2008年度D1第5戦オートポリス報告
新兵器 その1 切れ角向上ナックル
車両について
今回は今までのウイークポイントを全て見直し、車を更に進化させました。サイド進入のコースでは不安を抱えていたサイドブレーキを油圧式に変更したほか、切れ角アップとクイックな動きを実現する為のナックルを新たに造り直しました。この油圧式サイドブレーキは安定して高い制動力が得られるだけでなく、一つのキャリパーの中で別々のパッドを制御しているので、走行時にフットブレーキと併用できることが最大のメリットです。又、ナックルについては純正の物を機械加工で切断して、削り出しのエンド部分をボルト止めする物を造ってみました。(超考えて造った逸品だったりして)
新兵器 その2 油圧サイドブレーキ
31日(木) D1グランプリ公式練習走行、初日
今回は新兵器を二つ程投入したので、最初の練習走行は車に慣れる事が先決です。リアブレーキに徐々に熱を入れながら、ステアリングレスポンスを上げたナックルの具合を確認します。何周か周回を重ね、リアブレーキにあたりが付いた頃を見計らって、いよいよ油圧サイドの威力を試す時が来ました。
200km/h近いスピードからモーションをかけて一気にレバーをグイっと!
・・・物凄い勢いでリアタイヤがロックして白煙がっ!おお!!油圧サイドって素晴しいっ!!!野村さんも「氷の上を滑っているみたい♪」とコメントする程の威力で、これなら安心して1コーナーを進入できそうです!!その後は車の動きに慣れるように慎重に走り、合計2時間の練習走行を順調?(調子に乗ってサイドを引きすぎて、一度タイヤが爆発しましたが・・・DUNLOPさん、ごめんなさい)に消化しました。
足まわりのセッティングを変更
1日(金) D1グランプリ公式練習走行、2日目
2日目の練習走行もあまり深くは考えずに、車に慣れながら徐々にエンジンのセッティングや足まわりのセッティングをつめていきます。振り返した時の車の動きを安定させるため、前後共にショックの減衰を強める方向でセットアップをしましたが、野村さんのフィーリングは「フロントが逃げる感じが強くなった」と言うコメントでした。若干の違和感はあったようですが、外から見た車の動きを優先したほうが良いと言うことになり、この日はとりあえずこのセッティングで最後まで練習走行を行いました。
エンジンセッティングも変更
2日(土) D1グランプリ予選
今回はD1SLと併催ではないので、予選日も練習走行の時間は十分にあります。車は前日のままのセットアップで練習走行を重ね、そろそろ本番の走りを想定していきます。サイドも順調だし、野村さんはご機嫌に走っているように見えましたが・・・どうやらスピードガンで計測されている直線の車速を気にしているようでした。本番で直線が他より遅いって言われるのも嫌なので、ブーストを1.5kから1.7kまで上げ、更に高負荷時の点火時期も2度ほど進めて、それまで若干抑え気味だったエンジンをちょっぴりだけ速くしてみました。これで車速も上がったし、ナックルの具合も良さそうなので、明日もバッチリ!!なハズですが、野村さんは進入のスタイルをちょっぴり悩んでるみたい・・・。
鳥肌モンの1コーナー進入
3日(日) D1グランプリ決勝
久しぶりにずっと晴れが続いたD1ウィークです。ここオートポリスの醍醐味は、何と言っても超高速から真横を向いて飛んでくる1コーナーの進入!やっぱりドライ路面じゃなきゃ、この迫力伝わらないっス!
副審の神本さんがいる1コーナーのイン側で見てると、ホントにありえない!!って位のスピードで飛んでくるので、マジで鳥肌モンなのです!
1回戦を終えた野村さん
1回戦
実は前日の夜の宴(焼き肉屋)の席で、野村さんからもう少しスカっと横を向けたいと言う提案がありました。あーでも無い、こーでも無いと話をしているうちに、どうやらDG-5さんで新しいバンプラバーがあると言う情報が・・・。んで、翌朝の練習走行の時間で試してみよう、と言うことになり、短い時間の中でテスト&練習走行です。僕も審査員席まで行って、改めてラインや走り方を伝えて・・・と言うところで・・・残念ながら1回戦がスタートです。
うーん、時間が足りなかったかな?と思いましたが、野村さんは本番に強いオトコなので、大丈夫!?
1本目、1コーナーのクリップが若干外れたと言われ、99.8点です。
派手さが無い、と言うコメントでしたが、違うっス、ゼッケン1番の斉藤選手の走りが凄すぎるんですよ~!
