でも、伊沢選手の意思を受け継いで、来年は僕が引っ張って頑張りたいと思います」

 


  

GT300クラス
優勝 #5 マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号 /YH
2位 #61 SUBARU BRZ R&D SPORT /DUNLOP
3位 #666 seven × seven PORSCHE GT3R /YH
12位 #777 D’station Vantage GT3 /DUNLOP
13位 #96 K-tunes RC F GT3 /DUNLOP
16位 #60 Syntium LMcorsa LC500 GT /DUNLOP
21位 #45 PONOS FERRARI 296 /DUNLOP
24位 #11 GAINER TANAX Z /DUNLOP
 

 

#61 SUBARU BRZ R&D SPORT
井口卓人選手
「今大会は本当に感情の浮き沈みが激しかった週末でした。ぶっちぎりのポールポジションも嬉しかったですし、マシンもタイヤの状況も本当に良かった。中盤、山内選手も辛い中、たくさんのラップ数を耐えてくれました。最後にEJ20に花を添えたいという強い気持ちがあったのですが、表彰台に連れて行くことができたのは幸いだったと思います。EJ20とのSUPER GTを考えたとき、ほとんどが辛いことばかりで、今年も辛いレースが多かったんですが、最後はトラブルなくチェッカーを受けさせることができて良かったです。最後にEJ20で表彰台に上がれて良かったです。心の中ではまだやれるエンジンだと思いますが、新しいエンジンとダンロップタイヤさんの用意してもらえるタイヤでまたチャンピオンを獲りに行きたいと思います」
 
山内英輝選手
「本当にきついシチュエーションの中で、EJエンジンの音がちょっと大きくなって怖いと思いながら走っていたんですが、信じて走るしかないですし、最後のレースだったからEJも頑張ってくれたのかなと思います。EJのパワーがなければ最後抜かれていたと思いますし、最後の最後まで感謝しかないです。応援してくれるSUBARUファンの皆さんの声援が僕たちに責任感を与えてくれ、一緒に切磋琢磨しながらレースを戦えてきたんだと実感する1年でした。また精一杯やっていけるように自分自身も成長しなくてはならないと思っています。来年に向けてはまだお話しできることはないのですが、来年も期待してもらえれば嬉しいです。最後にダンロップタイヤさんには今年も1年間、僕たちの貫き通したパッケージを用意してもらえ、本当に助けてもらいました。来年はマルチメイク最後の年となってしまいますが、必ずやSUBARUとダンロップタイヤの組み合わせで再びチャンピオンを獲って有終の美を飾れるようにしたいと思いながらシーズンオフを過ごしたいと思っています。皆さんから頂いた応援に感謝し、来年結果で返せるように頑張ります」

 

 
 第8戦の結果を振り返り、ダンロップタイヤ モータースポーツ開発1グループの安田恵直はこう振り返ります。
「GT500クラスは弊社で当初想定していたものとは異なる厳しい結果になってしまいました。タイヤを持ち帰って分析してみないと詳しいことは分かりませんが、タイヤ全体の摩耗対策は講じてきたんですが、フロントタイヤにグレーニングが発生してしまいました。今回はハードとソフトの2種類のタイヤを持ち込んだんですが、気温の低下にともないソフト側でつなぎました。それでも気温が下がり続けた後半のスティントはやはり厳しかったと思います。ただ、今回のレースで見えてきた部分も多くありました。まだ強くなれる余地があると思い、来年はさらなる進化ができると思っています。また、GT300クラスもコンディション変化が大きいときに、うちの弱点が出やすくなってしまっています。こちらも来年の開発の進め方を大きく変えていこうと考えています。マルチメイク最後の年になると思いますが、さらに力を入れていきたいと思っています」
 

 
 また、住友ゴム工業 モータースポーツ・斉脇泉部長は今年1年間のSUPER GTシリーズを終えて「2025シーズンは大きな変化の年でした。新しい構造、新しいコンパウンド、環境に配慮した新素材の導入など、多くの新しいことにチャレンジし、実際にレースの現場に投入してきた1年だったと思います。狙い通りいった部分、もちろんいかなかった部分もありました。序盤は新しいコンパウンドと新構造のパフォーマンスをしっかり引き出すことができず、チームの皆さんの期待に応えられなかった部分もありましたが、中盤以降はしっかりと戦え、レースでも手応えと結果が残せた1年になったと思っています。その結果、GT500では最高順位2位という結果を得ました。来年はチームとともに、まずは1勝を挙げることを掲げ、シリーズ上位で終われるようなシーズンにしたいですね。最後に、このレースを最後にGT500クラスを引退する伊沢選手には多大な感謝をしています。伊沢選手のおかげで現在のタイヤができあがり、SUGO、オートポリスでは高いパフォーマンスが出せるタイヤを用意できました。終盤戦になってしまいましたが、伊沢選手にも納得してもらえるタイヤを作れたのは、僕ら開発陣にとってもとても嬉しいことでした。来年は伊沢選手が残してくれたこのタイヤをベースに、より突き詰めたタイヤを開発していきたいと思います」とコメントを残しました。
 
 このもてぎでの最終戦をもって2025年のSUPER GTは幕を閉じました。喜怒哀楽、非常にドラマチックなシーズンでもありました。来季もダンロップタイヤはSUPER GTに参戦するマシンを足元から支え続ける準備をすでに始めています。これからもダンロップタイヤは、ダンロップタイヤを装着するすべての車両とチームを支え続けていきます。来年も皆様から熱い応援を頂戴できるよう、ダンロップタイヤを装着するすべてのチーム、マシン、ドライバーに注目してください。今年も1年間、応援ありがとうございました。
 

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