第7戦 10月5日(土)~10月6日(日) オートポリス(大分県)
予選15位から猛追のEpson HSV-010
10位チェッカーでポイントを獲得!
Epson HSV-010は10位でチェッカー
10月5日~10月6日、2013年スーパーGTシリーズ第7戦「SUPER GT IN KYUSHU 300km」が開催された。全8戦で争われるシリーズは、ラスト2戦となり、チャンピオン争いも激しさを増している。熊本県との県境に近い大分県日田市上津江町にあるオートポリス。99年にオールスター戦として初開催され、2002年からはシリーズ戦に昇格。シーズン終盤の重要な1戦として開催されてきた。2010年は休止となったが、翌2011年から再開された。
ダンロップは、GT500クラスは1チーム1台、GT300クラスは1チーム2台のマシンにタイヤを供給。GT500クラスは、ダンロップユーザーとして9年目となる「NAKAJIMA RACING」が、Honda HSV-010 GTの「Epson HSV-010」で参戦する。09年に実施されたGT500の車両規定が今シーズン限りとなり、来季に一新されることから、現行のGT500マシンでのレースは今年が最後となる。2010年にデビューしたHSV-010 GTも、あと2戦で引退となる。
GT300クラスは、ダンロップユーザーとして4年目の「GAINER」(ゲイナー)。昨年は「Audi R8 LMS Ultra」を新投入したが、今季はFIA GT3仕様の最新モデルの「Mercedes-Benz SLS AMG GT3」新投入。1カーから2カーエントリーとなり、悲願のタイトル獲得を目指す。
今回、ダンロップがサーキットに持ち込んだタイヤは、GT500クラス、GT300クラスともに、ドライ用はハードとミディアム。ここでは8月にメーカーテストを行っており、タイヤに厳しいと言われるサーキットだけに、耐摩耗性とグリップを高めた仕様のタイヤを投入し、予選から上位を狙った。ウエット用は、浅溝と深溝ともにハードとミディアム。予選は、GT500とGT300ともにドライ用のミディアムで出走した。
予選15位のEpson HSV-010
【GT500】
今季の「NAKAJIMA RACING」は、チーム加入4年目の道上 龍選手と、新たに中嶋 悟総監督の息子である中嶋大祐選手が参戦。昨年はGT300クラスでCR-Zを駆り、今季GT500に初挑戦の中嶋大祐選手は、スーパーフォーミュラでも「NAKAJIMA RACING」から参戦する。
ホンダHSV-010 GTはデビューイヤーにチャンピオンマシンとなり、ラストイヤーとなる今季は、ラジエターの位置を前輪の後方からフロントに移動。「スワンネック」と呼ばれる新型リヤウイングを新投入し、最後を飾るべく、さらなるポテンシャルアップを図る。
「NAKAJIMA RACING」は、昨年の第2戦富士でポールポジション獲得し、第7戦オートポリスでは2位、最終戦(第8戦)もてぎでは3位とウエット絡みの難しいコンディションでは、高いパフォーマンスを発揮し、ウエットに強いダンロップを印象づけている。今年の開幕戦岡山でも、ウエットの予選で2番手につけた。さらに第4戦SUGOでは8位入賞を果たして今季初ポイントを獲得。今回のオートポリスは、昨年は、バトルの末、2位入賞を果たしたサーキットだけに、上位入賞の期待が高まる一戦となった。また、7戦目となる今回は、ウエイトハンデが半減されるだけに、ライバル勢の戦闘力は確実にアップする。
土曜の予選日は、朝から悪天候となった。公式練習が始まる午前9時には、雨が降り続き、コースは水膜が張るヘビーウエット。開始後12分でクラッシュによる赤旗中断があり、再開後には雨は小降りになったが、霧が立ち込めて10時48分に再び中断。結局、公式練習は、そこで中止となった。午後2時からの予選も、雨と霧のためにキャンセル。予選は翌日に延期となり、GT500は日曜の午前9時25分から25分間で争われることになった。
日曜の決勝日は、雨がパラつくが、予選開始時には曇天で気温19℃、路面温度22℃。25分間1回で行われる予選は、ドライバー1人がタイムアタックをすればいいという方式となった。ここでは中嶋大祐選手が13周の計測ラップ中12周目にマークした1分40秒606がベストタイムとなり、15位からのスタートとなった。
道上 龍選手と中嶋大祐選手
65周、300kmで争われる決勝レースのフォーメーションラップが、午後2時にスタート。Epson HSV-010は中嶋大祐選手がスタートドライバーとなった。オープニングラップから上位進出を狙いながら15番手で周回を重ねた。5周目に14番手、9周目に13番手、12周目に11番手へとポジションアップ。その後も安定して走行を続けていたが、25周目から上位グループのピットインが続いた。小雨がパラつくコンディションへと変化していったが、中嶋大祐選手はピットインを遅らせたため、順位も着々とアップしていった。
中嶋大祐選手は、GT500勢で最後となる35周目にルーティンのピットインを行った。道上 龍選手にチェンジしてコースへ復帰すると12番手となり、そこから再び追い上げを開始した。終盤にピットインするマシンもあり、最終的には10位でチェッカーを受け、ドライバーポイント1点、チームポイント4点を加算した。
ピットインするEpson HSV-010
「レース前半の追い上げは明るい材料となり、最終戦にも大いに期待を持って挑んでいけると確信した部分であります。もちろんその他の部分も含めて、これからじっくり検証をして最終戦に臨みたいと思います」と中嶋 悟総監督はコメント。
「レースは、コース上のタイヤカスに苦しめられましたが、マシンのバランスはそれほど悪くはなかったので、少しずつ順位を上げていくことができました。最終的に10 位でゴールすることができて、ポイントゲットをすることができました。後半のペースが悪くなかっただけに、予選での上位進出が重要な課題だと感じるレースでした。最終戦はノーウエイトのガチンコ勝負なので、集大成となるレースをお見せしたいです」と語る道上 龍選手。
「予選は最後尾と苦しいポジションでしたが、決勝では前を走る車両よりもペースがよく、レースを楽しめました。ピットストップ後も道上選手がプッシュを続けて、ポイントを獲得することが出来ました。次戦のもてぎでは予選からこういった戦いが出来るよう、チームやダンロップと協力して準備を進めていきたいと思います」と中嶋大祐選手は語った。
Epson HSV-010のシリーズ最後となる、もてぎでの戦いが待っている
第7戦から4週間のインターバルで迎える最終戦(11月2~3日)ツインリンクもてぎ。GT500は、全車がノーウエイトハンデでの戦いとなるだけに、より厳しさを増す一戦となることは確かだろう。
1周4.801km、ストップ&ゴーが続くテクニカルサーキットであり、追い抜きは難しいコースでもあり、予選の順位がより重要になってくる。シリーズラストとなるバトルだけに、NAKAJIMA RACINGとダンロップのさらなる飛躍を期待したい。