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2009年度D1第1戦エビスレポート



最終コーナーにあわせたセットアップ


車両について
長いようで短かったシーズンオフもあっという間に終わり・・・ついに2009年のD1グランプリが開幕となりました。車はもちろん!? いつものヤツ(次の車はもう少し・・・)で、デビュー後6年目のフレームではありますが、戦闘力はまだまだトップクラス(のはず)です。
基本的な車両仕様は変わりませんが、事前のテストで高回転型のエンジン特性(実は富士仕様)をテストしてみたところ、下から回る仕様よりも上で伸びる方が良いフィーリングだったので、今回はこのエンジン特性を採用することにしました。又、足回りは最終コーナー脱出の角度を重視したセットアップ(キャンバーとトーを変更)にして、今まで以上に迫力のある走りを目指しました。

練習走行で周回を重ねます

26日(木) 移動及びテスト走行
野村さんは本戦カーに乗る機会が非常に少ないので・・・少しでも早く慣れるように、木曜日からエビスに入って練習走行を重ねます。初日はあまり無理をしない程度のリハビリ?走行で、変更した足まわりのフィーリングの確認とエンジンセッティングの確認をメインで行いました。ピットの設営などをやりながらボチボチな感じで走行を重ねていると・・・午後からかなりの量の雪がっ!!冬タイヤを履いていない都会人の僕ら?は、雪が積もって帰れなくなるとヤバい!!とビビり、この日は早々に撤収することにしました。(お蔭さまで、たくさん飲んだっす)

順調に練習走行を終えました

27日(金) 練習走行日
幸いにも前日の雪の影響も無く、朝から完全にドライ路面で走れそうです。2日目からは徐々に本番を想定した走りに切り換えていきます。今回の単走で重要になるのは、最終コーナーの飛び出し方になる予感がしていたので、早いスピードでも角度を付けて出て来られるようなラインを探りながら走ります。昨年の最終戦からミッションのギア比(3速、4速がクロスしている)が変わっているため、3速のままではストレートで回転が足りなくなってしまいます。一方、4速脱出では高回転型のエンジンの為、かなりクラッチを多用しなければなりません。ある程度角度を付けて最終コーナーを出てくる為には、降り出してから着地するあたりで3速から4速にシフトアップをする必要があり、この日はここを重点的に練習しました。

野村さんも真面目モード
28日(土) D1グランプリ予選
野村さんは昨年のランキングが4位だったので、開幕戦は予選免除のシード枠からのスタートとなります。今年から審査員のメンバーに昨年まで副審だった神本氏、スーパーGTドライバーとしても活躍した山路氏が加わり、計4名による審査によって予選が行われました。2009年は全体の時間短縮を目的とした走行本数の減算があり、予選も決勝1回戦も本番2本だけの走行となります。これによりかなり緊張感のある展開となりますが、各選手ともに走りの組み立てに戸惑っていたようでした。僕らも翌日の決勝1回戦を想定したシュミレーションを行い、最後の練習走行を終えました。
29日(日) D1グランプリ決勝
3月下旬とはいえ、東北地方はまだまだ真冬のような寒さです。毎日のように雪がチラつき、決勝前日の夜は完全にウェット路面になってしまう程の降雪量でした。決勝日の天気は晴れの予報だったので、ウェット路面のまま練習走行を行っても意味がないと言うことになり、スケジュールを変更して決勝進出者全員によるコースを乾かすウォーミングアップ走行を行いました。路面が完全にドライになった時点で最後のチェック走行を行い、開会式を経て、いよいよ1回戦が始まります。

1回戦の走行
1回戦
今年からタッチパネル式の採点システムを採用したこともあり、1回戦はノックダウン方式のリバースグリッド(予選最下位の選手が一番目)からの走行となります。これにより2本の走行が終わった時点でベスト16進出のボーダーラインが一目瞭然となり、かなりエンターテインメント性が上がっています。ところが、チームとしては走りの組み立てが非常に難しくなり、作戦次第では1回戦敗退も常に考えられます。
(1本目は無難な走りで低い順位だった場合、2本目で上位を狙って攻めた走りをしても、ここで大きな失敗をしてしまったら元も子もないのです)
そのような緊張感の中・・・ついに野村さんの1本目がスタートします。ある程度は抑えつつも魅せるところは魅せる作戦で行きますが、この無難な走りが審査委員には伝わり、1本目の平均得点は暫定13位程度に留まります。
あべ「いやぁ、無難な走りでも何となくベスト16進出は決まったので、次は思いっきり行きましょう」
のむ「すげー緊張したー」
1本目が終わった時点で既にベスト16進出が確定したので、2本目は思いっきり攻めた走りに切り替えます。2本目は野村さん本人もこの日一番だった、と言う程の会心の走りを披露し、見事に3位で1回戦を突破することができました。
のむ「2本だと難しいなぁー!」
あべ「緊張するっすねー!!」

