第8戦 ツインリンクもてぎ

2014/12/24

GAINER TANAX SLSが今季4回目の表彰台に立つ!
新王者GAINER TANAX GT-Rは、凱旋レースで6位入賞

SUPER GTシリーズの第8戦、「MOTEGI GT 250km RACE」が栃木県のツインリンクもてぎで11月14〜15日に開催された。それまでに挙げた2勝と、前回のオートポリスで2位入賞を果たしたことによって、この最終戦を待たずしてドライバー/チームの二冠を「GAINER TANAX GT-R」(アンドレ・クート/千代勝正/富田竜一郎)が獲得。今回のレースは、新チャンピオンとしての凱旋レースとなる。果たして栄冠に花を添えられるか、大いに注目された。同じGT300のダンロップユーザーである「GAINER TANAX SLS」(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム)、「SUBARU BRZ R&D SPORT」(井口卓人/山内英輝)は、ここまでコンスタントに入賞を遂げてきたが、いずれも優勝には恵まれていない。今季最後の戦いで一矢報いられるかどうか、大いに期待されていた。
 最終戦の特徴と言えば、全戦出場のチームに対してはウエイトハンデをすべて下ろすことが許される。これまで3台ともにコンスタントな入賞によって、重さを最大の敵としつつも戦ってきただけに、足かせが取り払われたレースで、より一層速さをアピールすることが期待された。しかし、週末のツインリンクもてぎは、あいにくの悪天候。走り始めとなる、土曜日午前の公式練習からレインタイヤが装着されることになった。
このセッション中盤にトップにつけたのは、「GAINER TANAX SLS」の平中だった。2年連続で優勝を飾り、相性抜群を実証されているコースで1分56秒423をマークする。その後、マシントラブルに見舞われ、修復を強いられていたたが、3番手に踏み留まることとなった。 その一方で、「SUBARU BRZ R&D SPORT」は山内が1分57秒593で12番手、「GAINER TANAX GT-R」は千代の59秒060がベストで19番手と、立ち上がりは今ひとつ。続く予選でどこまで合わせてくるか注目された。だが、Q1ではクートが57秒469で3番手につけ、ビルドハイムはこれに続く57秒853をマーク。そして、山内も58秒193で6番手と、3台ともにQ2進出を果たす。この合わせ込みのうまさは、まさに百戦錬磨のダンロップユーザーと言えるだろう。
ただし、ひとつ予想外だったのは、Q2までのインターバルに雨足が一気に増してしまったことだが、「GAINER TANAX SLS」の平中は2分2秒566を出し2番手への躍進を遂げる。「雨の状況が分からなかったので、Q2が始まってすぐ出て行って、とりあえずそのまま走り続けることにしましたが、結果的には深溝を選んだ方が良かったようですね。それに換えていれば、トップタイムは出たと思います」と、得られたポジション以上に、平中は悔しそうではあった。「SUBARU BRZ R&D SPORT」の井口は4秒302で7番手、「GAINER TANAX GT-R」の千代は5秒277で8番手と、ダンロップユーザーが4列目のグリッドを独占する。
天気予報では日曜日には天気が回復すると告げられていたものの、早朝まで小雨が降っていた。そのような状況でのフリー走行では「GAINER TANAX SLS」が、平中の1分57秒997で3番手につけるも、「GAINER TANAX GT-R」は千代の59秒658、そして「SUBARU BRZ R&D SPORT」は井口の2分0秒057がベストとあって、それぞれ11番手、14番手と本調子ではない様子。ただし、そのフリー走行が終わると雨は止み、路面は次第に乾いていく。スリックタイヤも履けそうな状態となっていたことから、スタート進行は急きょ前倒しにされ、ウォームアップ走行も10分間追加されて、18分間で行われることになった。
ここではビルドハイムが出した1分59秒660がトップタイムながら、序盤にレインタイヤを装着して出しており、その後スリックタイヤに履き替えると誰も2分を切れずにいた。そのため、グリッドに並べられた車両のタイヤはまちまちで、作業の許されるフォーメイションラップ開始5分前まで、判断を遅らそうとしていたのは明らかだった。しかし、そんな中、いきなり強めの雨が降り出し、また路面を濡らす。

これは通り雨だったものの、結果的に全車がレインタイヤを選ぶこととなる。
 スタート直後に「GAINER TANAX SLS」のビルドハイムはひとつ順位を落とすも、「タイヤは素晴らしい仕事をしてくれて、路面はどんどん乾いていったけれど、きちんと走ってくれました」と語るように、10周目には2番手に返り咲く。その周、「GAINER TANAX GT-R」のクートも5番手に浮上、さらに13周目には「SUBARU BRZ R&D SPORT」の山内も6番手。またまた3台揃っての入賞が現実味を帯びてくる。
そして、「GAINER TANAX GT-R」は22周目に、「GAINER TANAX SLS」は23周目に、「SUBARU BRZ R&D SPORT」は24周目にピットイン。それぞれ千代、平中、井口に代わるとともに、ここでようやくスリックタイヤを投入する。ところが、その直後にセーフティカーがコースイン。2コーナーで接触があり、散乱したパーツを回収するためだ。この影響を受けたのが、「SUBARU BRZ R&D SPORT」と「GAINER TANAX GT-R」だった。それぞれ順位を入れ替えていたとはいえ、5番手と6番手でレースを折り返していた。
「SUBARU BRZ R&D SPORT」は「柔らかめのタイヤで行って、最初の数周はパフォーマンス良くて、行けるかなって感じだったんですが、徐々につらくなっていって」と、井口は徐々に順位を落とすことになる。一方、「GAINER TANAX GT-R」は6番手を最後までキープ。「クルマも作戦も良かったし、ノーミスだったのに、セーフティカーのタイミングだけが不運で、どうしようもなくなってしまいました」と千代は状況を悔やんでいた。 一方、「GAINER TANAX SLS」はリスタート時にはトップに立ち、そのままポジションキープの期待がかかるも、後続2台のペースは圧倒的に上回り、やがて3番手に落ちてしまう。「ずっとプッシュはしていましたが、後ろから来た2台を抑えるのは不可能でした。全力を尽くしたから悔しくはないですけど、今年はこういうシーズンだったということです。来年はこういう苦労をしなくて済むシーズンになればいいですけどね」と、平中は今季4度目の表彰台ゲットにも、喜びの様子は見せなかった。そして、「SUBARU BRZ R&D SPORT」は結局、11位でのゴールとなっていた。
レース後にモータースポーツ部の斉脇課長は「GAINER TANAX SLSが3位表彰台を獲得しました。本来なら勝って欲しかったのですが、今シーズンは予選で前の方に進出することができたので、決勝レースでもいいポジションが獲得できるよう、いろいろ考えていきたいと思います。また、今回は6位でしたが、GAINERとクートがWタイトルを獲得。これからはもっと強さを発揮できるような戦いをお見せするべく、来シーズンも頑張っていきますので、応援よろしくお願いします」というコメントで最終戦を締めくくった。