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2009年 D1第7戦、第8戦富士レポート



ファイナルを変更

車両について
長いようであっという間だった2009年シリーズも、いよいよ最後の戦いとなりました。
シリーズチャンピオンが懸かった残り2戦もデュアルファイナルズでの戦いとなり、準備の段階から全く気が抜けません。
スピード域が高い富士は、車も専用のセットアップに変更することになります。前回リフレッシュしたエンジンを更にパワー重視の特性に変更し、足まわりのセットアップも富士に合わせたスプリングレートに変更します。又、前回のエビスで切れ角を上げてから、フルカウンター時にフロントタイヤの外側を使う量が増えてしまったので、アッパーアームを追加工してフロントキャンバーを更に付けられるようにしました。

出発前日の夜、いつものように調布駅前で野村さん&珍しく前入りのまさや君と作戦会議(飲)です。
この(飲)の席で野村さんから「ファイナルを換えたらどうなるかな?」と言う話が浮上し、4.36で6速進入だったら、3.69で5速進入の方が良いのでは??と言うことになりました。
(飲)の席での話は必ず実行するのが、我々チームBLITZの鉄則・・・。
早速翌日の朝からスペアのデフキャリアをバラし、3.69を組み込む作業を開始です。
でも、良く考えたら6年位前に組んだ時も、確かLSDの全部をバラし、中身のサイドギアを引っくり返して(詳細は省略)あーしてこうして、って大変だった!
と言う訳で、頑張って組み立てましたが・・・すっかり出発も遅くなってしまったので、次の日の朝イチに現場で載せ換えることに・・・。

通称Aラインが高得点になる

9日(金) 練習走行日、第7戦予選
練習走行初日の朝は、前日に準備した3.69ファイナルを搭載する作業からスタートです。ところが、前日に慌てて組んで持ってきた3.69に若干の不具合があることが判明!!これを組み直すにはもう少し時間が掛かる!!ってことで、今日の練習走行は3.69を諦めることになりそう・・・。
いやいや、チョット待てよ、そういえばチームオレンジのピットに同じデフがイッパイあるじゃん♪ってことに気づき、そのまま熊久保さん達の所にダッシュ!井草メカに聞いたところ、3.69は余っているから使って良いよ♪とのお言葉が!そいつをお借りし、練習走行までに載せて試してみたいっ!!

初の試みとなるギア比の変更が良い方向に行くかどうか、全くわかりませんでしたが・・・練習走行中の野村さんのコメントは「いやぁ~やっぱりこっちの方が回転(エンジンの)にユトリがあって乗りやすかー」とのこと。足まわりやエンジンも絶好調だし、後は走りに集中しましょう!

今回の富士も基本的な審査基準は今までと変わりませんが、やはり振り返してから真っ直ぐ審査席前のアウトクリップに飛んでくるライン取り(通称Aライン)でないと高得点が取れないようです。300Rを浅めに立ち上がり、コースを大きくトレースするようなラインには乗らないように注意しながら初日の練習走行を終えました。(チームオレンジの皆さん、ホントにありがとうございました!)

予想を裏切りウェットへ

10日(土) 第7戦決勝、第8戦予選
台風一過と言う天気予報を裏切り、前日の夜に振った雨を残したまま、デュアルファイナルズの初日が始まりました。そのまま晴れてドライになるだろう、と言う予想とは裏腹に、練習走行の最中にも雨が降り続けます。その後も雨足はドンドン強くなり、開会式が始まる頃には完全なウェットコンディションになってしまいました・・・。

