2007年度D1第4戦SUGO報告
インジェクターなどを変更
ER34
前回より導入したMoTeCのデータロガーシステムをフルに活用し、現状での車両の問題点を改めて見直しました。問題点としてはブーストの安定性とインジェクターの容量不足があり、今回はその対策を行いました。元々MoTeC使用以前から525ccのインジェクターを全噴射させて燃料のセッティングを取っていましたが、これでは現状以上の出力アップは不可能ですし、インジェクターに余力が無いのは色々と危険が伴います。
MoTeCを装着したことにより色々と細かくセッティングが取れるようになったので、今回からは800ccのインジェクターに変更して、現状以上の出力アップにも対応できるようにしました。又、ブーストの安定性については、ブローオフバルブの装着とウエストゲートを含むエキゾースト周りのオーバーホールを行い、不安箇所は完全にリフレッシュした状態でSUGOに望みました。
SUGO本コースで3回目を迎える
7日(木) 練習走行
スポーツランドSUGOの本コースでの開催は、今年で3年目を迎えます。基本的なコースレイアウトは例年通りで、特に変更はありません。D1ウィーク初日の練習日はいつものように車のセッティングに集中し、問題点や不具合箇所を調べます。今回はインジェクターを変更したので燃料のリセッティングを優先的に行い、実走行で得たロギングデータを基に燃料マップを書き換えていきます。前回見送ったギアチェンジイグニッションカットについても再調整を行いましたが、やはりドリフトで使うにはプログラム上の変更が必要な様で(微調整が難しくって、併用できないんです・・・)今回も採用を見送ることにしました。
サイドブレーキをスペアカーより移植
8日(金) 練習走行
今回もストリートリーガルと併催だった為、スケジュールは前回の鈴鹿と同じです。金曜日はD1の練習走行とストリートリーガルの予選が開催され、僕等は短い時間での練習走行となりました。この日は終日雨の予報だったのですが、幸いにも予報が外れて終日ドライ路面での走行でした。練習走行毎に燃料マップを微調整して行き、理想の空燃比に近づけていきます。この時点でエンジンのセッティングに関しては完璧な状態に近づいてきましたが、走行を重ねているうちに今度はサイドブレーキの利きが悪くなってしまいました。このサイドブレーキの問題についてはシューの調整では直らないレベルだったので、練習走行後にスペアカーから移植して対応しました。直線の長いSUGOとオートポリスは、サイドブレーキの利きが勝敗に左右するコースなのです・・・。
練習走行スタート前の野村選手
9日(土) 予選
予選日は朝から非常に不安定な天候で、路面コンディションは最悪な状態でした。朝の練習走行はハーフウェットでしたが、予選の前になると大雨が降り始めて完全にウェット路面です。ところが予選Cグループが走行する頃には徐々に乾き始め、予選終了後のシードの練習走行は完全にドライ路面と言う、まさに目まぐるしく変わる路面状況でした。その悪天候の中、D1ストリートリーガル決勝とD1予選が行なわれ、各選手たちは非常に難しい路面との戦いとなりました。翌日も同じような天候の可能性が高い為、僕等も人事ではありません。
その後のドライ路面で行なわれたシードの練習走行では、交換したサイドブレーキの確認やエンジンセッティングの最終確認を行い、ライン取り等の走りも本番の審査基準に合わせて行きます。車も野村さんもすごく良い感じになってきて、後は翌日の決勝を待つのみ!です。
ウェットコンディションの決勝日
10日(日) 決勝
残念ながら朝から雨模様のSUGO・・・。予想は当たって今日も難しい路面コンディションになりそうです。そんな悪天候の中でも、大勢の観客が訪れ、今回の第4戦SUGOも大盛り上がりでした。
1回戦
朝から雨が降ったり止んだりの状態でしたが、幸いにも練習走行と同じウェット路面での1回戦となりました。雨の降り始めやハーフウェットが一番難しいので、同じ状態で走れるのは不幸中の幸いです。
