2007年度D1第2戦富士報告
富士での第2戦に望む
ER34
今回は前回のエビス戦でチョッピリだけ当たってしまった、右ドア、ステップ、リア周りを板金しました。エアロは簡単な修正だけですが、中身のボディについてはしっかり板金を行っています。あんまりポンコツだとかっこ悪いけど、毎回綺麗にしててもキリが無いし(野村さんごめんなさいっ!)今回は簡単な修理だけって感じです。仕様変更については今回も行っていませんが、だいぶ使ったクラッチはそろそろ交換しとこうかなって思い、新品にしておきました。
アライメントは前回のエビス戦と同じにデータにして、現地でタイヤの表面や野村さんのフィーリングを確認しながら、富士でのセッティングを決めることにしました。基本的にはいつも同じ感じですが、それだけ車が仕上がってるって事ですよ。(自負)
ヘアピンを逆走で行われる
練習走行日
今回は木曜日の専有走行を行わないので、合同練習走行は金曜日の一日のみです。20分×4回の限られた時間の中、セッティングや走行ラインの見極め等を行わなければならないので、とても慌しい一日になります。まずはいつものようにギア比の確認を行い、徐々に審査基準に合わせた理想的なラインに近づけて行きます。すると、2回目の走行枠を終えたところで野村さんからセッティング変更の指示が出ました。ギア比は昨年の第6戦の時と同じ4.111ファイナルで問題はありませんが、フロントの足回りに違和感があるようです。これは去年のアーウィンデールの最終戦でも同じような症状が出ていて、今回も一番気になっていたところでした。富士スピードウェイは高速サーキットなので通常以上の荷重移動があり、フロントがフルバンプしたときにステアリングの舵角がわからなくなると言う症状(野村さん曰く、ハンドルがどこ向いとるかわからんとです)なのです。昨年の最終戦ではバンプラバーを短くして対応しましたが、これではまだ足りないようでした。フロントタイヤの外側をかなり使っていたので、もっとロールを抑えなければならないようです。このフロントの縮み側を抑える為、バネレートを7kから9kに変更し、同時にショックの減衰力も強める方向に変更しました。これ以外にも考えられる原因は色々とありましたが、この日はこれで様子を見ることにしました。その後の走行で確認した結果、野村さんからはOKサインが出ました。症状は改善され、安心して運転できるようになったようです。これで後は審査基準に合わせて、走りを煮詰めていきます!
予選
第2戦は第1戦の順位がそのままなので、野村さんはゼッケン6番です。シード選手なので当然予選は免除になり、いつものように皆の走りと審査基準を確認しながらラインを探ります。基本的な審査基準は昨年と変わらず、重要なのは300Rを出てから振り返す一つ目のクリッピングポイントで、あまり大振りにしないで審査員席前のアウト側へまっすぐ飛んでくるようなラインが理想とされました。30分×2回の練習走行でこの理想のラインに近づけて行き、翌日の1回戦に向けて走り方を組み立てて行きます。野村さんの300Rの脱出速度は180km/h以上出ており、平均を上回る速度だったので今回はスピードに関してはあまり意識しないように心掛けました。前日のセッティング変更によって野村さんも安心して走れるようになり、練習を見る限りではライン取りや魅せ方等、非常に良い走りができています。翌日の1回戦は何としても100点を獲得し、苦手意識があった富士を克服しなければなりません。
車の方も順調でオイル類の交換とブレーキのエア抜きを行った以外に作業は無く、次の日に備えて今日は早く寝なくっちゃ!(前日はついつい飲み過ぎましたが、今日は8時半には解散!)
