2008年度D1第6戦エビス報告
URASさんの新作オーバーフェンダー
車両について
前回のオートポリスでぶつかってしまったリア周りを修理し、同時にURASさんの新作のオーバーフェンダーを取り付けました。(超カッコ良い!!)これにより、15mm程タイヤを外側に出すことができるので、今まで以上にステアリングの切れ角を増やすこと(内側の干渉が避けられるので)ができるようになりました。又、長い間使っていたDG-5製のショックをオーバーホールがてらニューバージョンの物に変更し、足まわりのリニューアルも行いました。エンジンに関しては、エビスではピークパワー重視の特性よりも低回転が使える扱いやすい特性の方が向いているため、タービンのエキゾーストハウジングを#11から#7へサイズダウンしてピックアップ重視の特性に変更しました。
エキゾーストハウジングを変更
28日(木) 練習走行、初日
トレッドの変更やショックの変更を行ったため、足まわりのセッティングに少しでも時間をかけられるように木曜日の朝から練習走行を始めます。野村さんはエンジンのフィーリングを確認しながら徐々にペースを上げていきますが、予想以上にリアのグリップが高く(路面コンディションも良かったので)、最終コーナーから1コーナーの区間でパワーを食われているようでした。ショックの減衰やタイヤエアーの調整を行いながら走行してみましたが、いつものように最終コーナーから1コーナーまで綺麗にドリフトを繋げることができないようです。色々と悩んだ結果、ここで足まわりのセッティングを変えてリアを逃がす方向にするよりも、エンジンパワーを上げてアクセルでリアを逃がす方が良いと言うことになり、タービンのエキゾーストハウジングを大きくしてピークパワー重視のセッティングに戻すことにしました。ところが、作業が終わり、もう一度走行を・・・と言うところで大雨に見舞われてしまい、残念ながらこの日の走行はここで終了となってしまいました。
車高調整ダンパーもバージョンアップ
29日(金) D1グランプリ公式練習走行日
公式練習日の2日目、早朝は雨が残ったのですが、走行が始まる頃には天候も回復して一気にドライ路面へと変わりました。初日はまともに走ることができませんでしたが、タービンのEXハウジングを大きくして高回転が伸びるようになったので、直線でパワーが食われることなく綺麗にドリフトを繋げることができるようになりました。後は車高を含む足まわりの微調整を行い、決勝へ向けてセッティングを詰めていくだけです。
30日(土) D1グランプリ予選、D1SL決勝
前日の練習走行後の夕方から、エビスサーキット周辺は豪雨に見舞われました南コースのピット前には大量の土石流が流れ込んできた程です。このような近年まれにみるほどの異常気象の中、D1GPの予選とD1SLの決勝が始まりました。
朝の練習走行からD1GP、Aグループの予選まではドライ路面で走ることができましたが、Bグループ走行の途中からまたしても豪雨が降り始めます。今回は毎日のように雨が降ったり止んだり、と言う状況が続き、路面コンディションがめまぐるしく変わって全く先が読めません。この時点での翌日の天気予報は晴れでしたが、この状況ではウェット路面のことも想定して準備をする必要がありそうです
練習走行も雨の為一時中断
31日(日) D1グランプリ決勝
残念ながらエビスサーキット周辺は決勝日も雨雲に覆われ、早朝から豪雨が降り始めました。シード選手の練習走行が一時中断する程の雨量になり、コースやパドックはまさに水浸しの状況です。
難しい路面コンディションでの1回戦
1回戦
開会式の途中からいきなり雨が上がり、晴れ間が出始めました。気温も高く、路面は一気にドライへと回復していきます。ウォームアップ無しで3本の本番走行と言うこともあり、とりあえず1本目は路面コンディションを確認する為に抑え気味に走行します。
1本目、最終コーナー出口がウェットの状況でも予想以上にグリップしたようで、浅目の角度で1コーナーへ向かっていきます。角度が浅かった為、迫力不足と言うことで得点は99.8点です。
2本目は最終コーナーの出方に気を付けながら走りますが、この頃からストレート部分の路面が乾き始めていたようで、小さいラインになってしまいます。得点は99.7点です。
最後の3本目、最終コーナーから角度を付けた状態で飛び出してきますが、ストレート部分が完全に乾き、またしても1コーナーの奥まで届かないイン側のラインに行ってしまいます。野村さんは最後も99.75点と点数を伸ばすことができず、ボーダーラインギリギリのところで3本の走行が終了しました。
今回のエビスラウンドは、毎周違う路面コンディションに悩まされた末永選手や黒井選手等のシード選手がここで敗退してしまうという波乱の結末でした。
ベスト16で斉藤選手と激突
追走ベスト16
1回戦16位だった野村さんは、トップ通過の斉藤選手と対戦になります。これはある意味2008年度のシリーズチャンピオン争いとなり、野村さんに想像を絶するプレッシャーが伸し掛かります。この対戦でもし負けるようなことがあると、今年のシリーズ争いから脱落してしまう可能性があるのです・・・。
野村さんは「どうやったら勝てるか?」ということしか考えずに集中力を高め、絶対に負けないと言う気持ちでスタートラインへ並びます・・・。無線で「落ち着きましょうね」と言葉をかけても、野村さんからは返事がありません。さすがに相当集中しているのだろうと思い、今回ばかりは僕もあまり言葉はかけないように心がけました。
1本目、野村さんが後追いで、斉藤選手は最終コーナーからストレートにかけて若干のミスがありましたが、野村さんは4コーナーの立ち上がりで完全にドリフトが戻ってしまいます。この判定は5.5:4.5で斉藤選手です。余程気持ちが焦っていたのか、野村さんに無線で若干のアドバンテージ斉藤選手、と1本目の状況を伝える間もなく両者2本目をスタートしてしまいます。野村さんの先行では最終コーナーから1コーナーにかけてかなり小さなラインになってしまい、斉藤選手はそれに必死で合わせてきます。2コーナーから3コーナーまでは若干引き離しますが、4コーナーの立ち上がりでまたしても完全にドリフトが戻ってしまいました。この判定は6:4で斉藤選手となり、残念ながら野村さんはここで敗退です・・・。
enjoy DRIFT!
第6戦まとめ
今回は天候に恵まれない状況下の中、車は最後までベストコンディションの状態で走らせることができました。足まわりのリセッティングにも時間を掛けましたし、エンジンもオートポリス戦と同じ馬力まで上げて勝負に出ました。ところが、追走のトーナメントが決定して斉藤選手と対戦することが分かった瞬間から、色々なバランスが狂い始めたようです。野村さんへ伸し掛かったプレッシャーは相当だったようで、「ここで負けたら今年1年が終わってしまう、絶対に負けられない」と自分自身をかなり追い込んでしまったようです。実際に追走時の自分が走ったラインやシフトポジション等全ての記憶が無いらしく、完全に真っ白になっていたと言うことでした。野村さんの気持ちを落ち着かせるようなフォローが上手くできなかったことが全ての敗因になってしまい、残念ながら「エンジョイD1」の精神を貫くことができませんでした。
残り1戦を残し、トップの斉藤選手との差は17ポイントとなってしまいましたが、シリーズチャンピオンの可能性がゼロになった訳ではありません。最後まで全力で戦い、「エンジョイD1」を忘れることなく1年を締めくくりたいと思います。