特別戦 11月16日(金)~18日(日) 富士スピードウェイ(静岡県)
JAF Grand Prix SUPER GT & Formula NIPPON
FUJI SPRINT CUP 2012(富士スプリントカップ)
シーズンを締めくくる注目のスプリントバトル
Epson HSV-010、上位を目指した攻めの走りを披露
今季最後のバトルを見せるEpson HSV-010
「JAF Grand Prix SUPER GT & Formula NIPPON FUJI SPRINT CUP」は、シリーズ戦とは別の新たな特別戦としてスタートし、今年で3年目を迎えた。最終戦もてぎGT250kmレース(10月27~28日)から3週間、今シーズンの最後を飾るファイナルバトルが開催された。
「富士スプリントカップ」は、土曜と日曜に、100km(22周)のレースが開催され、それぞれのレースを各ドライバーが、交代なしで走るスプリントレース。通常のローリングスタートではなくグリッドに着いたスタンディングスタートとなる。しかもGT500クラスとGT300クラスは、独立した別レースとして争われる。そして土曜の第1レースと日曜の第2レースの総合成績によって、JAFグランプリのタイトルが贈られる。
舞台となる富士スピードウェイは、全長4563m、約1.5kmの長いメインストレートがあり、コース前半は高速セクション、そして後半はテクニカルセクションとなっている。
今季ダンロップは、GT500クラスとGT300クラスの各1台にタイヤを供給。GT500クラスは、今年でダンロップユーザーとして8年となる「NAKAJIMA RACING」が、デビュー3シーズン目の「Epson HSV-010」で参戦。GT300クラスは、昨年のFIA GT耐久仕様(LM-GTE)のフェラーリF458 GTCからFIA GT3仕様の最新モデルであるAudi R8 LMS Ultraにマシンをスイッチ。今季からチーム名は「JIMGAINER」(ジェイアイエムゲイナー)から旧来の「GAINER」(ゲイナー)に戻され、「GAINER DIXCEL R8 LMS」で戦う。
今回、ダンロップが用意したタイヤは、GT500クラスとGT300クラスともに、ドライはミディアムとソフト。ウエットは2クラスともに、インターミディエイト(浅溝)とウエット(深溝)で、それぞれミディアムとソフトの2種類を揃えた。今回はスプリントレースなので、それに合わせた仕様としている。
予選日の金曜、富士山をバックに公式練習を走るEpson HSV-010
【GT500】
ベテランの道上 龍選手と、成長株の中山友貴選手が戦う「NAKAJIMA RACING」。マシンは3年目となるホンダHSV-010 GT。デビューシーズンの2010年にチャンピオンマシンとなり、、昨年はサイドラジエターに変更され、今シーズンは、さらにコーナリング性能とトップスピードを追求したアップデートがされている。
今季は、雨の第2戦富士でポールポジションを獲得。第7戦オートポリスでは、小雨で雨量が変化するウエットコンディションを、タイヤ無交換作戦で戦って、終盤にはトップに立つ走りを見せ、最終的には2位でフィニッシュ、やはりウエットとなった最終戦(第8戦)もてぎでは、3位入賞を果たすなど、光る走りを見せたEpson HSV-010。
今回は、スプリントレースの特別戦なので、予選は金曜に行われる。土曜の第1レース、日曜の第2レース、それぞれに出走するドライバーが、各20分間のタイムアタックを行い、スターティンググリッドが決定する。
予選日の金曜は、好天に恵まれ、ドライコンディションで行われた。午前10時から1時間の公式練習、午後に予選が行われた。午後2時35分から第1レースの予選がスタート。中山友貴選手がタイムアタックを行い、タイムを刻んでいったが、15台中15番手となった。
「今回はタイトなスケジュールなので、1 時間の公式練習で予選だったので、十分にはセッティングする時間が取れないのが残念ですね。予選中にはタイムアップは出来たのですが、ほかのマシンはそれ以上に速かったです。明日は天候が崩れるという予報もあり、とにかくがんばって走ります」と語る中山友貴選手。
第2レースの予選は午後3時40分にスタート。道上 龍選手もタイムアップしながら周回を刻んだが、やはり14番手というポジションで予選を終えることとなった。
