特別戦 11月11日(金)~13日(日) 富士スピードウェイ(静岡県)
JAF Grand Prix SUPER GT & Formula NIPPON FUJI SPRINT CUP 2011(富士スプリントカップ)
第2レースの予選は2位をマークしたEpson HSV-010
決勝では健闘するも、2レースともに13位に終わる
ダンロップコーナーのEpson HSV-010
昨年、シリーズ戦とは別の特別戦としてスタートした「JAF Grand Prix SUPER GT & Formula NIPPON FUJI SPRINT CUP 2010」。今季の最終戦もてぎGT250kmレース(10月15~16日)から4週間のインターバルを経て、GTマシンがサーキットに集結。
「富士スプリントカップ」は、100km(22周)のレースを、2人のドライバーが、それぞれドライバー交代なしで走るスプリントレース。さらにローリングスタートではなくグリッドスタートと、いつものGTレースとは違ったスタイルで行われ、GT500クラスとGT300クラスは、独立した別レースとして争われる。土曜の第1レースと日曜の第2レースのリザルトとは別に、2レースの総合成績によって、JAFグランプリのタイトルが与えられる。
全長4563m、約1.5kmの長いメインストレートが特徴の富士スピードウェイは、コース前半は高速セクション、後半のダンロップコーナーからはテクニカルセクションとなる。
GT500クラスは、ダンロップユーザーとして7年目を迎える「NAKAJIMA RACING」が、デビュー2年目となるHonda HSV-010 GT、「Epson HSV-010」。第4戦SUGOで今季初表彰台の3位入賞を飾り、第5戦鈴鹿ではアクシデントに見舞われて13位、第6戦富士では12位となるが、第7戦オートポリスでは8位、最終戦もてぎでは5位入賞を果たした。
GT300クラスは、昨年からダンロップユーザーとなった「JIMGAINER」(ジェイアイエムゲイナー)がFIA-GT耐久仕様(LM-GTE)のフェラーリF458 GTCを新投入。「JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458」は、雨となった初戦の富士、ドライの岡山、灼熱の第3戦セパンと3戦連続で2位表彰台を獲得。第4戦SUGOは7位、第5戦鈴鹿は4位で、第2戦からポイントランキングトップをキープしていたが、第6戦富士ではノーポイントに終ってランキング2位に後退。だが第7戦オートポリスでは2位入賞でランキングトップに復帰。最終戦では3位となり、ランキング2位で今シーズンを終えた。
今回、ダンロップがサーキットに持ち込んだタイヤは、ドライはGT500クラスとGT300クラスともにハードとミディアム。ウエットは2クラスともに、インターミディエイト(浅溝)とウエット(深溝)で、それぞれミディアムとソフトを用意した。
金曜の走行はウエットとなった
【GT500】
今季の「NAKAJIMA RACING」は、チーム加入2年目のベテラン道上 龍選手と、スーパーGTにステップアップして3シーズン目となる若手の中山友貴選手のコンビで、2年目となるEpson HSV-010でレースを戦う。
今回の予選は、土曜の第1レース、日曜の第2レースという2レースに出走する各ドライバーが、それぞれ20分間のタイムアタックを行ってスターティンググリッドが決まる。
金曜の予選日は雨模様となり、ウエットコンディションとなった午後2時10分からの第1レースの予選は、中山友貴選手がタイムアタックを行った。走行中に雨量が変化し、難しい路面コンディションとなった。中山友貴選手は、ウエットのソフトで臨んだが、雨量とのタイミングが合わず、予選12位でタイムアタックを終えることとなった。
「タイムアタックしたタイミングで雨が強くなってしまい、装着していたタイヤとのマッチングが悪くなり、タイムアップをすることができませんでした。明日のレースはドライのようなので、新たな気持ちで頑張ります」と中山友貴選手。