走行後すぐにマシンチェック

1回戦単走
1回戦単走は予選下位のBグループからスタートし、その後Aグループ、シードグループの順でコースインとなります。野村さんがコースインした時はまだ完全なウェット路面だった為、タイヤのエアーはウェット用の低めの内圧でした。ところが、Bグループの走行が終わった頃に天候は一変し、瞬く間に晴れ間が広がりました。このままでは前回のエビスラウンドと同じ様に走るタイミングによっては、一部路面が乾いているセミウェットの状態になってしまいそうです・・・。(マジで超最悪)
Aグループの走行が終わり、いよいよシードグループの走行が始まります。野村さんはウェット用のセッティングのままスタートするしかないので、路面の状況をスポッター席から良く見て的確な指示を出さなければなりません。
1本目、他の選手の走りを見ている限りでは300Rから先が若干乾き始めているように見えたので、野村さんには「ウォームアップの時よりも若干車速を上げ気味でお願いします」と指示を出しました。
ところが、乾き始めの路面でも予想以上に滑ったようで、審査員席前アウトクリップに向けてオーバースピードになってしまいます。
野村さんは「うそつきー!メッチャ滑ったじゃーん!」って・・・。
ヘアピンへのアプローチでカウンターが戻ってしまったので、これでは高得点は入りません。

続く2本目、審査員席前アウトクリップまではウェットコンディションのままの抑え気味の走りで良さそうでしたが、ヘアピンのクリップ付近だけはほぼドライになっていました。ですが、ここで安心してアクセルを踏むと立ち上がりでウェット路面に乗ってしまい、そのまま一瞬にしてスピンをしてしまう危険性があります。このことを十分に注意するように野村さんに伝え、いよいよ2本目のスタートです。
300Rから振り返し、アウトクリップ、ヘアピンと全ての動作を慎重に行い、野村さんは見事にノーミスで走り切ります。とても難しい路面コンディションではありましたが、何とか13位で1回戦を通過することができました。

松井選手との対戦に向かいます


追走トーナメントベスト16
前回のエビスラウンドと全く同じように、ピットウォークの間に天候は完全に回復して追走トーナメントは完全なドライでの戦いとなりました。ベスト16初戦は初めての対決となるチームナプレックの松井選手との対戦です。
1本目、野村さんは後追いからのスタートとなります。車速をうまく乗せて300Rの進入からビタビタの先振りを披露し、そこから先の振り返しでも松井選手よりも早めのタイミングでモーションを起こします。その後のヘアピンでも松井選手に完璧に合わせ、ここは圧倒的な強さでアドバンテージを獲得しました。
入れ替えて2本目、野村さんは先行で振り出しからヘアピンまで、単走の走りと全く同じラインを通って行きます。松井選手も負けてはおらず、野村さんに必死に喰らいついて行きますが、この判定はほぼ五分となりました。1本目のアドバンテージが大きく、これで野村さんはベスト8に進出です!

川畑選手との対戦


追走トーナメントベスト8
続くベスト8は2007年度のチャンピオン、川畑選手との対戦です。今年の川畑選手は自らのミスで上位進出こそありませんでしたが、実力者の強敵であることだけは間違いありません。
1本目、またしても野村さんは後追いからのスタートとなります。300Rの進入で先振りをしようと全開で飛び込みますが、川畑選手の車両に若干離されてタイミングを逃してしまいます。振り返した後の減速でラインを外した川畑選手でしたが、リズムが狂ってしまった野村さんもラインを外してしまい、アドバンテージは川畑選手に付きました。
もしかしたら・・・川畑選手に離されてしまったのは、1回戦前に起こったエキマニ集合部のクラックが影響して、若干パワーダウンしていたのかも・・・。
続く2本目は野村さんの先行です。1本目に若干離されてしまったこともあり、2本目はブーストを上げて行きます。エキマニに若干のクラックは入っていましたが、ロガーで見てもブーストはしっかりと掛かっていたので、更にパワーを上げて行きます。野村さんはビタビタに来られないように全開で300Rへ飛び込みますが、川畑選手は冷静な判断であまり近づきすぎない五分狙いの走りで付いて行きました。300Rからヘアピンの立ち上がりまで、終始野村さんが引き離したようにも見えましたが、1本目のアドバンテージを引っくり返すことができずに・・・野村さんは残念ながらここで敗退となってしまいました。(涙)








