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2007年度D1第3戦鈴鹿報告



Rd2富士で破損したシフトフォーク


ER34
前回富士の大事な大事なところでトラブルが出てしまったミッション・・・ですが、幸いにも部品が間に合ってオーバーホールをすることができました。前回の原因はシフトフォークの強度不足にあり、今回は対策後の物に交換してあります。(たぶん同じ様なトラブルがあって、ホリンジャーも対策したんでしょうね・・・)又、今回からエンジンの制御をレース用のECUであるMoTeCにて行い、より細かいセッティングやデータのロギング等が行えるようになりました。MoTeCの利点はこれだけではなく、シフトレバーにストレインゲージ(歪み計といって、とても高価なセンサー)を取り付けて、ギアチェンジ時に点火リタード&カットが行えるようにしてあります。これによりスロットル全開でのシフトアップが可能になり、加速勝負で大きなアドバンテージが得られる・・・ハズでした。

今回より投入したMotec。

24日(木) フリー走行日
今年の鈴鹿サーキットはフルコースで借りてある為、昨年よりもスタート地点を後ろに下げることになりました。全く見えないブラインドコーナーなので、僕等としては去年と同じ位置で良いのにっ!と思いましたが、D1グランプリは常に進化する物なのです。どこからスタートすれば一番良い走りができるか、と言うことを検証する為に、木曜日のコース設営日にシード選手によるテスト走行が行われました。夕方からの少ない時間の中ですが、僕等はココぞとばかりにエンジンのセッティングやらギアチェンジイグニッションカットのセッティングやらを行いました。僕もMoTeC初心者なので、とにかく早くコイツを使いこなせるようにならなければなりません。データロガー機能を見ながらエンジンのセッティング等を煮詰めていき、シフトカットについても実際に走らせて微調整を行います。走っている音や姿はGTマシンみたいで非常にカッコ良いのですが、野村さんのコメントはイマイチ・・・。点火リタードの量やカット率等の微調整が非常に難しく、この時点ではまだ実戦で使えるレベルには至っていませんでした。
25日(金) 練習走行日
通常、金曜日は終日練習走行の日ですが、今回はストリートリーガルの予選も開催されたので、非常に慌しいスケジュールになりました。練習走行の時間も短い上、天気は生憎の雨・・・。「明日と明後日は晴れるから、今日は走るの止めますか?」って話しにまでなりましたが、結局セッティングも不十分だったので走ることに・・・。ウェット路面では走りについて検証するのは難しいので、とりあえずシフトカットのセッティングをもう少し煮詰めて行くことにしました。シフトレバーを動かしたときのフォース、カット時間やカット率などなどの難しい調整を少しずつ行いましたが、野村さんからのコメントはやっぱりイマイチ・・・。

足まわりのリセッティング
26日(土) 予選日
前日の雨も上がり、土曜日は天気予報通りの快晴に恵まれました。この日はD1の予選とD1ストリートリーガルの決勝が行われましたが、いずれにしてもシード選手は終日練習走行のみと言うスケジュールです。限られた練習走行時間の中、僕等はドライ路面での足まわりのセッティングを確認して鈴鹿の逆走に対応させなければなりません。前回の富士ではスピードレンジが高いところからのフルブレーキングだったのでスプリングレートを上げましたが、ブレーキをあまり多用しない鈴鹿では従来通りのセッティングの方が良さそうです。フロントの足まわりについてはスプリングの変更で良くなりましたが、シフトカットについてはまだまだ調整が必要でした。カット時間やカット率、リタード率等を下げて行くとシフトアップ時のエンジンのレンスポンスは良くなって行きますが、シフトフィーリングが悪化して行きます。あまりこればかりに拘っていると肝心の練習が・・・なので、残念ながら今回は採用を見送ることにし、残り少ない練習走行は走りに集中することにしました。

