2007年度D1第5戦エビス報告
URAS製 TYPE-GTエアロを装着
車両について
今回のエビス戦からエアロパーツをURAS製TYPE-GTに一新し、同時にリアウイングのマウント位置も高くしました。この空力を重視されたエアロパーツの変更はリアの大幅なトラクションアップに貢献していて、これに合わせて足回りについても若干のセッティング変更を行いました。リアのバネレートを7kから6kに変更し、よりトラクションを掛けるセッティングにしたのです。
実は先日のダンロップ・ファルケン・ドリフトフェスティバル(長っ)の前後で、色々とセッティングの変更やギア比の確認等の事前テストをやってて、これがかなり良い方向に行っちゃったりしたのです。ファイナルは4.363がベストらしく、これだと3速でも4速でも走れるようなワイドなギア比になりました。単走は4速で進入して車速や迫力を上げ、追走のときは3速で走って、最終コーナーの脱出速度を上げると言う作戦だったりしました。エビスサーキットは比較的小さなショートコースなので、エンジン等の仕様変更は特に行わず、中間域やレスポンスを重視した仕様のまま、レッツゴーエビス!
破損した3速ギア
作業は朝まで続いた
23日(木)練習走行日
木曜日は朝から公式練習走行の日です。ドリフェスの翌々日、エイベックスさんの撮影のとき、4.363のファイナルが壊れちゃったので、今回新しく組み直したファイナルや足回りのセッティング等をゆっくりと確認していました。事前のメンテナンスは完璧に行ってきたはずでしたが・・・2回目の走行枠の終わり頃、野村さんからリア周りの異音を指摘されます。そのままピットに戻り、考えられるところを確認&修理しましたが、この時点では原因を特定できていませんでした。3回目の走行枠で僕が横に乗って音を確認してみると、どうやらそれはミッションからの異音らしく・・・嫌な予感が頭を過ぎりました。もう一度ピットに戻ってミッションオイルを抜いてみると、何と3速ギアの破片が・・・。このとき頭は真っ白!!どうしようっ!!
こうなると、いずれにしてもミッションを降ろし、中の状態を確認するしかありません。一緒に持って行ってた3号車から、Hパターンのミッションを移植することも考えましたが・・・幸いにもまだ木曜日です。
そうだ・・・今回は「エンジョイD1」じゃんっ!と言うことで、最後まで諦めずに駄目だったら駄目でも良いから、できるだけの事はやってみようっ!と、メカニック皆でそのままホリンジャーの分解作業を続けることにしました。不幸中の幸いか、JUNさんに3速ギアの在庫(若干ギア比は違いましたが)があると言うことだったので、まだ会社にいた社員に、BLITZ→JUNさん→エビス→BLITZと言う、長距離ドライブをお願いすることにしました。
夜になってギアと専用工具が到着し、チームオレンジさんの本拠地K-STYLEでミッションの分解作業を始めました。ここではいつものように、ホリンジャー伯爵(JUN小山さん)&ホリンジャー王子(JUN山郷さん)のご協力もあり、ミッションは見事に復活!!ホント、いつもいつも、熊久保さんをはじめとしたチームオレンジの皆様には、感謝感謝っ!です!
午後には無事に走行
24日(金)練習走行日
この日の昼には車両への搭載も完了し、ミッションの作動確認も完璧です。しかも、3速のギア比が1.238から1.181に変わったので、より伸びる方向へ行き、ギア比のセッティングは更に良い方向にっ! 15分×1回の走行しかできませんでしたが、完全に復活したマシンと野村さんの走りを見て、何とか一安心と言うところでした。殆ど寝てない状態だったので、さすがにこの日は早めに・・・おやすみなさい・・・でした・・・。
25日(土)D1グランプリ予選
天候にも恵まれ、真夏の強い日差しの中、D1グランプリの予選が始まりました。今回の第5戦エビスはシードを除く計61名が予選を走り、上位20名が決勝進出となります。基本的な審査基準はいつもと変わりませんが、今回は最終コーナー脱出後、アウト側の壁ギリギリまでコース幅を一杯に使っているかが重視され、同時に審査員席前のスピードもポイントとなりました。又、最終コーナーには神本副審がいて、通称「ファンタスティックフラッグ」と言う、最終のクリップからストレートにかけてカッコ良い走りが出た時に振られる「日の丸旗」は加算のポイントになります。予選の結果は新しく投入した車両が仕上がってきた斉藤太吾選手がトップ通過し、非常に高いスピードを見せた吉岡稔記選手が続く2番手で通過しました。
27日(日) D1グランプリ決勝
前日に引き続き決勝日も真夏日に恵まれ、会場は7700人もの観客で埋め尽くされました。
最後まで諦めずに頑張った甲斐もあり、マシンは完全に復活っ!!。朝一の練習走行で走りを含めた最終的な確認を行い、1回戦に向けて集中力を高めていきます。
1回戦
今回はとにかく初心に戻り、「エンジョイD1」をチーム内のテーマにしていたので、前半戦のようにピリピリした雰囲気はありません。
1本目、事前の作戦通り3速で最終コーナーを脱出し、壁際一杯のアウトラインを綺麗にトレースしながら、113km/hのスピードで1コーナーに飛び込んできます。神本副審の日の丸旗もゲットしましたが、若干のミスもあり99.90点です。
続く2本目、今度は4速で脱出して1本目と同じようなラインをトレースし、日の丸旗もまたまたゲット!!そのまま115km/hのスピードで1コーナーに飛び込みますが、3コーナーから4コーナーにかけてアクセルを抜いていると指摘され、99.95点です。野村さんは「シフトアップしたんだよぉ~」と言っていますが、仕方がありません。
最後の3本目、最終コーナーの日の丸旗は振られませんでしたが、その他は素晴らしい走りを披露し、得点は同じく99.95点でした。
結局、100点こそ獲得できませんでしたが、7位で1回戦を突破し、追走へとコマを進めました!
