2008年度D1最終戦富士報告
富士スペシャルにエンジンに変更!
車両について
一年間の締めくくりとなる最終戦の富士は、エンジンパワーを極限まで上げました。クランクやメタル、ピストンリングを新品にして組み直したエンジンを搭載し、タービンのエキゾーストハウジングを大きくして更に高回転、高出力のエンジン特性に変更しました。(650psくらいかなぁ)
点火時期とブーストも限界まで上げ、耐久性を無視したパワー重視のセッティングで最後の勝負に出ます。(今回だけのつもりのエンジンです)
足まわりについては300Rの振り出しの動きを速くする為、リアのトーをトータルで4mmアウトに変更しました。リアトーアウトは初めての試みだったので、フィーリングが良くない場合はすぐに元に戻せるようにデータを取っておきました。
ミッションを降ろしてチェック
24日(金) D1グランプリ公式練習走行日
通常は逆走ができない富士スピードウェイは練習走行の時間が短いので、エンジンや足まわりのセッティングにもあまり時間が掛けられません。いかに早くベストなセットアップを見つけられるかが鍵になりますが・・・なんと初日は雨!天気予報では週末は晴れるって言うし、無理して雨の中で走ってもあまり意味の無いものに・・・。
今日は早く帰って飲みますか♪・・・と言いたいところですが、とりあえずエンジンのセッティングだけでも確認しなければなりません。「雨は降っていますが、全開にして下さいね」と野村さんに伝えてコースインしますが・・・すぐにピットに戻ってきてしまいます。
おやおや、どうしたんですか??と聞くと「5速に入らなくなった(涙)」と言うお返事が・・・。ピットに入れて症状を確認してみると・・・これは完全にミッションの中身がダメじゃん!!
スペアカーのHパターンと載せ替えることも考えましたが、とにかく降ろしてバラしてみて、修理ができるかどうかを判断しなければなりません。ホント、何で富士はこんなに相性が悪いんだろう!!
バラして応急処置
ミッションをバラしてみると、原因はシフトフォークと5速ドグリングの焼き付きによる固着でした。焼き付いたドグリングがハブから上手く外れたので、スペアで持っていた中古のドグリングに交換して傷の付いたシフトフォークを削って組み替えれば何とか直りそうですが・・・これはただの応急処置としての修理であり、いつまた同じ症状が出てもおかしくない状況でした。たまたま新品の同じミッションを持っていて譲ってくれると言うショップさんがあったので、それを翌日に購入(34の中古車より高いけど)する段取りにして、とりあえず修理した物を組み直して土曜日の練習走行を走り、終了後に新品に載せ替えて・・・と言う作戦で行くしかありません。
今日はミッション降ろしーの、バラしーの、何とか修理しーの、載せーの・・・。
明日は練習走りーの、セッティングしーの、ミッション取りに行きーの、載せ替えーの・・・。
でも、とにかく日曜日は野村さんに気持ち良く走ってもらわなきゃ!!
エンジンセッティング
25日(土) D1グランプリ予選
雨も上がり、ようやくドライの状態で走行ができます。前日は全く走れなかったので、エンジンや足まわりのセッティングを短時間で見極めなければなりません。ロガーを見ながら燃料を絞っていき、同時に点火時期とブーストを上げていきます。とりあえずエンジンのセッティングは安全マージンを残した状態でひと区切りさせ、次は足まわりのセットアップの確認です。300Rの進入でリアのダウンフォースが強すぎると言うことだったので、いつものようにリアウイングをローマウントに変更し、振り出しの初期の動きを速くします。リアトーアウトもフィーリングが良いようで、富士スピードウェイのようなハイスピードのコースでは有効な手段でした。午前中の走行が終わり、車のセットアップが一通り終わったところで・・・午後の練習走行はチームに任せて、僕は新品のミッションを引き取りに移動です・・・。
ミッションを載せ換え
ミッションをゲットした頃にメカニックに電話をしてみると、何とか無事に練習走行は終わったようでした。今のうちにミッションを降ろしておいてもらい、富士に帰ってすぐに載せれば、今夜はあまり遅くならないかも!(飲める♪)
新品のミッションは高い買い物でしたが、別車両にも使える(秘密ですが)宝物なので、無駄になることはありません。とにかく決勝日を万全の状態で走れるように、最後まで全力を尽くします!
