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2008年度D1第2戦富士報告



冷却系をつくりなおしました


車両について
前回のエビス戦では、小さいエキゾーストハウジングを使用したピックアップ重視のエンジン特性にしていましたが、富士スピードウェイは超高速サーキットなので、高回転で馬力をキープできる上重視のエンジン特性の方が合っています。今回も単走、追走共に300Rの進入スピードが重要になり、スタートから振り出しまでの車速を伸ばす為にも、エビス戦の時よりもさらに馬力を上げる必要がありました。K5-700Rのエキゾーストハウジングを#7から#11にサイズアップするとともに、ブーストを1.7kまで上げて600PSを狙いました。足回りのセットアップに関しては、超高速域からブレーキで止めるコースレイアウトに対応するため、前後共にスプリングレート上げてロール量を減らし、まさに富士仕様と言った独特のセッティングにしてあります。
また・・・前回クラッシュしてしまった前まわりをきれいに修理して、とりあえずスペアカーから移植して凌いだラジエーターやインタークーラー等も全て新しく製作しました。

リアウイングのセッティングを変更

25日(金) D1グランプリ公式練習走行日
金曜日の練習走行日はとにかくセッティングに集中します。グリップの上がったタイヤと仕様を変えたエンジンがどのようなフィーリングか、実走のデータをもとにチェックをしていきます。走行開始後間もなく、野村さんから「スタースペックのグリップが高すぎて、300Rの振り出しでプリっとでない・・・」と言うコメントがあったので、リアウイングをローマウントに変更しました。これでもまだリアが強いようだったので、タイヤのエアーを冷間時2.7kから3.3k、さらに4.0kまで上げて、若干オーバー気味のセッティングに変更していきました。

シード選手走行時にはウェットに

26日(土) D1グランプリ予選
予選日は曇り空の中、始まりました。今にも雨が降ってきそうな状況だったので、安全性も考慮して前倒しのスケジュールで進行していきました。我々シード選手は翌日の決勝に向けて車を仕上げ、審査委員の予選のコメントをもとに走り方やライン取りなどを研究していきます。1回目の練習走行からJライン、Vライン(これは僕と野村さんの呼び方)共に通れるようになり、翌日の1回戦通過は余裕でしょう!!(何事もなければ・・・ね・・・)予選が終わるまで雨は降りませんでしたが、2度目のシード選手の練習開始直前に雨が降り出し、その時点でこの日の練習走行は終了となりました。

ウェット路面の中走行に向かう野村さん

27日(日) D1グランプリ決勝
決勝日は前日からの雨が残り、路面は完全にウェットの状況でした。朝の練習走行でも路面は完全には乾かず、中途半端な状況下での走行を余儀なくされました。ウェット路面で無理をして走ると野村さんの感覚が狂う恐れもありましたが、1回戦開始までに路面が完全に乾くとは限らないので、セッティングの確認のためにもテスト走行を行いました。タイヤのエアーとリアショックの減衰力の調整を終え、何とかウェットでも走れる状態になったところで・・・練習走行は終了となりました。果たして、1回戦までに路面の状態は回復するのでしょうか・・・。

1回戦にむかう野村さん
1回戦
開会式終了後、天気は一気に回復に向かい、何とか路面はドライの状況になりました。1回戦開始前のドライバーズミーティングで、路面コンディション確認の為の練習走行が1周追加されることが決まり、野村さんはここで路面の状況を瞬時に確認します。300Rの振り出し、ヘアピンと路面は完全に乾いているようでしたが、審査員席前のアウト側ギリギリのところだけは若干濡れているようでした。とにかく、昨日までのドライのイメージに切り替えて、ベスト16進出を目指します。

