第5戦 富士スピードウェイ
2016/01/01
レース中に光明見出したEpson NSX CONCEPT-GT
次回の鈴鹿1000km.を、期待の一戦とする!
真夏の富士ラウンドは、常に強烈な暑さとの戦いとなるが、「前回の富士では、タイヤも安定しました。今回も暑くなった方がいい。しかも、エンジンが良くなっているので、違いがいちばん大きく出るのが富士」と中嶋大祐は、過酷な条件を強いられる富士でのレースを、むしろ大歓迎しつつ、まずは予選に挑むことになった。
土曜日は朝から快晴で、夏の太陽が容赦なく照りつけ、気温がぐんぐん上昇していった。公式予選が始まる頃には気温32度、路面温度にいたっては52度にも達し、これはまさに中嶋が望んでいたコンディションだ。ベルトラン・バゲットがQ1に出走して、序盤から好タイムを記録するも、その後はタイムが伸びず。次々とライバルに抜かれて14番手に甘んじてしまう。
「速さが足りなかった。この結果は、期待していたポジションではない。リヤのグリップが足りなかった」とバゲットは語り、中嶋につなぐことなく予選を終えることとなった。
「持ち込んだタイヤとのセッティングを合わせられませんでした。一発の速さはなかったのですが、ロングランは悪くありませんでした」と、中嶋は決勝に期待を寄せる。予選14番手から10位入賞を果たした、第2戦を大きく上回ることを胸に秘め、決勝に臨むこととなった。
決勝は中嶋が「暑くなった方がいい」と語ったとおりのコンディションとなった。好天に恵まれ、時おり吹く風は心地よいものの、太陽に焦がされた路面は49度にも達していた。スタートを担当したのはバゲットで、静岡県警によるパレードラン、そしてフォーメイションラップを経て、グリーンシグナルの点灯と同時に、激戦の幕が開く。チームもドライバーもイメージしたのは、第2戦で見せた粘り強い走りだ。
しかし、そのスタートから間もなく「マシンから振動が出た」とバケットは6周目に突然ピットに戻ってくる。
タイヤを交換して、再びコースイン、これでトップから1周遅れとはなったが、その後バゲットは持ち堪えて走り続けた。コースに落ちたパーツ回収のためセーフティカーランが行われ、明けてピットレーンオープンとなった24周目は、すでにレース距離の1/3を満たしていたこともあり、再び「Epson NSX CONCEPT-GT」をピットに入れることとなった。
中嶋への交代と併せ、それまでとは異なるスペックのタイヤを投入、中嶋はその後、安定した走りを披露する。ただ、SCラン中にトップと2番手の車両の間に入ってしまい、さらにタイムロスする不運もあり、最終的には2周遅れとなっていた。それでも11位で、次につながる完走を果たした。
「最初に選んだタイヤに走りきれる耐久性がなく、早めにピットインせざるを得ませんでした。耐久性に問題のないタイヤに交換して、僕のスティントは最後まで問題なく走ることができました。次のレースを考える余裕はありませんが、諦めずにいろいろやっていくしかありません。耐久性のあるタイヤが見つかったのが、次の鈴鹿1000kmに向けての収穫でした」と中嶋。まだまだ課題は多いものの、チームは一歩ずつ光に向かっている。
ダンロップモータースポーツの斉脇課長も、「レース中に、テスト的にタイヤを試してみて、それが機能していることが分かりましたので、この先のレースでは何とか結果を残したい。クルマ自体が速くなっているので、タイヤが完成すれば、きっと勝負できるようになると思います。みんな、ウエイトハンデで重くなってきているので、絶対どこかで結果を残したい」と巻き返しを誓ってくれたからには、ドライバー、スタッフは飛躍を胸に、暮れかかった富士を後にした。