第3戦 チャン・インターナショナル・サーキット

2014/12/24

MASP9306

GAINER TANAX GT-Rが2戦連続で表彰台へ
富士に続いて、ダンロップユーザー3台が揃って入賞果たす

SUPER GTシリーズ2015の第3戦、「BURIRAM SUPER GT 300km RACE」がタイのチャン・インターナショナル・サーキットで開催された。この国でSUPER GTが行われるのは2回目。未知の要素が多かった昨年に比べ、蓄積されたデータによって熱く、そして灼熱の地で暑き戦いが繰り広げられるのは必至と言えよう。富士スピードウェイが舞台の第2戦では、「GAINER TANAX GT-R」(アンドレ・クート/千代勝正/富田竜一郎)組が初優勝。そして、「GAINER TANAX SLS」(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム)が3位で揃って表彰台に上がり、「SUBARU BRZ R&D SPORT」(井口卓人/山内英輝)も8位と、全車ポイント獲得に成功している。それぞれ上昇ムードにあるだけに、今回も大量得点の期待がかかる。

前回のレースを制して、意気上がる「GAINER TANAX GT-R」ながら、千代が今回は海外レースに出場のため欠場。そこで前回も第3ドライバーとして起用された富田竜一郎が、代役を務めることに。富田はSUPER GTにはスポット参戦の経験しかないが、昨年のこのタイのレースでファステストラップを記録している。そして、GT-RのN1ワンメイクレース、「プレステージカップ」の2年連続チャンピオンとして、講師を務める田中哲也監督を振り回した経験も持つ。それだけに千載一遇のチャンスを、待ち焦がれていたのは間違いない。
問題は48kgものウエイトハンデを背負っていること。走り始めとなる公式練習では6番手に留まった「GAINER TANAX GT-R」ながら、ダンロップユーザーとしては最上位で、しかも富田はクートと遜色のないタイムを出していた。7番手は「SUBARU BRZ R&D SPORT」で、8番手は「GAINER TANAX SLS」と並ぶことに。
予選のQ1には、それぞれクート、平中、山内が挑んだ。コンディションはというと、広い空に雲がいくつも浮かぶものの、公式練習同様、青空が広がり、温度はというと32度から4度上昇、路面温度にいたっては13度上昇の58度となって、より厳しい条件となっていた。しかし、「GAINER TANAX GT-R」の1分34秒811で4番手を筆頭に、「GAINER TANAX SLS」は1分35秒204で7番手、「SUBARU BRZ R&D SPORT」は1分35秒524で9番手と、揃ってQ2進出に成功。パートナーにバトンを託すこととなる。
続くQ2では気温こそ36度のままだが、路面温度は62度まで上昇していた。だが、そんな過酷な状況の中で誰より気を吐いたのが富田だった。果敢にコースを攻め続け、ラスト3周は1分34秒台を連発し、ラストアタックで1分34秒507を記録して3番手につけたのだ。しかし、「嬉しさより、悔しさの方が……」と当の富田に笑顔はない。その理由を「同じGT-Rに負けていますから。ただ、ウエイトの分の差だと思うこととします」とも。

「GAINER TANAX SLS」のビルドハイムは、1分35秒311で平中のタイムを上回ったものの、順位は落として9番手に。そして、「SUBARU BRZ R&D SPORT」の井口は、1分35秒840で、11番手からそれぞれ決勝に挑むこととなった。
明けて決勝レースの行われる日曜日は、天気予報で高い降水確率が告げられ、いつ降り出してもおかしくないし、おまけに南国らしくスコールに見舞われるという。ところが、その気配は一切なし。いや、日本のゲリラ豪雨のようなものが……と、誰もが戦々恐々とする中、まず行われたフリー走行では「GAINER TANAX GT-R」が6番手、「SUBARU BRZ R&D SPORT」が7番手、「GAINER TANAX SLS」が8番手と、公式練習同様並ぶこととなった。

決勝レースのスタート進行が始まっても雨の気配は一切なく、強い日差しが路面を照らす。ただし、穏やかな風が吹いている影響なのか、気温は34度ながら、路面温度は45度と控えめ。GAINERの福田洋介代表は「クルマの特性が違うので、SLSにはもう少し高め、GT-Rにはもう少し低めが理想的なので、悩ましいところなんですが」と語る。この後の変化が、展開にどう変化を及ぼすか。
スタートを担当したのは「GAINER TANAX GT-R」がクートで、「GAINER TANAX SLS」がビルドハイム、そして「SUBARU BRZ R&D SPORT」が山内。このうちクートと山内は、オープニングラップをポジションキープとしたものの、ビルドハイムは7番手に。しかし、2周目には揃ってひとつ順位を上げ、上昇ムードは十分。やがてビルドハイムは4番手を争う5台の集団の2番目、そして山内はしんがりで続いていくことに。上位が単独走行となっていただけに、その緊張感に満ちたバトルが観客の視線を釘づけにした。
そんな中、21周目にビルドハイムが集団の先頭となる4番手に浮上、次の周には山内も7番手に。ダンロップユーザーの中で先手を切ったのは、「GAINER TANAX SLS」で25周目には平中に交代。29周目には「GAINER TANAX GT-R」が富田に、そして32周目には「SUBARU BRZ R&D SPORT」が井口にステアリングを委ねることになった。全車がドライバー交代を済ませ、レースが再び落ち着きを取り戻すと、富田と井口はポジションキープ。しかし、平中はタイヤ無交換策を採った車両に先行を許していた。
この後のレースは、比較的淡々と進んでいくが、残り5周となったところで4番手を走る車両が再給油を強いられたため、平中が代わって4番手につけ、井口は6番手に。また、一時は20秒近くにまで達したトップとの差を、富田は10秒を切るまでとし、ワイルドカードで出場の地元チームに続く、セカンドファステストラップを最終ラップに打ち立てた。
「2位という結果は喜ばしくあるのですが、前半の差をひっくり返せるほどじゃなかったのが悔しいですね。タイヤはすごく良くて、最後まで全開でしたが、それでも耐えてくれましたし。今のダンロップとGT-Rの組み合わせは、かなり強力な気がします。次に乗るのは鈴鹿、それとSUGOの連戦になりますが、またどこまでやれるのか楽しみです」と、「GAINER TANAX GT-R」連続入賞の立役者になった富田。そして、「GAINER TANAX SLS」は4位でゴールし、「僕らのできる最善の結果は出せたと思います」と平中は語った。そして、「クルマのバランスを決勝でうまく合わせられたので、タイム的にも良かったですし、ポジションも上げられました。タイヤとのマッチングもだいぶ良くなってきているし、今後がもっと楽しみです」と、山内が語る「SUBARU BRZ R&D SPORT」が6位でゴールした。