第6戦 鈴鹿サーキット
2016/01/01
伝統の一戦「鈴鹿1000km」に挑んだEpson NSX CONCEPT-GT
予選では9番手につけるが、決勝での追い上げは果たせず
鈴鹿でのシリーズ第6戦は、1000kmもの長丁場で、通常より3倍以上のレース距離で争われる。加えて夏の暑さが容赦なく、マシン、ドライバーに襲いかかるが、チームは大きな期待を抱いてサーキットに乗り込んできた。その最大の理由は、「耐久性のあるタイヤが見つかったのが、次の鈴鹿1000kmに向けて、最大の収穫でした」と語っていたことだ。土曜日早朝に行われたフリー走行では15番手に留まったが、これを受けてセッティングを大幅に改めた「Epson NSX CONECEPT-GT」は、見違えるかのような走りを披露する。
Q1に挑んだベルトラン・バゲットが真っ先にコースインして、タイムを上げていったのだ。結果は9番手と、あと一歩のところでQ2に駒を進めることはできなかったものの、ボーダーラインまで、わずか1000分の4秒差で、何より今季最高のグリッドを獲得する。
予選を戦うことはできなかったものの、バゲットの走りを見守っていた中嶋大祐は「朝のフリー走行を思えば、すごくいいポジションです。ウエイトハンデが軽いので、このままいけばいいレースができるでしょう」と大いに手応えを感じていたようだ。少しずつではあるが、マシンは確実に進化している。今回は結果を出す、そうドライバーとスタッフが思いを共有して、決勝に挑むことになった。
本来ならば、ギラギラとした太陽に焦がされるような感さえある決勝だが、今年は朝からあいにくの雨模様となってしまう。それでもスタートを迎える頃には、その雨もすでに止み、コースも次第に乾いていく。ギリギリまで各チームともタイヤ選択に頭を抱えるも、結局全車がスリックタイヤを装着することとなる。今回もスターティングドライバーを務めたバゲットは、グリーンシグナルの点灯と同時にアクセルを全開で踏み込んでいく。
しかし、予想より遥かに低い温度が影響を及ぼしたのか、思うようなペースで走ることが許されない。
バゲットは次第に順位を落としていったことからチームは早めのピットインを決断、20周目には中嶋へバトンを託すこととなった。だが、状況にはほとんど変化はなく、次々とライバルに交わされ、レース前半で14番手にまで後退してしまう。それでもバゲット、中嶋ともにミスのない走りを続け、後半に入ってじわりとポジションを上げたのは、諦めない想いが走りに現れていたからだ。トップから2周遅れとはなったものの、我慢の走りが実って11位でレースを終えることとなった。苦しい状況の中、ふたりとも粘り強い走りで完走を果たし、ポイント獲得こそ叶わなかったものの、予選で見せたパフォーマンスは、マシンの進化を示すものとなり、次戦でのポジションアップが大いに期待できそうだ。
「予選はすごく良かったし、もっと行けたと思うが、時間が足りなかった。決勝はリヤが負けているような感じで、思うように走れなかったのが残念だ。とはいえ、簡単に比較はできないけれど、前回の富士に比べて、今回の方が車は仕上がってきて、進化は感じられた」(バゲット)
「予選と決勝は別物でした……。決勝も行けるよう準備しましたが、これまでどのサーキットでも起きていたのと同じような状況で、車がどうにも煮詰まっていない。でも、タイヤが新しい時のタイムは悲観するほどではなかったので、それをどう持続させるかが、今後の課題ですね」(中嶋)
「予選ではまずまずの結果が残せましたが、本来は決勝重視で持ち込んでいたタイヤだったんです。それが思ったよりタイムが安定せず、グリップ低下も早く、チームやドライバーに苦労をかけてしまいました。ただ、見えてきた部分はあって、タイムを上げることができそうです。ここからの終盤戦、特にもてぎの2戦には戦闘力を上げたものを持ち込めると思います。結果が残せるよう頑張ります」(ダンロップモータースポーツ/斉脇課長)