第7戦 10月5日(土)~10月6日(日) オートポリス(大分県)
【GT300】
GAINER DIXCEL SLSは4位でチェッカー
ランキング3位でチャンピオンを狙う!
4位入賞のGAINER DIXCEL SLS
ダンロップユーザーとして4シーズン目となる「GAINER」(ゲイナー)。2年連続で開幕戦を制して、序盤はタイトルをリードしながら、ドライバーランキング2位で第7戦オートポリスを迎えた。今季、チームが投入したのは、名門チューナーのAMGが手掛けたGT3仕様の「Mercedes Benz SLS AMG GT3」。昨年からスーパーGTに参戦するマシンであり、ヨーロッパのレースで活躍。低重心で前後バランスも良好、高パフォーマンスのFRマシンだ。
さらに2台体制となり、ドライバーは11号車が平中克幸選手とビヨン・ビルドハイム選手、10号車は田中哲也選手と植田正幸選手。ビヨン・ビルドハイム選手は昨年までGT500でレクサスSC430やGT-Rを駆り、フォーミュラ・ニッポンにも参戦していた実力派ドライバー。植田正幸選手はスーパー耐久の参戦やスーパーGTに参戦、「GAINER」からの参戦経験も豊富で、2008年には田中哲也選手と組んでスーパーGTに参戦している。
第1戦岡山では11号車のGAINER DIXCEL SLSが、予選3位から見事な追い上げを披露して優勝を飾り、チームは2年連続して開幕戦を制した。その後コンスタントにポイント獲得し、先月行われたアジアン・ル・マン・シリーズ第2戦「3 Hours of Fuji」(富士スピードウェイ)では、チャンピオン争いをする11号車が参戦して2位に入り、シリーズポイント6点を加算した。
平中克幸選手とビヨン・ビルドハイム選手はトータル52点となり、ドライバーランキングトップの16号車CR-Zと16点差のランキング2位で、第7戦オートポリスに臨むことになった。また前戦までのウエイトハンデは獲得ポイントの2倍だったが、参戦7戦目のレースは半減される。つまり52点の11号車は52kgのウエイトハンデを搭載する。
予選に向かうGAINER Rn-SPORTS DIXCEL SLSとGAINER DIXCEL SLS
予選日、午前9時からの公式練習。気温16℃、路面温度17℃、雨が降り、コースには霧が立ち込めてヘビーウエット状態の中でスタート。GT300クラスは、平中克幸選手の11号車GAINER DIXEL SLSと、田中哲也選手の10号車GAINER Rn-SPORTS DIXCEL SLSが、序盤に連続して好タイムをマーク。だが13分でクラッシュのため赤旗中断、再開後も雨と霧でコースコンディションが悪化したため、午前9時48分で公式練習は中止となってしまった。
午後2時からの予選でも、依然として霧が立ち込めて回復の見込みが立たずにキャンセル。予選は、決勝日の午前9時から25分間で行われることになった。
「チームで1-2という結果はうれしかったです。とりあえず周回数が少ない中でそんなに攻められなかったのですが、タイムや順位は別として、クルマのフィーリング自体もそんなに悪くなかったし、ウエットでのマシンバランスもよかった。こういう状況のセッションで走っていないチームもあって非公式ともいえるタイムですが、クルマが悪かったらこの結果も出なかったわけで、できればウエットで予選をやりたかったです」と田中哲也選手。
「ウエットで調子がよかったので、このまま予選がやれていればポールポジションの可能性もあったと思います。だから予選がキャンセルになったのは残念ですけど、明日は明日で頑張ります。明日はドライになるのかウエットになるのかわからないですけど、事前テストでいいデータも取れていますし、やれるだけのことはやってきたので、自信を持って予選に臨みたいです」と平中克幸選手。
決勝日、午前9時から25分間の予選が行われた。雨はほぼ止んで、コースはウエット部分はあるがドライ用タイヤで走れる状態だった。気温19℃、路面温度22℃。平中克幸選手と田中哲也選手が、それぞれタイムアタックを担当。平中克幸選手の11号車は6番手、田中哲也選手の10号車は9番手でアタックを終えた。最大のライバルとなるランキングトップの16号車CR-Zは、予選16位と大きくグリッドを下げていた。
「6番手という結果にはあまり満足していません。ちょっと難しいコンディションの中、クルマ的にもすごくアンダーステアを抱えた上で6番手になれたという状況だったので、そういう意味ではダメージを最小限に抑えられたのかなとも思います。午後の決勝は16号車が後ろにいるということでポイントを詰めるチャンスでもあるし、レースではメルセデスのコンスタントラップはいいので、最後までしっかりと刻んでいいレースをすれば優勝も可能だと思います。決勝も頑張ります」と平中克幸選手。
「9位という予選の結果は正直、不本意です。ポジション取りも中途半端だったし、今回初めてに近いドライということでマシンの方も少しアンダーステアが強く、ちょっとしたトラブルもあってうまくタイムが出せませんでした。トップは無理だったにしろ、もう少し流れのいい予選ができていたら、結果はもっとよかったと思います」と田中哲也選手。
