ダンロップモータースポーツ

【決勝レポート】SUPER GT 第6戦 – ダンロップタイヤ装着車 Syntium LMcorsa LC500 GTがGT300で優勝

開催場所:スポーツランドSUGO

開催日:2025年9月21日(日)

 

杜の都仙台からほど近く、村田町にあるスポーツランドSUGOで開催されたSUPER GTシリーズ第6戦。この週末土日に延べ26,900人の観客を動員しての開催となりました。レースは今シーズン最もホットでドラマチックな展開となり会場は大きな歓声に包まれました。
 
ダンロップタイヤを装着し最高峰クラスのGT500クラスに参戦する64号車 Modulo CIVIC TYPE R-GTはウォームアップ走行から好調な滑り出し。前日の予選では想定外の状況に陥ってまさかのQ1敗退を喫したものの、外気温と路面温度ともに持ち込みタイヤが最も発動する温度域となり非常にグリップ感のあるフィーリングを得ます。よりフロントタイヤを守る方向でセットアップを進めるという選択肢もあった中、チームはタイヤを信頼してくれ自分たちのベストパフォーマンスを発揮できるセットを選択しました。攻撃性の高まったSUGOの新路面…、やはり左フロントタイヤにグレーニングが現れてしまいます。事実、決勝でもスタート担当した伊沢選手は序盤、徐々に低下するグリップに悩まされるものの、グレーニングが発生した部分がきれいに摩耗すると一気にグリップが回復。タイムも上がり上位陣の中でもベストラップを刻む周回もあるほどに! 特にセクター4での速さが際立つ64号車。ストレートで幾たびもオーバーテイクを重ね最大5位まで順位を上げることに成功します。
 
そして、規定周回ミニマムを境に各車続々とピット作業を開始。64号車も30周目にピットへ飛び込み大草選手へとマシンを託します。大草選手も序盤から快走を見せ、全体3番手となるベストラップを刻みながら前を追撃! しかし48周目に悪夢のようなアクシデントが発生します。SUGO名物10%上り勾配のストレート。坂を上る選手からは、その先の風景が全く見えない状況の中アクセル全開を求められます。すると大草選手には左サイドにスピンする777号車の姿が…。コンクリートウォール側にマシンを寄せる大草選手…。しかし坂を駆け上ると、ストレートに散らばったパーツを避けようとしたスピン状態の20号車が目の前に現れます。当然このマシンを避け切ることはできず大草選手はフロントから20号車とタイヤバリアに挟まれるように激突。フロントを大破してしまいます。減速を開始していた大草選手のマシンのGセンサーは反応を免れ最悪の事態は回避されました。表彰台が見えていただけに、非常に悔しいクラッシュ…。レーシングアクシデントとはいえ、絶好の機会を逃した大草選手。中嶋監督の労いの言葉に涙を見せるシーンもありました。

 

GT500クラス
優勝 #24 リアライズコーポレーション ADVAN Z /YH
2位 #39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra /BS
3位 #17 Astemo CIVIC TYPE R-GT /BS
DNF #64 Modulo CIVIC TYPE R-GT /DUNLOP
#64 Modulo CIVIC TYPE R-GT

伊沢拓也選手
「こういう結果になってしまったことは悔しいですが、非常に手応えのあった週末でした。昨日の公式練習からタイヤが気難しく振る舞うのは分かっていたので、その対策品もバックアップとして用意されていたんですが、周りのチームを見渡すと僕らより厳しそうな状況だったんですね。だから、想定していた持ち込みタイヤで決勝も挑みました。するととにかく最終コーナーが良かった。ストレートで何台抜いたか覚えてないくらいオーバーテイクを繰り返せました。自分のスティントも大草選手のスティントもしっかりと手応えのあるレースができました。とにかく皆で気持ちを切り替えて次のオートポリスに臨みたいと思います。3時間の長丁場のレース。このタイヤをベースにしっかり戦えればと思います」
 
大草りき選手
「最初に皆さんにご迷惑をかけてしまったことをお詫びしたいです。クラッシュ前に関しては伊沢さんのスティントが素晴らしく、表彰台も狙える位置でマシンを託されたので序盤からプッシュをしていきました。クラッシュに関しては777号車がスピンしているのは分かっていたのでコンクリートウォール側にマシンを持っていったら20号車がいて、避け切れませんでした。筋肉痛くらいの痛みはありますがドクターチェックも終え、僕は大丈夫です。本当にチームの皆さんには申し訳ない気持ちでいっぱいです。伊沢さんとの残りの2戦…。しっかりと頑張りたいと思います」

 


 