前田選手との対戦

追走ベスト16
追走初戦の相手は軽量の86ターボを操る前田選手です。野村さんの先行でスタートした1本目、重点的に練習した最終コーナーの脱出に注意しながら走り、綺麗に1コーナーに進入します。前田選手はストレートの時点でドリフトが戻ってしまい、この失敗を取り返そうとして焦ったのか、2コーナーで真っすぐになりながら野村さんの真横にぶつかってしまいました。これは野村さんが後追いでほぼ何もしなくても勝ち上がれる程の大きなペナルティとなり、これでベスト8に進出です。

スタート地点で談笑

ベスト8
次の相手は練習走行からずっと一緒に走っていた末永正雄選手です。野村さんの先行でスタートし、練習走行と同じように最終コーナーの角度に気を付けながら脱出します。末永選手は後追いで最終コーナーからストレートにかけて少しフラついてしまい、1本目は野村さんが若干のアドバンテージを獲得です。続く後追いの2本目、野村さんは末永選手を信用して最終コーナーからビタビタに近づいて飛び出しますが、末永選手は終始速いスピードで駆け抜けていきます。野村さんは2コーナーまでは必死に付いて行きますが、3コーナーから先は若干引き離されます。非常に僅差ではありましたが・・・この判定はほぼ五分となり、野村さんはベスト4に駒を進めました!

ビタビタの走り

ベスト4
続くベスト4の相手は手塚選手です。ここまで来ると当分の間のシード枠が確定したので、後は野村さんも伸び伸びと走ることができます。手塚選手には何故か苦手意識があるようですが、ここは気持ちを落ち着かせて勝負に挑みます。野村さん先行の1本目、今までと全く同じように安定した走りで最終コーナーから2コーナーに向けて綺麗に駆け抜けます。後追いの手塚選手は若干のミスがありましたが、2コーナーでは野村さんのイン側にピッタリとくっついてきます。この判定はほぼ五分ですが、若干のアドバンテージが野村さんに入りました。次は入れ替えて後追いとなりますが、ここで今までとは少し違った作戦に切り替えます。最終コーナーではあまり近づきすぎず、ストレートの壁から離れて審査員席前に向かうところから先でインに入る作戦です。「五分を狙ってサドンデスをやるつもりで!」と言う僕のアドバイスの通り、落ち着きながらもビタビタの走りを見せた野村さんは見事に手塚選手を下し、決勝に進出です!!

スタート地点で今村選手を待つ

決勝戦
野村さんはトントン拍子に勝ち進み、ついに決勝までやってきました。昨年のシリーズでは一度も優勝が無かったので、ここは久しぶりに狙っていきたいところです。野村さんも「今回はやるよ!!」と気合いを入れてウォームアップ走行に臨みましたが、ここで突然の降雪に見舞われます。コースコンディションを確認する為にもかなり抑え気味に走りましたが、路面は思った以上に濡れていたようです。・・・ですが、優勝を狙う為にもここは思いっきり行くしかありません。後追いからの1本目、野村さんは最終コーナーの立ち上がりからストレートで姿勢を乱してしまいますが・・・今村選手はその先の1コーナーでシフトミスをしていまい完全にドリフトが戻ってしまいます。このシフトミスによりエンジンブローを起こしてしまったようで、今村選手はここで走行不能に・・・。
と言うことは・・・
野村さんの優勝では!?

今年から始まったベストパフォーマンス賞第1号もゲット!

開幕戦まとめ
今年は開幕戦から優勝で終えることができ、幸先の良いスタートが切れました。ここでポイントの貯金ができると後々の戦いでも非常に有利になってくるので、本当に意味のある1勝でした。今回はギア比を変えたミッションとエンジンパワーのバランスが上手い方に行き、野村さんも今までとは違った走りが出来たと思います。次のオートポリスは久しぶりのゼッケン1番ですが、あまり気負いせず、チーム全体で楽しみながら戦っていこうと思いますので・・・皆さん、次も応援宜しくお願い致しますね!!