ビヨン・ビルドハイム選手と平中克幸選手
300kmの決勝レースは、予選4位の61 号車BRZが、タイヤトラブルでピットスタートとなった。午後2時にフォーメーションラップがきられ、予選6位の11号車はビヨン・ビルドハイム選手、予選9位の10号車は田中哲也選手がそれぞれスタートドライバーとなったが、実質的なポジションはスターティンググリッド時にピットへ戻した車両があった為予選順位から1番手アップ。11号車は1周目に5番手、2周目には3番手に浮上してトップ2台を追った。だが路面とタイヤのマッチングが次第に悪化してペースが落ち始めた11号車は、8周目には4番手に後退。その後も順位を下げて18周目には11番手となり、19周目にピットインして平中克幸選手にチェンジ。 その後は平中克幸選手の11号車は息を吹き返して、着々と順位を上げて行った。
25周目あたりから雨もパラつき出すが、ウエットタイヤを履くほどには降らなかった。中盤からは前回優勝の4号車BMW Z4が、トップに立ってレースをリード。平中克幸選手の11号車は、バトルを展開しながら4位まで浮上してゴール。4号車BMW Z4が2連勝をしてランキング2位に浮上。平中克幸選手とビヨン・ビルドハイム選手は、トップの16号車CR-Zは9位だったためにポイント差は縮まったが、ランキングでは3位に後退した。
田中哲也選手と植田正幸選手の10号車は、後半には8番手と健闘したがスピンもあり、終盤には他車と接触するアクシデントでマシンを停めてしまい、20位に終わった。
ピットインするGAINER DIXCEL SLS
「今回は、土曜日の雨で路面が洗い流されてしまい、今朝の公式予選から決勝は、ラバーが全然ないところから始まったために、レース序盤は厳しかったですね。でも後半は平中選手がいいペースで追い上げてくれました。現状ではベストの結果だったと思います。トップとのポイント差は10点。だからチャンピオン争いは相手次第ですが、ともかく最終戦では何とか優勝したいですね」と小笠原康介エンジニア(11号車)は決意を語った。
「結果については残念な気持ちの方が強いですが、できる限りのことはできたと思います。ダメージも最小限に抑えることができたし、16号車がずっと下の方でフィニッシュしてくれたことでポイントも詰めることができたので。今回はチームでしっかりと、なぜこういう結果になったのかということを考えて、最終戦のもてぎは、このような結果にならないようにしっかりと臨みたいと思います」と平中克幸選手はレースを振り返った。
「スタート直後からマシンのフィーリングがよくて、トップ2に続く位置につけていましたが、4周目を過ぎたあたりからフィーリングが悪くなってしまいました。そこで少し我慢して走って19周を終えたところでピットイン。交代したカツユキ(平中克幸選手)が見事な走りでロングラップを周回し、ポジションを上げてくれて、4位入賞をすることができました。最終戦はチャンピオンを狙って戦いたい」と語るビヨン・ビルドハイム選手。
「11号車とは違う種類のタイヤを選んだのですが、タイヤカスを拾ってしまうトラブルに悩まされてしまいました。以前にも何度かありましたが、久しぶりのトラブルというかハプニングでした。レース後半になって路面が安定してからは、植田選手が頑張っていましたが、次第にアンダーステアが厳しくなり、GT500クラスのマシンのアクシデントに巻き込まれる格好でスピンしてしまいました。何とか8位はキープしたかったのですが、残念な結果となってしまいました」と福田洋介エンジニア(10号車)はコメント。
「最終的には最悪な結果になりましたね。内容的にも、ボクらの10号車に関してはあまりいいところがなかったし、本当に悔しい1戦でした。だから最終戦では、いいところをみつけてもっと頑張れるようにしたいと思います」と田中哲也選手。
「天候のこともあってフリー走行からあまりいい流れではなかったのですが、決勝では哲也さんが前半を入賞圏内で走ってくれて、ピットイン後は8番手で、この順位をなんとか最後まで守りたかったのですが……。アンダーステアが厳しくて1回飛び出してしまい、最後は第2ヘアピンで後続車にインを突かれて接触してクラッシュ。とても悔しかったので、次回はもっと上の方でフィニッシュできるよう頑張ります」と植田正幸選手。
最終戦でのダンロップ勢の躍進なるか
平中克幸選手とビヨン・ビルドハイム選手の11号車、GAINER DIXCEL SLSは、第7戦オートポリスでは4位に入り、ドライバーポイントは計60点。トップとは10点差のランキング3位で最終戦を迎えることになった。チャンピオン獲得の可能性を残すドライバーは、トップと15点差の5位までに絞られた。平中克幸選手とビヨン・ビルドハイム選手は、3位以上(11点獲得)に入るのが最低条件。あとはライバルの順位次第で、ドライバータイトル獲得のチャンスはある。チームランキングはトップに12点差で2位と逆転が可能だ。
最終戦(11月2~3日)ツインリンクもてぎは、シリーズ最短の250kmレース。ノーウエイトハンデとなり、ポイントランキング上位のマシンの速さが復活する。悲願のタイトル獲得を目指すGAINERとダンロップのファイナルバトルは、見逃せない一戦となるだろう。