第5戦 鈴鹿サーキット

2014/12/24

GAINER TANAX GT-Rが88kgのウエイトハンデを背負ってなお2勝目を獲得!
SUBARU BRZ R&D SPORTも今季初の表彰台へ

SUPER GTシリーズの第5戦、「44TH INTERNATIONAL SUZUKA 1000km」が三重県の鈴鹿サーキットで8月29〜30日に開催された。GT300のダンロップユーザーは3戦連続で、3台が揃って入賞を果たし、絶対的な安定性を示している。第2戦を制してランキングのトップにつける「GAINER TANAX GT-R」(アンドレ・クート/千代勝正/富田竜一郎)は、前戦の富士スピードウェイのレースで6位に、「GAINER TANAX SLS」(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム)が3位となって今季2度目の表彰台へ。「SUBARU BRZ R&D SPORT」(井口卓人/山内英輝)にいたっては直前のテストでアクシデントに見舞われながらも、8位に入っていた。今や止まらぬ勢いすら感じさせるまでとなっている。

シリーズ最大の難関、「鈴鹿1000km」を前にして、それぞれのチームランキングは「GAINER TANAX GT-R」がトップで、積むウエイトハンデは88kg。「GAINER TANAX SLS」は5位で60kg。そして「SUBARU BRZ R&D SPORT」が9位で22kgである。ストレートに低速から高速まで、さまざまなコーナーを組み合わせる鈴鹿では、さすがに苦戦を強いられることが予想された。実際、土曜日の公式練習では、それぞれ10番手前後に並ぶのが精いっぱいだった。
ところが、そんな見方が予選で一変する。「SUBARU BRZ R&D SPORT」が2番手につけたばかりか、3台ともにQ1突破に成功。さらに千代のスーパードライビングによって、Q2では「GAINER TANAX GT-R」が2番手につけ、「SUBARU BRZ R&D SPORT」の山内も4番手、そして「GAINER TANAX SLS」もビルドハイムが11番手につけたのだ。これには千代自身もビックリで、「今回、温度が低くて、けっこう自分たちのタイヤにあっていて、まぁトップ10は堅いだろうな、とは思っていたんです。それで本当に1周だけ、全神経を集中させて自分の中でもベストを尽くして走った結果、こんなタイムが出てしまいました」と言う。そして、井口も「タイヤの進化がすごくて。公開練習からほとんどセッティングを変えておらず、これまでの4戦に比べ、進化が著しくて、すべて良くなっています」と語っていたほど。

とはいえ、肝心なのは決勝レースである。通常のレースよりも3倍以上の長丁場で、しかも路面は予選とは一転して完全なウェット状態となった。実際、「GAINER TANAX GT-R」はポジションを保てたのは、スタートからの3周まで。クートが徐々に順位を落とし、たまらず予定外のドライバー交代を15周に行ったほどだったが、そこからの先の挽回も凄まじかった。
代わった千代が、続いてドライブした富田がみるみるうちにポジションを回復。いったんは周回遅れになりながら、途中二回のセーフティカーランや、ライバルのアクシデントにも助けられたとはいえ、再びクートが乗り込んだ90周目には、なんと4番手を走行する。そればかりか、ピットタイミングの違いもあって97周目にトップに立つと、ポジションを保ち続けたのである。

しかし、逃げ切りだけは許されず、終盤に襲いかかってきたのは、他ならぬ「SUBARU BRZ R&D SPORT」。山内が、井口がしきりに揺さぶりをかけるも、一向に動じることはなかった。やがて「SUBARU BRZ R&D SPORT」は3番手に順位を落とすが、そのポジションを最後までキープして、今季初の表彰台を獲得することになった。

代わってBMW Z4の猛攻を受けた「GAINER TANAX GT-R」は、チェッカー直前に降り始めた雨さえ味方につけて、逃げ切りに成功。今季の2勝目をマークすることとなった。奇しくも今回はクートのGT100戦目、「記念すべきレースで優勝できて、きっと一生の思い出に残る。チームがいい仕事をしてくれて、チームメイトに恵まれ、最高のタイヤに支えられたおかげ」とレース後に感慨深げに語っていた。この優勝により、もちろんチームランキングのトップを死守したばかりか、ドライバーランキングではクート、千代、富田の順で並ぶことに。前代未聞の記録達成も、決して夢ではなくなってきた。「僕らの順位も重要ですが、アンドレのドライバーチャンピオン獲得に向けて、これからも全力を尽くすつもりです」と千代と富田。

そして3位に入った「SUBARU BRZ R&D SPORT」の山内は、「本当にいろんなことがあって、3位になれたことはチームのみんなや、ダンロップさんにも感謝しています。途中トップまで行けたので、ちょっと悔しい部分はあるんですけど、次につながる第一歩と思えば、この先に僕らにもまだ勝つチャンスがあるんじゃないかと思います。序盤の濡れているところ、その後のちょい濡れは、特にタイヤが良かったです」と語っていた。
その一方で、惜しまれるのは「GAINER TANAX SLS」が終盤にトラブルに見舞われたこと。メルセデス勢最上位となる5位が、あと一歩のところで手に入るはずが、左フロントのホイールナットにトラブルが発生し、ゴールまであと7周で緊急ピットストップを余儀なくされたからだ。11番手に後退し、この段階での巻き返しは果たせず、連続入賞記録がストップしてしまう。そこまでの過程が、我慢に我慢を重ねていた上だっただけに、どれだけ無念な思いでドライバーのふたりがあるか、想像に余りある。

「GT300については「GAINER TANAX GT-R」が優勝、「SUBARU BRZ R&D SPORT」が3位と、2台が表彰台に上がりました。GT300については多くの車種のマシンが活躍してくれていて、タイヤもライバル勢と互角以上に戦うことができています。これからも好結果を出せるよう、努力していきたいと思います」とダンロップモータースポーツ部の斉脇課長。
残る戦いは3レース。ダンロップユーザーの3チームが、最後まで健闘を重ねることを期待したい。