 
GT300クラスも非常にドラマチックな展開に! ウォームアップ走行で3番手タイムを記録し、好調さをうかがわせた61号車はタイヤ無交換作戦を実行するため、予選で使わなかったバックアップタイヤを装着し、ピットスタートを選択します。2番手スタートの60号車でしたが、非常に速いレースペースで7号車を早々にオーバーテイク。トップに浮上するものの、後ろから迫ってきた4号車にその座を奪われてしまいます。しかし、28周目にピットインをすると実質トップに返り咲き、そこからSC導入などあったもののしっかりと2番手以降に付け入る隙を見せないペースを刻み見事優勝を勝ち取りました。
 
また、チャンピオンシップを争いながら赤旗の原因となるクラッシュに巻き込まれてしまった777号車。ステイアウトを続けていた22号車をストレートでアウトから交わそうとしたとき、表彰台を争っていた56号車がインサイドに入り、3ワイドに…。22号車は777号車を押し出すようにアウトへマシンを振り、777号車はスピンを余儀なくされてガードレールへ…。激しくクラッシュした777号車はパーツをコースにばらまいてしまいます。そのパーツを避けるように20号車がスピン…。そこに64号車が突っ込んでしまうという大アクシデントが発生してしまいました。藤井選手は「クラッシュまではタイヤも最高でした! 体も大丈夫です」とダンロップタイヤエンジニアに労いの言葉。64号車同様、次戦オートポリスまでにマシンの修復が急務となってしまいました。
 

GT300クラス
優勝 #60 Syntium LMcorsa LC500 GT /DUNLOP
2位 #56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R /YH
3位 #666 seven × seven PORSCHE GT3R /YH
5位 #11 GAINER TANAX Z /DUNLOP
21位 #45 PONOS FERRARI 296 /DUNLOP
22位 #61 SUBARU BRZ R&D SPORT /DUNLOP
DNF #777 D’station Vantage GT3 /DUNLOP
DNF #96 K-tunes RC F GT3 /DUNLOP
 
 

#60 Syntium LMcorsa LC500 GT
吉本大樹選手
「鈴鹿は準備してきたことが全部なかったことになるので非常に残念なレースとなってしまいました。しかし、LC500はSUGOと絶対に合うと思っていたので、タイヤとのマッチングさえ合えばいけると思っていました。そこにダンロップタイヤさんが時間のない中、しっかりとハマるタイヤを用意してくれた。ウォームアップのフィーリングも凄く良かった。初めて使う新しいタイヤでどれだけ持つか不安もあったんですが、序盤のペースも良かったです。ただ、自分のスティントが終わるころには結構ヘロヘロになってしまいました」
 
河野駿佑選手
「率直に久しぶりの優勝は本当に嬉しいです。吉本選手と同じようにSUGOはとても相性の良いコースだったと思います。ダンロップタイヤさんが新コンパウンドを投入してきてくれたんですが、ちょっと不安なところもあったはあったんですが、この短い期間で作り込んでくれた新しいタイヤはとてもフィーリングが良く、リスタート後の最後の30分もダンロップタイヤさんを信じて『タイヤは持つ!』と信じて攻め切りました。トップチェッカーを受けることができて本当に良かったです」

 

第6戦SUGO GT300KMレースを終え、ダンロップタイヤモータースポーツ開発1グループの安田恵直はこう語ります。
「GT500クラスに関しては、僕らが想定している発動環境に非常に合致していたので良い結果につながることは見えていました。ただ、SUGOの新路面は左フロントタイヤへの入力が非常に厳しく、朝のウォームアップでもグレーニングが発生していました。ただ、これに関しては対策済みで、グレーニングした表面が整えばペースは戻ることは確認していましたので、伊沢選手も一度ペースは落ちたもののそこからトップ陣と遜色ないタイムを記録してくれました。僕らの想定以上にアグレッシブな走りで表彰台も見えていただけにこの結末は正直ショックです。次のオートポリスではさらに開発を進めている新しいコンパウンドを導入するか、実績のあるコンパウンドを採用するかチームと話し合いながら進めていきたいと思います。また、GT300クラスですが60号車の実力をもってすればこの結果は驚きではありません。きちんと弊社のタイヤがチームをサポートできればこうなると信じていました。ただ、前戦からのSUGOでいきなりこの結果はとても嬉しく思っています。そして残念だったのは777号車です。公式練習でトラブルがあり、ステップバイステップの工程を積み重ねることができなかった中、ぶっつけ本番の形になってしまったにもかかわらず、しっかりと本領を発揮して上位に食い込んでいただけに悔しさは隠せません。GT300クラスに関しては、急遽投入したニュースペックだったのですが、概ねタイヤのパフォーマンスをしっかり引き出すサポートができたのではないかと思っています。もてぎの公式テストも使いつつ、次戦オートポリスもタイヤに対する攻撃性の高いサーキット。ここまで開発を続けてきた新スペックを全車に提案しつつ、オートポリス、もてぎと全チームをしっかりサポートしていきたいと思います」
 

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