練習走行直前にウェットに
26日(日) D1グランプリ決勝
決勝日はどんよりとした雲行きの中で始まりました。残念ながら天気予報が変わってしまい、練習走行直前に雨が降り始めました。前日にギヤ比の違うミッションに載せ替えたこともあり、雨の中でもある程度は車の状態を確認しなければなりません。何とか午前中に雨は上がりそうですが、1回戦単走までにドライ路面になるとは限らないので、ウェット路面の中でも走りを確認します。路面コンディションが変わっても、絶好調になった車のおかげで野村さんは常に安定した走りです。
開会式が終わり、1回戦が始まる時間になると、天候は回復してドライ路面に近づいてきました。ここでスケジュールが変更され、路面を乾かす為の15分間の練習走行が入りました。全ての選手に対して同一条件で審査したい、と言うのが目的です。
走行をモニターでチェック
1回戦
野村さんはあまり緊張した様子もなく、1本目がスタートします。(更に点火時期とブーストを上げてパワーアップ!)
いつものように1本目はやや抑え気味で行きますが、300Rの進入から物凄い迫力で飛び出してきます。審査員席前もミスなく通過し、見事に100点を獲得しました。久しぶりに1本目から100点を獲得し、一気に気持ちにも余裕ができました。
2本目、同じように300Rを飛び出してきますが、審査員席前で痛恨のシフトミスをしてしまいます。既に100点を獲得しているので、ここは落ち着いて走行を止め、2本目はノーポイントです。
3本目はファンを沸かすような走りを心がけます。進入でファンタスティック旗が振られる程の迫力のある走りを披露して、最後も見事に100点を獲得しました。
野村さんは5位で通過となりましたが、16位で通過となった黒井選手は車両トラブルにより棄権となり、17位の日比野選手が繰り上げでベスト16進出となりました。
ベスト16スタート前
ベスト16追走
ベスト16最初の相手はソアラでのラストランとなる上野選手です。若干ではありますが、シリーズチャンピオンの可能性が残っている野村さんは負けられない状況です。
1本目、野村さんが先行でスタートします。単走の時の様に300Rを迫力のある振り出しで出ていきますが、上野選手も負けてはいません。ハイパワーを活かした車両で進入から審査員席前、立ち上がりと終始インに飛び込んできます。この判定は5.5:4.5で上野選手です。
入れ替えて2本目、野村さんは後追いです。上野選手は相変わらずの迫力のある走りで進入し、これに対して若干アウト側から中に入るライン取りを狙った野村さんですが、上野選手のイン側に完全に入りきれません。300Rを若干流され気味に見られたこともあり、この判定も5.5:4.5で・・・。
残年ながら野村さんはここで敗退となってしまいました。
1年間応援ありがとう!
最終戦まとめ
1年間の締めくくりとなる最終戦は、いきなりのミッショントラブルと言う状況からスタートしました。雨こそ降っていましたが、金曜日は全く走ることができず、野村さんの練習走行時間は非常に少なくなってしまいました。その後は何とか解決策を見出し、決勝日の最後までノントラブルで走りきれたのはチームが一丸となって車両メンテナンスに取り組んだ結果だと思います。ベスト16初戦で敗退してしまったことにより惜しくもシリーズチャンピオンは逃してしまいましたが、これも全7戦のトータルでの結果です。最終的に4位で2008年シリーズは幕を閉じましたが、年間を通して車両トラブルによるリタイヤ等が無かったことはチームとしてまた一歩成長した証だと思います。
まだ来年度の詳細については確定していませんが、今年以上に良い体制で参戦をしたいと思っていますので、応援宜しくお願いしますねっ!!