第4戦 富士スピードウェイ

2014/12/24

GAINER TANAX SLSが第2戦に続き、表彰台に上る
安定のダンロップユーザー、3戦連続で3台ともに入賞!

SUPER GTシリーズ2015の第4戦、「FUJI GT 300km RACE」が静岡県の富士スピードウェイ8月8〜9日に開催された。ここまでGT300のダンロップユーザーは好調をキープしている。第2戦を制した「GAINER TANAX GT-R」(アンドレ・クート/千代勝正/富田竜一郎)組は、前回のチャン・インターナショナル・サーキット(タイ)でも2位入賞を果たした。「GAINER TANAX SLS」(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム)は3位、4位、「SUBARU BRZ R&D SPORT」(井口卓人/山内英輝)も8位、6位と、全車2戦連続で入賞を果たしており、今まさに志気は上がり続けている最中。今季二度目の開催となる富士スピードウェイでも、この記録を伸ばし続けることが期待された。

レースウィークの2週間前にスポーツランドSUGOで合同テストが行われたが、まさかのハプニングが「SUBARU BRZ R&D SPORT」を襲った。クラッシュを喫し、マシンは炎上してしまったのだ。テストからレースまでのインターバルが少ない中、一時は出場すらも危ぶまれていたのだが、チームの懸命な努力により、マシンはハプニングを感じさせない状況でパドックへ姿を現した。その様子に関係者のみならず、誰もが安堵した。
一方、ランキングトップに躍り出た「GAINER TANAX GT-R」にしても、ランキング5位の「GAINER TANAX SLS」にしても、前2戦のような展開は望み得ないのは確かだった。ウエイトハンデは78kg、38kgにも達しており、これが真夏の富士スピードウェイでどう影響を及ぼすか。うだるような暑さが、ドライバーのみならず、マシンにもタイヤにも、ただでさえ大きな負担をかけるからだ。

やはりと言うべきか、土曜日の公式練習では「GAINER TANAX SLS」こそ6番手につけるも、「SUBARU BRZ R&D SPORT」は13番手、「GAINER TANAX GT-R」は16番手に留まってしまう。これでは3台揃ってのQ2進出は困難か……と思われたが、そこは何度も修羅場をくぐり抜けてきた歴戦の雄たちである。まず「GAINER TANAX SLS」はビルドハイムが1分38秒546を記し、8番手に。「SUBARU BRZ R&D SPORT」も井口が1分38秒651で11番手ながらQ1をクリア。ただ、「GAINER TANAX GT-R」の千代のみ、1分38秒792をマークするもコンマ1秒及ばず、敗退かと思われた。
しかし、続くQ2には、その「GAINER TANAX GT-R」の姿があった。上位につけたチームのベストタイムが四輪脱輪で抹消されたため、繰り上がって進出を許されたのだ。急きょ舞い込んできたチャンスを生かし、クートが1分38秒729を、重たく、暴れるマシンでマークして11番手に浮上。そして、「GAINER TANAX SLS」の平中が1分38秒203で7番手に、そして「SUBARU BRZ R&D SPORT」の山内が1分38秒390で8番手につけることとなった。
「重さを考えれば、2台ともまずまず」と語るのは、GAINERの福田洋介チーフエンジニア。しかし、こうもつけ加えていた。「今の温度は想定域を外れていて、暑くなり過ぎても困りますが、少なくても予選より決勝の方が暑くなってくれた方が……」と。予選が行われた頃はコース上空を白い雲が覆い、さらにやや強めの風が吹いていたため、若干ではあるが温度を下げていたためだ。しかし、そんな福田チーフエンジニアの思いが届いたのか、決勝の行われる日曜日は再び青空が広がり、暑さがこたえるようにもなっていた。午前に行われたフリー走行では「GAINER TANAX SLS」が4番手、「GAINER TANAX GT-R」も5番手の好発進。さらに「SUBARU BRZ R&D SPORT」にいたっては2番手と、もはやテストでのダメージを感じさせないほどの勢いを見せるまでとなっていた。

決勝レースでもとりわけ気を吐いたのが、「GAINER TANAX SLS」のビルドハイムだ。オープニングラップのうちにひとつ順位を上げ、6番手に浮上したばかりか、3周目の1コーナーで1台をパス。トップこそ逃げていたが、2番手を争う5台の集団の中で、しっかりと周回を重ねていく。やがて、これに「GAINER TANAX GT-R」のクートも加わる展開となった。
ビルドハイムの勢いは10周を過ぎるとさらに増し、1周ごと1台ずつ抜き去って、14周目には2番手にまで上り詰めた。「ダンロップのタイヤは僕のスティントで、最後まで威力を発揮してくれて、前のクルマのタイヤがどんどんつらくなっていたのを感じたので、隙を見つけて抜き続けることができたんだ」とビルドハイム。そして、21周目に平中へと早めの交代を行い、全車がドライバー交代を済ませた時には3番手を走行。27周目に千代へと交代した「GAINER TANAX GT-R」もまた6番手でレース終盤に突入した。
一方、決勝ともなると、さすがに我慢を強いられたのが「SUBARU BRZ R&D SPORT」。スタートを担当した井口はポイント圏外での周回を重ねていたが、ライバルにトラブルが相次いだことから、27周目に山内にバトンを託した後は、10番手での折り返しに成功。49周目のオーバーテイクに続いて、脱落車両がその後あったことから、8番手にまで巻き返す。
3台ともにそれ以降の浮上は果たせなかったとはいえ、揃って3戦連続の入賞を果たすことに成功する。「振り返ってみると厳しいレースで、しっかりタイヤのマネージメントをして走り続けていました。それでも後半きつかったんで、いろんなアクシデントに助けられて表彰台に立てたというか……。次の鈴鹿に限らず、この先はもっと厳しいレースが待ち構えていると思うので、今日のレースをしっかりやってポイントを積み重ねて、ベストパフォーマンスを発揮できるような時に、確実に勝ちに行きたい。そういう意味で今回の3位は、ベストを尽くした結果だと思います」と語るのは「GAINER TANAX SLS」の平中。
「タイヤは自分のスティントの最後の方で、少し苦しかった印象はあったけど、それに関しては最初から織り込み済みの部分だったので、特に慌てはしなかったよ。チームメイトの千代も頑張ってくれて6位でフィニッシュできたから、ランキングのトップをキープできて良かった。これからもウエイトハンデは覚悟の上だけど、チェッカーを受けるまでどうなるか分からないので、できるだけ戦うつもりだよ」とは「GAINER TANAX GT-R」のクートだ。
さらに8位という結果を、普段以上に噛み締めていた様子なのが「SUBARU BRZ R&D SPORT」の井口だった。「本当に走れるか走れないか分からない状況で、メカニックが頑張ってくれたので、この結果にはものすごい思いが入っています。僕たちが強くなるための戦いになりましたし、タイヤも最後まで安定して走行できたので、決勝には強いという印象も抱けましたから、そこが次の鈴鹿1000kmでは強みになるんじゃないでしょうか」と。
その井口のコメントにもあるとおり、次回のレースはシリーズ最大の難関だ。決して楽な戦いにはならないだろうが、それぞれが今回見せたしぶとさを自信に、引き続き高得点を積み上げることが期待される。