特別戦 11月16日(金)~18日(日) 富士スピードウェイ(静岡県)
JAF Grand Prix SUPER GT & Formula NIPPON
FUJI SPRINT CUP 2012(富士スプリントカップ)
【GT300】
ロケットスタートを決めたGAINER DIXCEL R8 LMS
第1レースは7位、第2レースでは6位でフィニッシュ
GAINER DIXCEL R8 LMSにとって、ストレートの長い富士は厳しい戦いとなった
今季からチーム名は「GAINER」となり、「GAINER DIXCEL R8 LMS」で戦う。ドライバーは田中哲也選手と平中克幸選手というおなじみの実力派ペア。富士スプリントカップといえば、2年前の第1回大会で、FIA GT仕様の「JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430」で両ドライバーが2連勝を達成し、2レース通算の総合1位となり、富士スプリントカップの初代JAFグランプリを獲得している。シリーズランキング2位となった昨年は、FIA GT耐久仕様(LM-GTE)のフェラーリF458 GTC「JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458」で、第1レースはポール、第2レースでは3位という結果を残した。
FIA GT3のAudi R8 LMS Ultraで参戦する今季は、開幕戦岡山でマシンのデビューウインを飾り、シリーズ第2戦の富士ではポールポジションを獲得した。だが第2戦からの性能調整でパワーが絞られ、空力も抑えられたことでストレートスピードが伸びず、第6戦までは連続入賞で、タイトルの奪取の可能性も残したが、ドライバーランキング7位、チームランキング6位という成績でシーズンを終えた。
今回は、シリーズ戦外の特別戦のため、いつもとは違ってドライバー交代とピット作業がない、100km(22周)のスプリントレースとなる。土曜と日曜に、クラス別に各1レースが行われる。最終戦と同じノーウエイトハンデではあるが、ストレートの長い富士スピードウェイでは、シリーズ戦と同様に厳しい戦いを強いられることになる。
第1レースのGAINER DIXCEL R8 LMS
【第1レース】
金曜の午前に1時間の公式練習を行い、金曜の午後2時5分から20分間に渡って行われた第1レースの予選。平中克幸は、昨年のこのレースではポールを獲得し、今年の雨の第2戦の富士でもGAINER DIXCEL R8 LMSでポールをマークしている。だが、ドライとなった今回のレースでは、第2戦からの性能調整の影響でストレートスピードが伸びないという状況に苦しめられ、コーナリング性能とタイヤ性能の向上で、そのギャップを埋めようと努力してきた今シーズンだったが、依然タイムは伸び悩んでいた。11番手のベストタイムがマークされたが、そのラップはペナルティで抹消され、平中克幸選手は予選14位となった。
「14番手でしたが、ベストタイムは四輪脱輪で抹消されてしまいましたが、それでも11番手くらいでした。明日は雨という予報なので、雨でのダンロップタイヤのパフォーマンスを発揮したいのですが、ライバルも確実にレベルアップしています。雨の状況にもよりますが、厳しい戦いになるとは思います」と語る平中克幸選手。
土曜の第1レース当日は、朝から雨模様となった。レースは、午後12時45分にスタート。予選14番手の平中克幸選手は、好スタートを決めて1周目は11番手でグランドスタンド前に戻ってきた。その後も前後のマシンとバトルを展開しながら、5周目には8番手、12周目には7番手までポジションをアップ。ヘビーウエットで好ラップをマークする上位グループには届かず、そのまま最後までポジションキープの7位でレースを終えた。
出走準備をする平中克幸選手
「シーズン中、ずっと苦しんでいたストレートスピードの問題に、最後の最後まで苦しめられた感じのレースでした。決勝は雨だったので、少しは挽回できるかなとは思ったのですが、雨が強くなる状況だと、路面とタイヤとのマッチングが悪くなり、雨量による路面状況の変化に十分に対応できませんでした。そのために思うようにペースは上げられず、苦しいレースとなりました。スタートはよかったので、8番手くらいまで順位を上げられましたが、ダンロップコーナーでの混乱に巻き込まれて順位を落としました。来季は、まだどうなるかはわかりませんが、さらに勝てるマシンとタイヤに仕上げて、タイトルを獲りに行きます」と平中克幸選手は新たな決意を語った。
第2レースのGAINER DIXCEL R8 LMS
【第2レース】
第2レースの田中哲也選手の予選は午後3時10分から20分間で行われた。マシンのバランスもよく、それなりの手応えを感じていたという田中哲也選手だったが、ベストタイムは1分39秒897で、トップとは2秒005差の14番手。予選17番手までが、GT300のコースレコードを更新という好タイムとなった
「予選は、クルマのバランスもよかったのですが、やはりストレートが伸びずに、タイムが届かなかったという感じでするタイム差は大きかったですね。」
朝から快晴となった決勝当日の日曜。第2レースは午後2時15分にスタート。予選14位の田中哲也選手は、ロケットスタートを決めてジャンプアップ。1周目には5番手に順位をアップ。2周目には6番手となるが、激しいバトルをしながら順位を入れ替え、5番手を走っていた最終ラップに、惜しくも逆転されて6位でチェッカー。田中哲也選手は、最後までバトルを続ける好レースを展開して、レースを盛り上げた。
山本俊茂監督と語る田中哲也選手
「富士ということで、アウディにとっては、今年のサーキットの中で一番苦しいサーキットで、思うような成績を残せなかったというのが実感です。スタートが決まったのはよかったのですが、あとは周りのクルマが速くて楽ではなかったです。クルマに優勝できるポテンシャルがなかったということでしょう。来年は性能調整がどうなるかはわからないので、何とも言えませんが、気持ちを新たにタイトルが獲れるクルマとタイヤに仕上げて行きたいと思います」と田中哲也選手は思いを新たにした。
予選日のGAINER DIXCEL R8 LMS
「今シーズンの一番の結果は、FIAのBOPのキツさですね。初戦だけ勝てて、後はしんどい戦いになったのですが、タイヤは常に開発が進み、前戦のもてぎでの雨や、今回の土曜日の雨でも、平中選手はいいパフォーマンスを見せてくれました。日曜日の田中選手は、14位から最終的には6位と、いいところを見せてくれました。アウディは、今後のアップデートがどうなるか、まだわかりません。このままでは、またしんどい戦いになるので、いいクルマを探そうかなとも思っています。今のGT300はクルマ選びが勝利の決め手になりますから。でもBOP次第で、それも変わってしまいますから。とにかく来年も、またがんばります」と山本俊茂監督はタイトル獲得への決意を語った。
「富士ということで、そこそこ行けるかとも思ったのですが、ほかのクルマが予想以上に速くて苦しいところからのスタートとなりました。路面温度が想定よりも低くなり、ドライバーからも全然暖まらないということで、グリップ的には厳しいものがありました。コーナーでは、ほかのクルマと遜色がないところまで行けているのですが、長いストレートが効いていて、とてもキツいです。チームとしては、ストレートが遅い分、コーナーで稼いで詰めて行こうとしているのですが、FIA GT3は、手を入れられるところが少ないので、なかなか厳しいです。あとはいかにいいタイヤを開発できるかでしょう。来年こそは、タイトルを獲れるように全力で戦います」と小笠原康介エンジニア。
今季、GAINERは、新たにFIA GT3仕様のAudi R8 LMS Ultra でダンロップとともにタイトルを目指して戦ってきた。開幕戦で優勝、第2戦でポール、厳しい戦いとはなっていたが、タイヤは着実に進化している。来季もダンロップとGAINERは、頂点を目指して、さらなるチャレンジを続けていくだろう。