2本目も1コーナーのクリップを外したと言われ、またまた99.8点。
うーん、どうやら審査員席前で少しくらいハミ出ても100点が出ているみたいなので、野村さんももう少しアウトまで行ってみましょう!
3本目、野村さんは全くその通りに走りました(これができるのが凄いトコ)が、迫力不足と言うことで、最後も99.8点です。
コーナリングスピードは速いのですが・・・99.8点だとギリギリかも!!
いよいよベスト16!
追走ベスト16
何とか・・・無事に15位で1回戦を突破したので、気を取り直して目指せ優勝です。
たとえ1回戦が15位だったとしても・・・D1の本番はベスト16からなのだー!
んで、ここでまた作戦会議・・・。追走でも迫力不足と言われてしまうとマイナスポイントになってしまうので、ピットウォークの前にフロントの車高を上げて、しかもリアウイングをローマウントに変更(たぶん皆気づいていない)です。これでもう少し進入でスカっと横を向く予定!?
ベスト16最初の相手はベテランの黒井選手です。黒井選手の車もかなり速いし、後は野村さんに任せるしかありません。とにかく早めに振り出して進入でポイントを稼ぐ作戦でしたが、両者互角の戦いで勝負はサドンデスに突入です。1本目の再戦もほぼ互角となり、そろそろ勝負に出なければ・・・。再戦2本目、野村さんは進入でスカッと角度を付けて、立ち上がりで黒井選手を引き離します。非常に僅差ではありましたが、判定は野村さんの勝ち!!
田中選手とは好バトルを繰り返した
ベスト8
次はチームオレンジ田中選手との対戦です。野村さんも「カズちゃん(田中選手)となら、楽しくやれるねぇ!」と言っています。そうです、合言葉は「エンジョイD1」なのですよ!
田中選手との勝負も互角の走りでサドンデスに縺れましたが、気が付くと僅差でまた野村さんの勝利!これで久しぶりにベスト4に進出ですっ!!
接触したリアまわりを応急処置
ベスト4
ベスト4はロングサイドを武器にする、今村選手との対戦です。野村さんは走れば走るほど勢いが付いてきて、単走の走りとは見違えるくらいの派手さが出てきました。
1本目、野村さんが後追いからほぼ同時に振り出し、振り返しから2コーナーまでかなりイン側に食い込んで行きます。今村選手は若干ミドルのラインを通っていましたが、この判定は五分です。
2本目の先行では、今村選手が進入からイン側に入り、振り返したところでタイミングが合わなくて野村さんに接触!!この判定は7:3となり・・・見事に決勝進出です!車は痛そうですが(涙)・・・幸いにも足周りにはヒットしていないので、そのまま走れるぞーっ!!
決勝前にインタビューに答える
決勝
最後の相手は初日の練習走行から最後の決勝戦まで、ピカイチの走りをしていた斉藤選手です。この対戦は車の馬力差があるので、進入の前に離されることが予想できました。野村さんには「離れても、とにかく焦らず冷静に行きましょう」と伝え、いよいよ最後の戦いが始まります。
野村さん後追いの1本目、幸いにもそれほど引き離されることなく進入し、2コーナーでもうまく詰め寄ります。両者共に若干イン側のラインだったようで、この判定は五分です。
入れ替えて野村さんの先行時、斉藤選手はパワーのある車を活かし、進入からピッタリとイン側に付けます。そのまま早めに振り返して、2コーナーでも野村さんのイン側に入りそのままオーバーテイク・・・。審査員の判断は、斉藤選手のラインはイン側の小さいラインでは無かったと言う判断になり・・・これで決着がつきました。
Winning comes from enjoyment!!
第5戦まとめ
今回は惜しくも準優勝でしたが、どの対戦も素晴らしい走りだったのでチームとしてはとても満足しています。追走に入ってから野村さんの走りがドンドン良くなってきて、やっぱり僕らは「エンジョイD1」でなければならないんだ、と改めて実感しました。
次のエビスは車の馬力差があまり影響しないコースなので、全員がイコールコンディションです。
頑張って修理して(涙)・・・次戦もトラブルだけは無いように戦い抜きたいと思います!
決勝戦の前に野村さんと「斉藤選手にオートポリスで負けても、エビスでは必ずやり返しましょう」って話していたので・・・次のエビスでは絶対に負けないぞーっ!