第4戦 スポーツランドSUGO

2016/01/01

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GT300SUBARU BRZ R&D SPORTが
激動の展開の中、3位表彰台へ!

7月23〜24日、SUPER GTシリーズ2016の第4戦、「SUGO GT 300km RACE」がスポーツランドSUGOで開催された。ダンロップはGT300において、昨年ダブルタイトルを獲得したGAINERの「GAINER TANAX GT-R」(アンドレ・クート/富田竜一郎)と「GAINER TANAX AMG GT3」(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム)、そしてR&D SPORTの「SUBARU BRZ R&D SPORT」(井口卓人/山内英輝)の3台を引き続き走らせ、さらにAudi Team Hitotsuyamaの「Hitotsuyama Audi R8 LMS」(リチャード・ライアン/藤井誠暢)も陣営に加えることとなった。前回のレースでは2台のみの入賞に留まったこともあり、今回は三度目の正直とばかりに全車入賞の期待が込められていた。

本来ならば、第2戦の後にオートポリスで第3戦が行われるはずだったが、熊本地震によって施設に損傷を負い、開催が中止となり、急きょスケジュールが見直され、ツインリンクもてぎで行われる最終戦に代替レースを併せて行うこととなった。そのため、2か月以上のインターバルが生じてしまったものの、その間にはSUGO、そして鈴鹿サーキットで公式テストが行われて、マシン、タイヤともに進化した。ここまでの2戦、4台が揃って入賞を果たしたことがなかっただけに、SUGOでの第4戦に大きな期待がかけられることになった。

まず、その期待に応えたのが「SUBARU BRZ R&D SPORT」の井口卓人/山内英輝組だった。走り出しとなる、土曜日の公式練習で山内が開始から間もなくトップに浮上。いったんはその座を奪われるも、やられたらやり返すとばかりに逆転を遂げる。そして、後半には井口もドライブして、さらなるセットの詰めを行うはずだった。ところが、GT300の単独セッションに入る寸前、井口はSPコーナーインの進入で姿勢を乱してスピン。クラッシュパッドに突き刺さってしまったのだ。再開後も逆転する者は現れず、「SUBARU BRZ R&D SPORT」は、トップで公式練習を終えたながら、ピットでの修復を余儀なくされることになった。なお、このセッションでは「GAINER TANAX AMG GT3」の平中克幸/ビヨン・ビルドハイム組が5番手、「Hitotsuyama Audi R8 LMS」のリチャード・ライアン/藤井誠暢組が9番手と、まずまずの結果をおさめるが、「GAINER TANAX GT-R」のアンドレ・クート/富田竜一郎組は14番手となった。
公式練習の終了から3時間後、ピットロードに「SUBARU BRZ R&D SPORT」が並んでいたことに、きっと誰もが安堵したことだろう。ただし、辰己英治総監督曰く「あくまでも応急処置」とも。そんな状態であるにもかかわらず、井口は激走を見せて3番手で難なくQ1を突破。「僕のミスでクラッシュしてしまい、チームには迷惑をかけてしまいました。チームのみんなで僕のミスをカバーしてくれて、本当に感謝しています。何としても決勝では、結果で返さねば」と井口。

その思いをQ2担当の山内も受け止めて、3番手を獲得することとなった。そのQ2では「GAINER TANAX AMG GT3」の平中が4番手につけ、JAF-GT勢の猛攻続く中、FIA-GT3勢の最上位となった。そして、「Hitotsuyama Audi R8 LMS」の藤井も7番手を得た一方で、「GAINER TANAX GT-R」の富田は、あとコンマ02秒が及ばず、Q1突破できず、クートにバトンを託すことなく予選を終えていた。

ここまでは梅雨もまだ明けていない東北地方ながら、ドライコンディションはしっかり保たれていた。しかしながら、日曜日の未明に降った雨の影響で、フリー走行直前の路面は濡れたまま。そればかりか、開始が近づくと霧雨が舞い、走行開始となると本格的な雨に変わってしまう。一部の車両はドライタイヤからのスタートとなったが、やがて全車がウェットタイヤを履くように。そんな状況に、ダンロップ勢はより躍進を遂げることとなる。

「Hitotsuyama Audi R8 LMS」が2番手につけ、「ドライでも表彰台が狙えそうですが、ウェットだったら優勝も狙えると思います」と藤井。そして、3番手には「GAINER TANAX AMG GT3」が、4番手には「SUBARU BRZ R&D SPORT」が揃って並ぶ中、「GAINER TANAX GT-R」だけが16番手に留まり、「何がなんだか分からない」と富田はこぼす……。その後、雨は上がり限りなくドライコンディションになるのだが、決勝のスタート進行が始まると、再び小雨が舞う。しかし、近くには雨雲が存在しないことが天気レーダーでも確認されていたこともあり、誰もギャンブルに打って出ず、ドライタイヤを装着する。