シリーズランキングトップ
末永選手との対戦
べスト16追走
ベスト16初戦の相手は、現在シリーズランキングトップの末永正雄選手との対戦です。末永選手とのポイント差は38ポイントもあるので、ここで野村さんが勝利するとシリーズ争いも面白いことになってきます。1本目、野村さんが先行時では末永選手も距離を縮めてきますが、完全にインに入りきれずに判定は5:5です。入れ換えて2本目、野村さんの後追いでは最終コーナーから完全にインに入り込み、そのまま2コーナー、3コーナーを抜けていきます。この判定は6:4で野村さんが取り、見事にベスト8進出です!!
ベスト8
続くベスト8の対決は、またしてもシリーズランキング上位の川畑真人選手との対決です。1本目、野村さん先行では、川畑選手は若干距離を開けてきて最終コーナーを脱出していきます。野村さんにも若干にミスがありましたが、川畑選手はこの距離を詰める事ができずに判定は5:5です。入れ換えて2本目、野村さんは最終コーナーからイン側に飛び込みますが、野村さんにも若干の戻りがあり、判定は5:5です。これで勝負はサドンデスに突入です。サドンデス1本目、野村さんが先行時、川畑選手は2コーナーでインに飛び込む走りを披露し、判定は4:6で川畑選手にアドバンテージが付きます。ところが、野村さんはこの時も落ち着いており、次の後追いでは同じように最終コーナーからイン側に飛び込む走りを披露し、見事に判定をひっくり返して勝負はまたしてもサドンデスです。再戦にわたる再戦はTOYO勢には厳しい条件下になり、ここで川畑選手はタイヤ交換に入ります。一方、我々DUNLOPチームはタイヤの磨耗に対してかなりのアドバンテージがあり、タイヤ交換は無しでそのまま走れます。川畑選手がタイヤ交換後のサドンデス2本目、ここでようやく勝負が付く形となりました。野村さんが先行ではほぼ5分の走りでしたが、入れ換えて後追い時、2コーナーでシフトミスをした川畑選手は失速してしまい、ドリフトが戻ってしまいます。このミスが決定的になり、野村さんはベスト4に進出です!!
ベスト4
ベスト4の顔合わせは、初戦のエビス、第4戦のSUGOに引き続き、宿敵手塚強選手です。ベスト4まで来た以上、ここで負けるわけには行きません。「エンジョイD1」とは言いつつも、野村さんにも僕にも力が入ってきます。ですが、ここで落ち着いて一呼吸し、手塚選手との今までの対戦を思い出して「1コーナーで詰め過ぎるのは止めましょう」と野村さんと話し合います。野村さんの後追いでは2コーナーでインに入り、6:4でアドバンテージをとりますが、先行時には手塚選手に同じことをやられて4:6でアドバンテージを取られます。ベスト8の対戦と同じように勝負は再戦、再々戦と縺れ、勝負はサドンデスの3本目でようやく付きました。ついに勝負に出た野村さんの後追い時に、最終コーナー出口からインを付く走りを披露し、6.5:3.5のアドバンテージを取ります。続く先行ではタイヤがタレてしまったと言う手塚選手は最終コーナーで姿勢を乱して大きくドリフトが戻ってしまい、長かった戦いはここで決着が付きました。この戦いでも、終始安定した走りを披露した野村さん&DUNLOPタイヤの完全勝利です!!
決勝の相手は内海選手
決勝!!
2007年シリーズ初めての決勝戦の相手は、久しぶりに復活を果した内海彰乃選手との対決です。野村さんはしばらく一緒に走ったことが無く、車の情報も良くわからない状況ではありましたが、内海選手はストレートの壁際から1コーナーにかけてのスピードが若干低いようでした。最終コーナーからあまりイン側に飛び込むと詰め過ぎて戻ってしまう恐れがあり、ここを十分注意するように野村さんに伝えました。1本目、野村さんの後追い時、若干離し気味に最終コーナーを出てきますが、ストレートで予想以上に距離が縮まってしまいます。ギリギリの所で何とか持ちこたえますが、この判定は5:5です。入れ換えて先行時、お互いに5分の走りで勝負はまたしてもサドンデスへ突入です。サドンデス1本目、「最終コーナーは離して行くよ」と若干の距離を保ちながら1コーナーへ飛び込み、2コーナーにかけて距離を詰めて、立ち上がりで何とオーバーテイクです!!野村さん、チョーカッコ良い!!最後の先行でも無難に走り切り・・・って事は、もしかしてっ!?!?
熊久保さんが表彰式に行こうぜっ!ってニューマシンのランサーの横に乗せてくれて、審査員席前に行くと・・・優勝は勿論、野村さんだぁ~!!
胴上げされる野村さん
決勝!!
今回の第5戦は前半戦の勝ちを狙い過ぎたレースの反省点を生かし、「エンジョイD1」を常に心掛けてきました。序盤でミッショントラブルがありましたが、修復の時間が十分にあった事は不幸中の幸いでした。修理の作業中も「エンジョイD1」をメカニック全員の合言葉にし、楽しんで対応したことによって翌日からも良いムードを保てたのだと思います。又、シリーズランキング上位の3名が序盤戦で脱落したことにより、チャンピオン争いにも再び希望ができました。次戦のオートポリスもこの初心の気持ちを忘れることなく臨み、2連続優勝を狙って、シリーズチャンピオン争いを引っかき回してやりますっ!
皆さんも応援、宜しくお願い致しますねっ!!