ドライバーブリーフィング。

27日(日) 決勝
鈴鹿サーキットは関西、中部地区唯一の開催と言うこともあり、観客席は早朝から多くのファンで埋め尽くされました。昨年同様、決勝日の前売り券は完売してしまう程の人気で、まさに満員御礼と言う感じです。野村さんも朝の練習走行から本番の走りを想定していき、1回戦突破を目指します。今回の審査ポイントはダンロップコーナーを出てくる角度と車速がポイントとなり、130km/hに近い速度で下ってきてクイックに振り返し、そこから審査員席前でアウト側に寄せ、逆バンクのクリップに対してやや奥目にアプローチをする大きなライン取りが要求されました。

ダンロップを下りてくる野村選手。
1回戦
いよいよ1回戦が始まります。ギアチェンジイグニッションカットの採用は見送ったものの、車の状態は絶好調です。新品タイヤからの1本目、加速区間で若干のトラクション不足もあり、車速があまり伸びません。ダンロップコーナーの迫力が欠けてしまい、点数は99.90点です。次はタイヤの温度も上がっているので、気を取り直して100点を・・・と思った矢先、野村さんの次に走ったゼッケン8番の古口選手がエンジンブローをしてしまい、コース上にオイルを撒いてしまいます。2本目の直前でオイル処理の中断があり、野村さんも精神的に不安な状態です。幸いにもウォームアップが1周だけ認められたのでコースを確認すると「自分の走っているラインとは違うところなので、問題ないはず」と野村さんはファンに手を振りながら余裕の様子です・・・。
コースクリアになり、気を取り直して2本目、ダンロップコーナーの車速もライン取りも完璧な状態でしたが点数は99.95点です。「やっぱりちょっと滑ったかも」と言う野村さんでしたが、土屋審査委員長からは「ダンロップを下りてくる所の煙の量が少ない」と言うコメントで、なかなか100点は取れません。最後の3本目、下りてくる車速を上げてきましたが、振り返した所で若干のミスがあり、最後は99.85点で終ってしまいました。結局2本目の点数がベストになり、野村さんは10位で1回戦を通過する形になりました。

野村選手VS小師選手

べスト16追走
ベスト16最初の対戦はAE86に乗る小師選手です。小師選手の車両は今回からターボ仕様に変更されており、単走でも非常に速いスピードを見せていました。一方、野村さんの86苦手意識も最近は無くなったようで、非常に落ち着いた走りを披露します。角度、車速のどちらを取っても負けておらず、先行、後追い時共に6:4でアドバンテージを取り、見事にベスト8進出を果たしました。
 続くベスト8の戦いはRE雨宮末永選手です。昨年の鈴鹿では完全勝利に終った末永選手との対決ですが、今回はどうなるか分かりません。タービンや足回りを変更してきたと言う末永選手の車両は常に速い車速を見せつけており、振り出してから下って行くスピードは圧倒的です。野村さん先行の1本目、スタート直後からビタビタでついて来た末永選手でしたが、角度で野村さんに劣っており、判定は5:5です。入れ換えて後追いでは振り出した瞬間に若干離れてしまい、振り返すところでイン側に入ろうとした野村さんは若干流されてしまいます。結局、この判定は末永選手有利となり、野村さんはここで敗退してしまいました・・・。
まとめ
今回の鈴鹿戦に向けて行った仕様変更は、色々な面でプラスになりました。中間域のエンジンセッティングの煮詰めができた事により、レスポンスやピックアップは確実に上がっていますし、毎回の走行データを記録、確認できるので、サーキット毎の分析もできるようになりました。今回は採用を見送ったギアチェンジイグニッションカットですが、セッティングさえ決まれば、ストレートが長い菅生やオートポリスでは必ず武器になるはずです。又、今回の対末永戦で課題となったリアのトラクション不足についても、足まわりのセッティングをもう一度見直す必要があります。
今回は残念ながらあまり良い結果ではありませんでしたが、次の菅生は過去2回とも決勝進出をしている相性の良いサーキットです。次戦菅生で上位とのポイント差を縮めなければ、シリーズ争いから離脱してしまいます。もう後が無い状況ですので、車両側のアドバンテージを増やし、確実に上位に食い込めるような車両作りを徹底して行いますので、今後も応援宜しくお願い致します!!