Rd7終了後車両を修理


11日(日) 第8戦決勝
最悪のコンディションで始まった前日の戦いからは一変し、まさに秋晴れの青空の下、2009年度の最終戦が始まりました。泣いても笑っても今年最後の戦いとなり、ここでシリーズチャンピオンが決定します。第7戦終了後、野村さんは106ポイントのランキング3位となり、トップの手塚選手とは16ポイント差です。勝負が最後までわからないのがD1グランプリの面白いところでもあり、野村さんにもシリーズチャンピオンの可能性は十分に残っています。
前日の夜、車は完璧な状態に修復しました。1回戦に向けた朝の練習走行でドライ路面のライン取りをもう一度確認し直し、万全な状態で1回戦に臨みます。



チーム一丸で戦いました

1回戦単走
今年最後の1回戦単走が始まりました。ここの順位によって決まる、ベスト16追走トーナメントの組み合わせが、野村さんのシリーズチャンピオン獲得に向けて非常に重要になってきます。シードグループの各選手達は次々と高得点を出し、1回戦の順位は目まぐるしく変化していきます。
・・・いよいよ野村さんのスタートです。
1本目、スポッター席からもアウト側のクリップが余っていることが確認できました。ですが、少し抑え過ぎかな、と言う程度でそれほど点数が低いとは思いませんでした。ところが1本目の得点は98.7点です。
2本目の走行直前、野村さんの順位は18位・・・何としてもこれ以上の得点を叩き出し、ベスト16へ進出しなければなりません。
1本目で決めることができなかった野村さんは、このとき物凄いプレッシャーと戦っていたのだと思います。そのような精神状態の中、平常心を保ち、いつもと同じ様な走りが出来る訳がありません。

2本目の走行も本来の走りを披露することができず・・・残念ながら1本目の得点を上回ることはできませんでした。
最後の最後で、まさかのベスト16進出ならず・・・。
色んな物を背負って、全力で頑張った野村さん。
そんな野村さんに対して・・・うまく言葉が見つかりません。

このどうすることもできない現実を素直に受け止めるしかなく・・・ここで僕らの2009年シリーズは幕を閉じました。



1年間応援ありがとう!

2009年シリーズ総括
今年のD1グランプリは大会自体も色々な改革を行いました。審査員の増員やタッチパネル式採点システムによるノックダウン方式の採用、土日両日決勝のデュアルファイナルズ等、今まで以上にファンサービスの向上に努めました。又、メディア面でも地上波であるBSフジで連載番組をスタートし、大きな飛躍の年になったことは間違いありません。
その大きな改革を行った2009年シリーズ初戦、僕らは見事に優勝し、非常に幸先の良いスタートを切ることができました。続く第2戦でも準優勝し、その後の岡山でもゼッケン1番をキープし続けました。
ところが、折り返しのエビス戦あたりから「シリーズチャンピオン」を意識する気持ちが強くなり、チーム全体にも違った空気が流れ始めました。その結果、「DUNLOP100周年とBLITZ30周年の節目にチャンピオンを」と言う重圧が、いつの間にか野村さんを苦しめていたのだと思います。そのプレッシャーと戦いながらも、今年は特にクラッシュやトラブルの無かった一年間となり、最終的にはランキング3位と言う、とても立派な成績で終えることができました。
シリーズチャンピオンこそ逃してしまいましたが・・・人気ナンバーワンの野村さんとBLITZのタッグを応援してくれる多くのファンの方々に支えられ、今年も最後まで戦い抜くことができました。
又、今年一年間スポンサーをして下さった関係各社の多大なるご支援の御蔭で、今年のシリーズ戦は今まで以上に良い体制で参戦ができたと思っています。

D1グランプリは自分たちが思っている以上に、本当に多くのファンに支えられています。
この多くのファンの方々を裏切ることのないよう、来年に向けて色々なことを見直し、しっかりと準備をしていきたいと思います。
今年は皆でイッパイ笑って、イッパイ泣いた一年間でした。
来年もまた皆さんにお会いできるよう、全力で頑張ります。
本当にありがとうございました!!!