1本目、まずは抑え目に走って、無難に高得点を狙います。車速は171km/hでラインもまずまずですが、審査員席前のアウト側クリップが若干余り、99.8点です。
あべ・・・ちょっぴり車速が遅いみたいです。しかもアウトが50cm以上あいてますぅ。
のむ・・・はいー。1本目はかなり抑えましたー。
続く2本目、車速は173km/hと若干上がりましたが、1本目と同様にアウトクリップが若干余り、99.88点です。
あべ・・・173km/hですが、もう一歩な感じですー。しかもまだ50cm位アウトがあいてますぅ。
のむ・・・えーーっ!まだ駄目なの?50cm位、いいじゃんねぇーっ!まぁ、最後は自分の好きに走るねー!
最後の3本目は更に車速を上げようと進入したところ、若干の失速からハーフスピンをしてしまい、点数は入りませんでした。
のむ・・・何かガソリンがエアー吸ったみたいな症状が出た―!
あべ・・・すみません・・・。後でロガーで確認しますー。とりあえずお疲れ様でしたー。

残念ながら最後の3本目は一瞬エンジンが吹けなかったようで、2本目の得点でベスト16進出の順位が決まりました。幸いにも野村さんは10位で1回戦を突破しましたが、朝の練習走行から路面コンディションが変わったこともあってか、チームオレンジ熊久保選手、田中選手などがここで姿を消すことになってしまいました。
走行終了後、エンジン不調についてロガーで確認したところ、クランク角センサーのパンクが原因だったようです。これならすぐに交換できるので、万全の状態でベスト16にGO!です!!

スタート前の野村さん

追走ベスト16
追走1回目の相手はハイパワーのソアラに乗るT&E上野選手です。絶対的な馬力では上野選手のソアラに分があるので、加速勝負で引き離されるとタイミングが合わせ難くなります。ですが、この富士戦の為に僕らの車も馬力を上げてきたので、それほど大差は無いはず・・・。
1本目、野村さんが後追いでスタートしますが、車速を上げてついて行こうとすると、どうしても300Rで浅めになってしまいます。早めに振り返してヘアピンで詰め寄りますが、判定は5:5です。
入れ替えて2本目、やはり車速を狙って飛び込んだ野村さんは若干浅めの角度で300Rを出てきます。
審査員席前から立ち上がりにかけて引き離しますが、300Rでポイントを取られ判定は5:5となり、勝負はサドンデスに突入です。サドンデス1本目、ポイントは300Rの角度であると野村さんに伝えると、降り出しで今まで以上に強くクラッチを蹴り、300Rの角度、ヘアピンの詰め寄りともにアドバンテージを取って6:4で野村さんです。サドンデス2本目、野村さんは1本目と同じように300Rを深い角度で進入し、そのまま両者きれいにヘアピンを立ち上がっていきます。この判定は5:5となり、野村さんは約2年半ぶりに富士でベスト8進出となりました。

ハイパワー車との対決

ベスト8
続くベスト8もハイパワー車との対決となってしまいました。斉藤選手の乗るJZX100は2JZ+T88+NOSで800psオーバーの車両です。この戦いも加速勝負で引き離されるとタイミングを合わせるのが難しくなってきますが、幸いにも野村さんが先行です。
1本目、野村さんは先ほどの対戦のように、強めにクラッチを蹴って角度をつけた状態で300Rに進入します。斉藤選手も同じように角度を付けてきましたが、早めに振り返してかなりイン側のラインを通っていきます。そこからヘアピンで野村さんに詰め寄りますが、野村さんも全く引かずに判定は5:5です。入れ替えて2本目、野村さんは300Rから角度をつけて進入し、若干アウト側まではらんで大きなラインでイン側に飛び込み、ヘアピンでも斉藤選手に詰め寄ります。しかし、300Rの若干アウト気味のライン取りが「流された」と評価され、若干のアドバンテージが斉藤選手に付いてしまいました。この判定は5.5:4.5となり、野村さんは惜しくもここで敗退してしまいました。

鈴鹿もがんばるぞ!

第2戦まとめ
2戦目を終えて・・・チームとしては何事もなく終えられたのが、まずは一安心と言う感じです。2年半ぶりにベスト8まで行きましたし・・・。
でもこれで満足しているようじゃ、今年のシリーズ争いから脱落してしまう!
野村さんも後の走るポイントを見極めたみたいなので、次の富士はバッチリなはず!!
次の鈴鹿まであっという間ですが、上位をキープして、今年はシリーズ争いのドラマの主役になってやるーっ!!