第6戦 スポーツランドSUGO

2014/12/24

GAINER TANAX SLSが今季3度目の表彰台をゲット!
GAINER TANAX GT-Rがまたも入賞、ランキングのトップを死守

SUPER GTシリーズの第6戦、「SUGO GT 300km RACE」が宮城県のスポーツランドSUGOで9月19〜20日に開催された。GT300のダンロップユーザーは、まさに絶好調! 88kgものウエイトハンデを背負ってなお、「GAINER TANAX GT-R」(アンドレ・クート/千代勝正/富田竜一郎)は2勝目をマークしてランキングのトップをキープすれば、「SUBARU BRZ R&D SPORT」(井口卓人/山内英輝)も3位入賞を果たし、揃って表彰台に上がっていたからだ。その一方で、惜しまれるのが終盤、「GAINER TANAX SLS」(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム)にトラブルが発生し、3台揃っての4戦連続入賞はかなわなかったこと。それでも3台とも高いパフォーマンスを示していただけに、今回も期待の一戦となっていた。

今回も千代が海外レース出場のため欠場となり、クートと富田のコンビで挑む「GAINER TANAX GT-R」は、前回挙げた2勝目によってウエイトハンデが上限の100kgに達し、いよいよ苦戦は免れないものと思われていた。実際、走り始めとなる公式練習は13番手。ところが、ここからしっかり上方修正してくるのは、見事としか言いようがない。公式予選ではクートが11番手とはいえ、難なくQ1突破に成功すれば、富田もQ2で8番手までジャンプアップしてしまったのだ。「100kg積んでアタックすると、さすがに重いですし、怖くもありました。これで、もし当たったらと思うと。だからこそ、ものすごく集中して走りました」と富田。
一方、100kgに比べれば半分以下ながら、それでも48kgも軽いとは言い難い。「SUBARU BRZ R&D SPORT」もまた、山内がQ1で10番手につけ、井口が7番手に浮上。もちろん、「GAINER TANAX SLS」も、この流れに続いていた。60kgを背負って平中が13番手でギリギリとはいえQ1クリアに成功すると、ビルドハイムもまた11番手にまで上がってきたからだ。それぞれエースの奮起に、パートナーが大いに応えることになっていた。その上、日曜日の午前中に行われたフリー走行では、大幅なセット変更が功を奏し、「SUBARU BRZ R&D SPORT」の井口がトップタイムを記録していたから、もはや期待は高まるばかりだった。

ひとつ不安があったとしたら、それはこの時期とは思えぬほどの温度の高さだった。本来なら、秋風も吹き……というフレーズが添えられるはずだったが、また夏が戻ってきたかのような陽気となっていた。決勝レースのスタート進行時の、気温は26度で、路面温度は38度。想定温度域からは外れていないものの、できれば下がってほしいというのがスタッフの総意だった。

実際いきなりプッシュができない状況の中、「SUBARU BRZ R&D SPORT」の井口は7番手、「GAINER TANAX GT-R」のクートは8番手、そして「GAINER TANAX SLS」のビルドハイムは11番手と、それぞれポジションキープからレースはスタートした。だが、周回を重ねるうち、やや路面温度が下がったこともあり、まずは10周目にクートと井口がポジションを入れ替える。逆に13周目には、ビルドハイムがひとつ順位を落としてはいた。
しばらくはGT300全体にこう着状態が続いていたが、突然流れは変化した。GT500の車両がバックストレートでクラッシュしたため、24周目からセーフティカーが入ったからだ。そして、28周目にピットレーンオープンとなると、ほぼ全車がピットになだれ込んできて大混乱となった。

コース上に留まったのは、GT300では「GAINER TANAX SLS」を含む3台のみ。セーフティカーが離れた29周目にビルドハイムはピットに入ってきて、完全にタイミングを逸したかと思われたものの、これがかえって大混乱を回避することになった。というのも、平中は6番手でコースインすることができたからだ。前にいる車両のうち2台は、前述のとおりドライバー交代を行っていないから、やがて4番手に浮上するのは必至だった。一方、順位を落としていたとはいえ、「GAINER TANAX GT-R」の富田、「SUBARU BRZ R&D SPORT」の山内は、平中の2台、3台後ろでコースイン。序盤に前後を走っていた車両の中には、周回遅れになってしまったのもあったぐらいだから、傷口を最小限に留めたのは間違いない。そして32周目には富田が平中の背後につけ、38周目には山内もひとつ順位を上げてダンロップユーザーたちが編隊を築くことになった。
全車がドライバー交代を済ませると、予想どおり平中が4番手に浮上。富田と井口は前を走っていた車両のリタイアもあって5番手を争い合う。そして平中も残り2周となる73周目に、ひとつ順位を上げることに成功する。その結果、「GAINER TANAX SLS」は3位、「SUBARU BRZ R&D SPORT」は5位、「GAINER TANAX GT-R」は6位でゴールし、今季4回目の入賞揃い踏みを果たすこととなった。しかし、レース後の表情は三人三様だった。「今年3回目の表彰台は嬉しいけど、ラッキーが重なっただけなので、手放しで喜べる状況ではないです」と平中が言えば、「ドライバーはふたりとも頑張った。ただ、今回初めて入れたフロントのタイヤは予選がぶっつけ本番だったから、セットが決まらなかったのが痛かった」と、やはり悔しそうに語ったのはSTIの辰巳英治監督だ。
これに対し、「当初の予定より10周以上、タイヤを保たすことができて、しかもアンドレのマージンを25ポイントまで残せたので、僕は満足です」と語るのは富田。これで今季の「GAINER TANAX GT-R」での予定は終了、まさにグッドジョブの感は十分だった。
「また、3台揃って入賞が果たせましたし、これで『GAINER TANAX GT-R』とクート選手にチャンピオン獲得の可能性が高まってきました。残る2戦も、結果を残したいと思います」と、ダンロップモータースポーツ部の斉脇課長。早ければ、次回のオートポリスから吉報が届くだろう。