第2レースの予選は午後3時25分にスタート予定だったが、天候の悪化で翌日に延期。土曜の午前8時5分から行われた第2レースの予選は15分間に短縮。雨は上がっているが、路面はハーフウエット。道上 龍選手はインターミディエイトのソフトを装着し、ドライ部分とウエット部分を巧みに選びながら走行してトップタイムをマーク。終盤に逆転されてしまいポール獲得とはならなかったが、予選2位で第2レースを迎えることになった。
「ハーフウエットでのダンロップタイヤの好パフォーマンスを生かすために、最初からプッシュしました。明日の決勝は優勝を目指して頑張ります」と道上 龍選手は語った。
苦戦となったEpson HSV-010
【第1レース】
土曜の午前にはハーフウエットだった路面も、GT500クラスの第1レースまでには完全なドライとなっていた。午後3時28分、1周のフォーメーションラップの後、22周のレースはスタート。特別戦は通常のローリングスタートではなく、グリッドスタートで行われる。前方でのクラッシュによる混乱をかわしたEpson HSV-010の中山友貴選手だったが、オープニングラップは1つポジションを落として13番手でグランドスタンド前に戻ってきた。
その後も中山友貴選手は、果敢に攻めながら、17周目には11番手まで挽回。だが、路面とタイヤとのマッチングが悪くペースが上がらない苦しい走行となった。前方との間隔が空いてしまったこともあり、18周目に中山友貴選手はピットの指示でピットイン。翌日の第2レースのためのデータ収集の目的もあって、スペックの違うタイヤを装着して再びコースイン。Epson HSV-010は、そのまま残り3周を走りきって13番手でチェッカー。
ピットで話す中山友貴選手
「スタートでは4台ほど抜けたのですが、その後はペースを上げられず、ブレーキングで並ばれて抜かれたりもしました。今季最後のレースは思いどおりの走りができず、悪い展開のままで悔しいレースになってしまいました。来年は、さらにいい結果を残せるように、全力で頑張りたいと思います」と中山友貴選手は今季最後のレースを振り返った。
オープニングラップのEpson HSV-010
【第2レース】
晴れとなり、ドライコンディションで争われた日曜の第2レース。午後3時25分に1周のフォーメーションラップが始まり、全車がグリッドに静止した後、22周のレースはスタート。道上 龍選手は1コーナーでは2番手キープしたが、ペースを上げられず、100Rコーナーと300Rコーナーで、それぞれパスされてしまいオープニングラップでは4番手に後退。タイヤと路面とのマッチングが悪いためにタイムアップできないままで、6周目には13番手まで後退。一時は11番手まで浮上したが、18周目には再び13番手となってしまい、そのまま13位完走というリザルトでレースをフィニッシュした。
中山友貴選手と道上 龍選手
「レースではタイヤのグリップが悪くて、なすすべなく終わってしまいました。今回、22周という短い距離でのマッチングが悪かったですね。何がダメなのかを自分の中で感じとりながら走っていました。今年は浮き沈みの多いシーズンでした。その落差をなくして、どんな条件でも、どんなサーキットでも高いパフォーマンスで戦えるようにしたいです。そのためには、早く来年に向けてのテストに取り組みたいですね」と道上 龍選手は語った。
来季のさらなる飛躍を期待したい
「ウエットの予選は、いつものようによかったのですが、今回はドライタイヤでのパフォーマンスが悪い時に戻ってしまいました。今季はいいレースも数レースありましたが、トータルでのパフォーマンスは、まだまだ負けています。これから開幕までのテストで、いいマシンといいタイヤに仕上げて行きたいです」と中嶋 悟総監督は来季への決意を語る。
これで今季のスーパーGTは幕を降ろした。勝利には届かなかったが、チームもダンロップも全力で熱いバトルを展開したシーズンだった。もうすでに、来季の開幕戦岡山国際サーキット(3月31日~4月1日)に向けて、ダンロップの新たな戦いの準備はスタートしている。ダンロップ勢のさらなる活躍に期待したい。