「このコンディションなら、けっこう行けると思いますよ。まわりは硬めのタイヤを選んでいるようですし」と語るのは平中。決勝で切り込み隊長となったのは、「SUBARU BRZ R&D SPORT」の山内だった。スタートと同時に前の車両に揺さぶりをかけ、1コーナーを立ち上がるとひとつ順位を上げて2番手に上がる。トップにも立たんばかりの勢いを見せたが、しっかりガードを固められるも、まさに隙あらば……の意識は明らかだ。

そして「GAINER TANAX AMG GT3」のビルドハイムも4番手、「Hitotsuyama Audi R8 LMS」の藤井もまた6番手と、ひとつずつ順位を上げる。「GAINER TANAX GT-R」のクートにいたっては、2ポジションアップの14番手に。トップとの差を徐々に山内は広げられていたのに対し、周回が進むごと勢いを増していたのが平中だ。3番手の車両にプレッシャーをかけ続け、24周目には逆転に成功。

だが、その直後、クラッシュ車両を回収するためセーフティカーが入り、4周後にバトルは再開。ピットロードオープンに合わせ、次々とドライバー交代を行う車両が出る中、予定どおりのタイミングを選んだ「GAINER TANAX AMG GT3」は32周目に待望のトップに躍り出る。そして、平中にバトンを託した38周目まで、そのポジションをビルドハイムはキープした。ただし、ドライバー交代とともにタイヤ無交換、あるいは2本のみの交換に留めたチームは少なくなく、全車が済ませた時の平中の順位は6番手となっていた。その前を行くのが「SUBARU BRZ R&D SPORT」の井口だった。
一方、「Hitotsuyama Audi R8 LMS」が39周目に戦線離脱。ライアンに代わって間もなく、駆動系にトラブルが生じてしまったのだ。これで4台揃っての入賞は、また次回に持ち越されることになった。

対照的に井口と平中は、その後タイヤ4本交換のメリットが徐々に表れ始める。それまでのどんよりした空模様から、徐々に陽が差すようになり、路面温度が高まっていたのも、その一因だ。66周目には井口が3番手に、そして平中が4番手に浮上。続いて、この2台によるバトルが勃発し、71周目の1コーナーで平中は前に出るも、その直前の最終コーナーで激しくクラッシュした車両が。そのため、赤旗が出されてレースは終了となってしまう。そのため、70周終了時の順位でレースは成立。表彰台には井口と山内が立つこととなった。

「スタートでうまく2番手に上がれたんですが、トップのペースは速くて着いていくことができなくて。でも、その中でも自分のペースは崩さず最後まで走れましたし、タイヤも最後まで保ってくれました」と山内。そして、「今回は予選を走れたのも本当に奇跡ですし、まさか表彰台に上がれるとは思ってもいませんでした。クルマは完璧な状態ではなかったと思うんですが、その中でチームもセッティングだとか違うところで補ってくれたので、厳しい中でもレースをしっかり戦うことができました。次の狙い目は鈴鹿ですが、その準備として富士もしっかり戦いたいと思います」と、井口は力強く語ってくれた。

そして、「GAINER TANAX AMG GT3」は予選同様、FIA-GT3勢の最上位となる4位。「とにかく軽くて、最近ではエンジンもパワフルなJAF-GTには到底及びませんでしたが、FIA-GT3の中ではトップだったのは、パーフェクトなタイヤを提供していただいたおかげです」と福田洋介チーフエンジニア。

しかし、「GAINER TANAX GT-R」は11位に留まり、あと一歩のところで入賞を逃した。「1位、2位のJAF-GTが速過ぎて、どうにもならないところがあるのですが、その中でもSUBARU BRZ R&D SPORTが苦境をはね除けて3位になりましたし、GAINER TANAX AMG GT3も4位で、FIA-GT3のトップになれました。今年のGT300はまだ混沌としているので、どのチームにもタイトル獲得のチャンスはあります。それぞれ勝負できるコースに来た時は、ちゃんとモノにできるよう、これからもしっかり準備していきます」とダンロップモータースポーツの斉脇課長。今季初の勝ち名乗りを上げるのは、どのチームなのか、次戦が大いに楽しみだ。