ピットウォークで大人気の
ER34
決勝
朝から天気にも恵まれ、いよいよD1グランプリ第2戦決勝が始まります。大観衆の中、朝から練習走行が行われ、1回戦に向けて最終調整に入ります。300Rの脱出速度、ライン、クリップ等一つ一つ確認しながら、100点を目指します。野村さんから「車は絶好調よ♪」と言われて、とにかく一安心です。
開会式の後すぐに1回戦が始まりました。5台ずつ走るので、野村さんは2グループ目になります。他の人の走りが勿論気になるので、熊久保選手や川畑選手達の走りと得点を無線で伝えながら、100点が取れる走り方を伝えます。この時点で既に4名が100点を獲得しており、1回戦突破の最低条件として100点は必須となってきました。僕もかなり緊張してきましたが、野村さんはもっと緊張しているハズ・・・。
1本目、速度は175km/hですが、若干の失敗に加え審査員席前のアウト側が余り99.85点です。
のむ「え~、チョッピリ失敗しまちた」
やはり野村さんもわかっている様です。
続く2本目、174km/hの速度で脱出し、良いラインを通って来ましたが、ヘアピンへのアプローチで早めにインに入ってしまい、あまり評価は良くありません。
あべ「ヘアピンへのアプローチでインに入るのが早いようです・・・」
のむ「マジでぇ~!!そんなことないのになぁ~。次はスピード上げていくよぉ~」
最後の3本目、もう後はありません。
僕の緊張感はピークに達しましたが、野村さんはそれ以上のハズ・・・。
最後は300Rを浅めに脱出し、車速、クリップ、ライン、迫力、全て文句無しの走りです。
のむ「ど~お?駄目??」
あべ「ごっちゃんです。100点頂きました」
のむ「いやぁ~すっきりしたぁ!!ありがとう♪」
これによりベスト16への進出は間違いなくなり、僕らは上機嫌でピットウォークを迎えました。
野村選手と古口選手
べスト16追走
追走初戦の相手は今年から180SXに乗り換えた、ベテラン古口選手です。古口選手は1回戦から非常に高いスピードを見せており、追走の後ろを走った時の実力も侮れません。又、2002年の第5戦エビスで一度敗れた経験もあり、非常に嫌な相手であることは間違いありませんでした。
いよいよ追走が始まり、ポイントランキング上位の川畑選手や末永選手等は勝ち上がって行きます。僕等もシリーズを制する為には、鬼門である富士でこそ良い成績を残さなければなりません。「楽しんでやってくるよ」と、とてもリラックスしていた野村さんでしたが、ウォームアップランの時点で悲劇が起こりました。
「3-4-5速が入らない」と無線で報告が入ります。スタート地点に戻り、リアをジャッキアップして確認してみると、3-4-5速は全く駆動せず、シフトフォークの破損によりギアが入りません。
当然その場での修復は不可能となり、野村さんはヘルメットを脱いで車から降りてしまいました。
僕らは諦めてリタイヤ届けを出そうとしましたが、野村さんは最後まで諦めずにもう一度車に乗り込みます。「もう少し走りたいな・・・」
僕も野村さんも駄目なのはわかっていました。「スカイラインを見に来てくれたファンもいるし、駄目でも良いから走りたい」と言う強い思いだけで、野村さんはスタートします。
当然1-2-6速だけではまともに走れるはずがありませんが、それでも野村さんは何とかドリフトをしながら300Rを出て行きますが・・・。
まとめ
今回の第2戦富士はシリーズを戦う上で非常に大事な一戦でしたが、マシントラブルと言う一番あってはならない形で終わってしまいました。練習から好調だった野村さんには、本当に申し訳ない気持ちで一杯です。日頃からトラブルだけは起こさないように心がけてメンテナンスを行っていましたが、今回は目に見えないところでの疲労が祟ったようです。次回鈴鹿までに完璧な状態にさせ、同じことが起こらないように対策をします。次に良い成績を収めなければ、シリーズ争いから離脱してしまいますので、気を引き締めて行かなければなりません。
最後に今回は非常に恥ずかしい形で終わってしまい、本当に申し訳ございませんでした。
次は昨年準優勝している鈴鹿です。車を完璧に仕上げ、優勝を狙います!!!