特別戦 11月11日(金)~13日(日) 富士スピードウェイ(静岡県)
JAF Grand Prix SUPER GT & Formula NIPPON FUJI SPRINT CUP 2011(富士スプリントカップ)
【GT300】
JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458のファイナルバトル
第1レースはポール、第2レースでは3位入賞を果たす
JAFグランプリ3位の平中克幸選手と田中哲也選手
ベテラン田中哲也選手と若手の平中克幸選手の実力派ドライバーが活躍する「JIMGAINER」(ジェイアイエムゲイナー)。昨年の特別戦(富士スプリントカップ)では、FIA GT仕様の「JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430」で2人が2連勝を達成し、見事に総合1位となって、JAFグランプリを獲得した。
だがFIA GT耐久仕様(LM-GTE)のフェラーリF458 GTC「JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458」を新投入した今季は、開幕3戦連続の2位、計4回の2位入賞などもあり、ランキング2位の成績を残した。だがウエイトハンデとは別の性能調整でのウエイト搭載もあって、ストレートスピードが伸びずに、厳しい戦いが続いている。
今回は、シリーズ戦とは関係のない特別戦のため、ドライバー交代とピット作業がない、100km(22周)のスプリントレースとして争われる。土曜と日曜に、GT500とGT300のクラス別に各1レースが行われ、いつもはペアで走る2人のドライバーが単独で戦う。今回はノーウエイトハンデではあるが、マシンごとの性能調整は生きているために、ストレートの長い富士スピードウェイでは、シリーズ戦と同様に苦戦が予想された。
雨中のJIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458
【第1レース】
ウエットとなった金曜朝の公式練習で、序盤から次々にベストタイムを更新し、最終的にトップタイムをマークした平中克幸のドライブするJIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458。
金曜の午後1時50分から20分間に渡って行われた第1レースの予選では、平中克幸/JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458は、今季チャンピオンとなった4号車のBMW Z4と最後まで激しいポールポジション争いを展開。結局、4号車はコンマ138秒届かず、平中克幸選手が1分53秒719のトップタイムで、第1レースのポールを決めた。
「やはり雨のダンロップタイヤのパフォーマンスは高いですね。BMW Z4にはシリーズで負けているし、シリーズでは1勝もできなかったので、明日はなんとしても勝ちたい。昨年の富士スプリントカップでは勝っているが、今年のアドバンテージはないです。明日はドライになると思うので、楽な展開にはならないと思います」と平中克幸選手。
土曜の午後12時48分にスタートした第1レース。ポールの平中克幸選手はスタート後の加速が伸びず、好スタートを決めた4号車のBMW Z4に先行される。1コーナーでは33号車のポルシェ、Aコーナーでは88号車のランボルギーニにパスされて4番手まで後退。2周目には62号車のレガシィB4にもパスされて5番手となる。その後も激しい4番手争いを見せて、15周目には4番手を奪った。さらに終盤まで3台による激しい3番手争いを展開。ファイナルラップで勝負に出たが、混戦となり、結局4位でチェッカーを受けた。
ピットで話す平中克幸選手
「今回は苦戦すると思って臨みましたが、ポールも獲れて、レースで4位になってしまいましたが、自分の持っているパフォーマンスは発揮できたと思います。レース見ていただければわかるように、あまりにもストレートが遅い状態なので、どうしようもなかったです。ダンロップタイヤの進化も素晴らしかったです。シリーズ2位というのも、それを証明しています。来年は、さらに高い実力を発揮できると思います」と語る平中克幸選手。
第2レースのスタート
【第2レース】
金曜に行われる予定だった第2レースの予選は雨の影響で延期され、土曜の午前7時50分から15分間で行われた。晴れとはなったが、まだ路面はウエット状態だった。田中哲也選手のJIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458は、スリックでピットアウトしたが、まだコース状況は悪く、インターミディエイトで再びコースイン。そのままタイムアップをしたが、最後のアタックのタイミングでクリアラップにならず、さらなるタイムアップができる手応えを残しながらも3番手のタイムで予選を終えた。
好天となった日曜、午後2時13分に第2レースはスタート。予選2位のマシンがマシントラブルで決勝グリッドに並べず、予選4位のマシンはスタートミスで大きく後退。田中哲也選手のドライブするJIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458は、スタートで2番手となり、4周目にはトップに立ってレースをリード。だが後方から、猛追を続ける予選10位の33号車のポルシェと予選12位の4号車のBMW Z4が、グングンと迫っていった。
田中哲也選手は、7周目に4号車にパスされて2番手となり、10周目には33号車にもパスされて3番手に後退。この2台のストレートスピードは速く、JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458は、あっさりと3番手となってしまった。2番手の33号車を果敢にプッシュする田中哲也選手だったが、惜しくも逆転することはできず、3位でゴールとなった。
第2レースで3位入賞の田中哲也選手
「タイヤはドライでもウエットでも、とても安定していてよかったです。とにかく4号車のBMW Z4はストレートが速すぎますよね。ストレートではスリップも使わずに簡単に抜かれてしまうのを見ても、その差は歴然です。今季は、全体的にこのような展開でした。富士はストレートが長いので、一番それがわかりやすく出ているだけです。その差をタイヤの性能でカバーできての3位入賞といえるでしょう。今季は今日で終わりなので、もう過去は振り返らず、ただ来季に向けて全力で頑張るだけです」と語る田中哲也選手。
来季もダンロップと「JIMGAINER」の挑戦は続く
「性能調整が響いたシーズンで、タイヤのよさを十分に生かせなかったのが残念です。来季もダンロップとともに、新たなマシンで戦います」と山本俊茂監督は決意を語った。
「今回は、ウエットもインターミディエイトもズバ抜けてよかったですね。ドライになると、ストレートスピードではマシンの性能差もあってライバルには負けていますが、コーナリングでは勝っていると思います。ラップタイムはいいのですが、ストレートで前に出られると厳しいですね。ベストのパフォーマンスは出せたと思います。レースでは負けはしましたが、1年を通して、いい戦いができたと思います」と福田洋介エンジニア。
今季、「JIMGAINER」は、新たにFIA GT耐久仕様(LM-GTE)のフェラーリF458 GTCでシリーズに臨み、ダンロップとともにタイヤ開発を続けてきた。優勝こそ逃したが、シリーズ2位を獲得し、タイヤに関しては確かな進化を遂げて、確実なパフォーマンスを発揮することができた。来季もダンロップと「JIMGAINER」は、新たな戦いを見せてくれるだろう。