「ドライでのアタックで、新たなタイヤを投入して、それなりの手応えはあったのですが、コンディションとのマッチングがベストではなく、予想以上にまわりも速かったですね。14 位という順位ですが、日曜はドライで戦うことになると思いますが、今季最後のレースとなるので、いい走りをしたいと思います」と道上 龍選手は語った。
Epson HSV-010、ヘビーウエットとなった第1レースで攻める
【第1レース】
前日の予選日とは一転して朝から雨となり、雨は次第に強くなっていった。午後3時15分からのGT500クラスの第1レースは完全なウエットで行われた。1周のフォーメーションラップの後、22周のレースはスタート。特別戦は通常のローリングスタートではなく、グリッドスタートで行われる。Epson HSV-010をドライブする中山友貴選手は、好スタートを決めて、1コーナーまでに2台をバスして13番手に浮上、オープニングラップは12番手でグランドスタンド前に戻ってくる。2周目は13番手、4周目は12番手、5周目に11番手、7周目には10番手までポジションアップ。
だが、雨はグングンと強くなり、ストレート上でスピンするマシンが出る程の悪コンディションなり、安全のために8周目にセーフティカーが導入されて周回を重ねたが、レースは赤旗中断。10周終了時点の順位が最終結果となり、10番手から、さらなる上位進出を狙っていた中山友貴選手だったが、10位となった。
ピットで話す中山友貴選手
「ウエットのレースとなりましたが、スタートが決まって順位を12番手となりましたが、雨量も多く、序盤はなかなかタイヤの温度が上がらなかったのですが、とにかくプッシュしていました。雨が強くなり、ストレートでも走るのが難しいコンディションになってしまいました。レースを最後まで走ることができずに残念な気持ちですが、もちろん、あの状況でのレース中断の判断は正しいですね。最後のレースは不完全燃焼でしたが、4年間、このチームの一員として走らせていただき、とても勉強になりました。まだ来年のことはわかりませんが、”NAKAJIMA RACING”で戦っていきたいです」と中山友貴選手は語った。
第2レースのEpson HSV-010
【第2レース】
日曜は再び好天となり、第2レースはドライコンディションとなった。午後3時30分にフォーメーションラップが始まり、1周してグリッドに全車が整列した後、22周のレースはスタート。道上 龍選手はスタートで1つポジションを上げて13番で1コーナーに進入。2周目には15番手に後退するが、終始テール・トゥ・ノーズのバトルを展開。6周目には13番手、14周目には11番手まで浮上した。
レース序盤は、バツグンの速さを発揮した道上 龍選手だったが、後半に入ると、さらなるベースアップはできない状況となり、最後まで激しいバトルを展開しながら12位でチェッカー。今季最後のレースで、苦しいながらも力強い走りを見せてくれた。
今季のラストを締めくくった道上 龍選手
「今年1年間が終わりましたが、今季はドライタイヤの性能向上という目標があったのですが、期待どおりにはいきませんでした。前半の10周くらいはタイヤの温まりもよくてグリップもあったのですが、後半は、タイヤも厳しくなり、それ以上にはペースを上げられませんでした。ボクは3年間やってきましたが、熾烈なタイヤというファクターの争いの中では、まだまだタイヤのレベルを十分に高められていません。来シーズンに向けて、さらにタイヤを進化させていきたいと思います」と道上 龍選手は語った。
往年の名ドライバーが参加する恒例のレジェンドカップは、ダンロップタイヤを装着する。中嶋 悟総監督は15位だったが、レースを最も盛り上げたとして表彰台に呼ばれ、副賞を贈られた
「1年間ありがとうございました。今回は選手権ではないということで、半分はテストを兼ねていろいろとやりました。まだまだですが、少しはいい気配を感じたので、あとは来年に向けてテストをするだけです。今年は天候にも助けられて、雨に強いダンロップというのは示せたと思います。後半に表彰台に2回上がれたのは、よかれとしようかなと。まだまだやることはいろいろとありますが、来年はドライでも正々堂々と戦えるようにしたいと思います」と中嶋 悟総監督は来季への決意を語った。
これで今季のスーパーGTレースは終了。ドライの予選などでは、伸び悩んだところもあったが、レースではハイペースなバトルを披露し、最高位は2位という成績だった。来季も「NAKAJIMA RACING」とダンロップが、さらなる飛躍を見せてくれるだろう。来季の開幕戦岡山国際サーキット(4月6日~4月7日)に向けて、今、また新たな幕が上がった。