前日から朝の予選まで続いた曇天が嘘のような天気に恵まれたスーパーGT第7戦決勝。ウォームアップ走行ではほとんどの車両がピックアップとタイヤのささくれに悩まされます。特に攻撃性の高い路面で知られているオートポリス。しかも、今大会は想定されていた温度よりも10℃近く低くピックアップが剥がれにくいコンディションとなってしまいました。GT500クラスを走る64号車に対し、ダンロップはフロントタイヤへの負荷をもう少し減らしてもらえるように提言。チームはその提言を受け入れてくれピックアップ問題は大きく改善することとなりました。
そして迎えた決勝は定刻通り13時20分にスタートが切られました。最初に64号車のステアリングを握ったのは大草りき選手。上々のペースで前にくらいつき、オーバーテイクを重ね、ポイント圏内までマシンを引き上げます。徐々に気温が上がり、想定気温に近づいてくるも、まだまだタイヤが本来持つスペックを発動するにはやや厳しい中、大草選手は第2スティントも走り続けます。そして、60周目を前にドライバー交代を敢行します。伊沢拓也選手に託された64号車。しかし、交代して3周目…。タイヤのウォームアップが完了したと思って突っ込んでいった3コーナーで予期せぬ挙動を示します。フロントタイヤがロックしてしまいコントロールを失ってしまいます。その結果、伊沢選手はタイヤバリアに衝突。ドライバーにケガはなく無事でしたがマシンはフロント周りが大破。ここでリタイアを余儀なくされます。
一方、GT300クラスは序盤からダンロップタイヤ装着勢の777号車と96号車の激しいバトルが勃発します。圧倒的なペースで追い上げる96号車。しかし、777号車が巧みなブロックでそれを防ぎます。しかし、1コーナーでアウトから仕掛けた96号車。2コーナーでインを閉められると、クロスラインをとり3コーナーでインサイドが入れ替わり順位を逆転。トップに立ちます。その後、ペースの良い96号車は2位に10秒以上の大差をつける展開に…。しかしピット作業で手間取ってしまい、中盤でコースに復帰することに。するとその直後にSCが導入。運悪く96号車は順位を落とすことに…。さらにこのあと4度のSCが導入されてしまいます。この結果、トップを独走していた96号車はSCの度に順位を落としてしまいます。その代わりに台頭してきたのが61号車。徐々に順位を上げてきた結果、ボードリーダーにまで上り詰めます。しかし、61号車にも不運が降りかかります。あと8周を残しフロントブレーキに異常が見られ、ブレーキをロック!マシンは大破。こちらもリタイアを余儀なくされます。この結果、3番手まで順位を上げてきた96号車が久しぶりの表彰台へ!
優勝 #39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra /BS
2位 #23 MOTUL AUTECH Z /BS
3位 #3 Niterra MOTUL Z /BS
DNF #64 Modulo CIVIC TYPE R-GT /DUNLOP
全ての結果はこちら
https://mos.dunlop.co.jp/motorsports/supergt/55990 #64 Modulo CIVIC TYPE R-GT
「完全にドライバーのミスです。車もタイヤも良いフィーリングだったのでプッシュしようとしたところブレーキをロックさせてしまいました。自分のミスです。次は今回ミスした分も含めて良い走りで返したいと思います」
大草りき選手
「はじめてのスタート担当だったので緊張しました。序盤は割と前についていけて何台か抜くこともできたんですが、タイヤが減ってくるとペースがなくなってしまうのが次の課題だと思っています。次のもてぎはいまある課題を解決して結果を出せればと思っています。なにより伊沢選手が無事でなによりです」
≪GT300クラス≫
優勝 #88 JLOC Lamborghini GT3 /YH
2位 #2 muta Racing GR86 GT /BS
3位 #96 K-tunes RC F GT3 /DUNLOP
5位 #777 D’station Vantage GT3 /DUNLOP
7位 #11 GAINER TANAX Z /DUNLOP
10位 #60 Syntium LMcorsa GR Supra GT DUNLOP
25位 #61 SUBARU BRZ R&D SPORT /DUNLOP
全ての結果はこちら
新田守男選手
「真一がファーストスティントから良いペースで走ってくれて良かったです。路面温度の変化が想定できず、僕のスティントでちょっと変なところに出てしまったからかピックアップに悩まされました。SCが入るたびに順位が落ちて行ってしまったんで表彰台は無理かと思っていました。でも、表彰台に立ててうれしいですね。」
高木真一選手
「K-tuneに入ってはじめて表彰台に乗れて嬉しいです。ふたりで最多勝を伸ばしたいなんて話をしていたんですが優勝は無理でしたね。序盤は777号車に前を塞がれてしまったんですが、2位に20秒以上差をつけられたんですがSCが入るたびに順位が下がってしまいましたね。SCがなければぶっちぎっていましたね(笑)次のもてぎも優勝を目指して頑張りたいと思います」
ダンロップタイヤ開発責任者/川端宏志
「GT500クラスは非常に厳しい結果になってしまいました。ウォームアップ走行ではピックアップが酷く、チームにフロントタイヤに負荷を優しくしてもらってバランスは良くなりました。ただ、ピックアップがなくなったわけではなく、路面温度が上がってきたときはまだ良かったんですが第2スティントになると路面温度が下がってきてしまい、想定していた路面温度から離れたものとなってしまいました。GT300クラスはSCで不可抗力的に順位を下げてしまったのが残念でした。61号車も調子が良かったのでマシントラブルはとても残念です。777号車はリアからタレてしまいました。もう一歩だったというのが正直な感想です。次戦もてぎは事前テストもしているので大丈夫だと思います」