1本目は路面コンディションを確認する為に、抑え目で行く様に野村さんに指示を出します。
のむ「んじゃ、抑えていくよ~!」
あべ「宜しくお願いします~!」
ところが1本目から振りすぎてスピン→コースアウトです・・・。
のむ「あれぇ?抑えていったのに、すごく滑るよ!」
あべ「次も抑えましょう!」
のむ「わかりまちたぁ・・・」
続く2本目、抑えて行ったものの、審査員席前でカウンターが戻り、点数は殆ど入りません。
野村さんは進入の振り出しの路面が乾き始めていたのを見ていて、左リアをダートに落としながら飛ばしてくる作戦だったようです。
さすがの僕も焦って、次にどう言う指示を出すか、非常に迷いました。
のむ「いやぁ~、また失敗しまちた・・・。」
あべ |
「やばいっスね・・・。まぁ落ち着いて行きましょう・・・。左リアはわざと落としてるんですか?」 |
のむ |
「そうー。振り始めが乾いてるから、あそこを通った方が良いラインに乗れるんだよねー。」 |
あべ |
「わかりました・・・。野村さん、100点取ったら「もんじゃまん」(サンクスで売ってた、激ウマまんのことです)あげますよっ」 |
のむ「マジでぇ~!ってことは、100点狙えって事??」
あべ「い、いや、今回ばかりはそこそこで・・・」
・・・ラスト3本目、振り出しで左リアをダートに落として飛ばして進入し、今度は審査員席前のアウト側、2、3コーナーのクリップ共に完璧なラインをトレース!!これで見事に100点を獲得し、ベスト16進出は間違いなしです!
のむ「いやぁ、すげー緊張した!!!」
あべ「僕もっス!でも、100点ありがとうございました!」
・・・と、いつものようにくだらない会話をしつつも、見事に野村さんは6位でベスト16に進出です。
手塚選手VS野村選手
べスト16追走
ベスト16初戦の相手は、宿敵手塚選手です。野村さん自身、手塚選手にはどうも苦手意識があるらしく、今回はそれを克服しなければなりません。
1本目、野村さんは先行でとてつもない角度の進入を見せます。2コーナーは若干インカット気味ではありましたが、その後の3コーナーでも手塚選手を引き離し若干のアドバンテージです。
入れ換えて2本目、「今回ばかりは絶対に負けられない。俺は角度で勝負を賭ける」と言う気合通り、後追いでもとてつもない角度で同時に振り出し、2コーナー、3コーナー共に詰め寄ります。手塚選手の走りも素晴らしく、非常に僅差ではありましたが・・・結果は見事に勝利!!これでベスト8進出です!!
ベスト8
ベスト8は予選から安定した走りをしていた平岡選手です。この勝負も勝ち進んで、上位とのポイント差を少しでも縮めたい所です。ところが・・・野村さんの対戦直前から、雨が降り始めて路面はウェットになってしまいます。一番難しい雨の降り始め・・・平岡選手先行の1本目、野村さんは少し角度を付けすぎた状態で進入します。平岡選手は浅めの角度で1コーナーをクリアしていきますが、野村さんはそのまま耐え切れずにスピン・・・これで判定は10:0です。
入れ換えて2本目、野村さん先行でも相変わらず角度を付けた進入を披露し、その後は平岡選手を引き離してアドバンテージを取りますが・・・さすがに1本目の判定を覆すことはできず、野村さんはここで敗退していまいました。
まとめ
今回は天候に泣かされた戦いになりました。完全なウェット路面でしたら何とか対応できたはずですが、雨の降り始めやセミウェットの場合は非常に厳しい戦いになります。ウェット路面ではブーストやタイヤエアーを下げるというセッティング変更は行っていますが、それ以外の部分でも対応を考えなければなりません。次のエビス戦までには約2ヶ月のインターバルがあります。エンジンや足回りを全て見直し、十分なテスト走行を行って次戦に望みたいと思います。シリーズトップの末永選手との差は広がってしまいましたが、まだ可能性が無くなった訳ではありません。最後まで諦めずに、今後も全力で戦います!!