第7戦 10月1日(土)~10月2日(日)オートポリス(大分県)
予選13位から猛追を見せたEpson HSV-010
アクシデントに見舞われたが、8位で今季3度目の入賞!
今季3度目の入賞を果たしたEpson HSV-010
第6戦富士スピードウェイから3週間のインターバルを経て、10月1~2日、2011年スーパーGTシリーズ第7戦が開催された。全8戦で争われるシリーズはラスト2戦となり、タイトル争いも佳境を迎えた。1周4.674kmのオートポリスは、99年にオールスター戦が初開催され、03年からシリーズ戦に組み込まれた。だが昨年は未開催のため、今回は2年ぶりのスーパーGTとなった。このサーキットは高速&中低速コーナーとアップダウンが続くテクニカルコースで、アクシデントも多い。路面はバンピーで荒れているため、セッティングを合わせるのが難しく、タイヤに掛かる負担も大きい。ピットインは1回でいいのだが、タイヤ交換のために1回多くピットインする作戦をとるチームもあるほどだ。
開幕戦から第6戦まで獲得ポイント×2kgとして設定されたハンディウエイトが、今回は獲得ポイント×1kgと半減され、さらに最終戦ではノーウエイトハンデとなる。
GT500クラスは、ダンロップユーザーとして7年目を迎える「NAKAJIMA RACING」が、デビュー2年目となるHonda HSV-010 GT、「Epson HSV-010」で頂点を目指す。昨年、チャンピオンマシンとなったHSV-010 GTは、今季はサイドラジエター化でコーナリング性能を向上させるなど、さらなるポテンシャルアップが図られている。Epson HSV-010は、第4戦SUGOで今季初表彰台となる3位入賞を果たしたが、第5戦鈴鹿では、アクシデントに見舞われて13位、第6戦富士でも12位に終わっている。
GT300クラスは、昨年からダンロップユーザーとなった「JIMGAINER」(ジェイアイエムゲイナー)がFIA-GT耐久仕様(LM-GTE)であるニューマシン、フェラーリF458 GTCを新投入。「JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458」は、雨の戦いとなった初戦の富士、ドライとなった岡山、灼熱の第3戦セパンと3戦連続で2位表彰台を獲得し、第4戦SUGOでは7位、第5戦鈴鹿では4位となり、ポイントランキングのトップをキープして第6戦富士を迎えたが、ノーポイントに終わり、トップと8点差のランキング2位で第7戦オートポリスに臨む。
今回、ダンロップがサーキットに持ち込んだタイヤは、ドライは、GT500、GT300ともにミディアムとハードの2種類で、オートポリスに合わせた構造とコンパウンドの新スペックとなっている。ウエットは、GT500は、浅溝がベリーソフト、ソフト、ミディアムの3種類、深溝がソフトの1種類。GT300は、浅溝、深溝ともにハードとミディアムを用意した。
予選でタイムアタックした道上 龍選手
【GT500】
今季の「NAKAJIMA RACING」は、チーム加入2年目のベテラン道上 龍選手と、スーパーGTにステップアップして3シーズン目となる若手の中山友貴選手のコンビで戦う。
250kmレースとして争われる第7戦、2年ぶりの開催となるオートポリスだけに、HSV-010 GT勢にとっては、これが初レースだ。09年はレクサスSC430、08年はGT-R、07年はNSXが優勝を飾るなど、毎回、各マシンが実力伯仲の激しいバトルが展開されている。
今回のウエイトハンデは半減(前戦までの獲得ドライバーズポイント1点につき2kgから1kg換算に変更)されるため、前戦でノーポイントのため計12点のままであるEpson HSV-010のウエイトハンデは、前戦の半分となる12kg。だがライバル勢も同じく半減されるため、より厳しいレース展開となることが予想された。
予選日の土曜は、秋晴れとなり、ドライコンディションでスケジュールは進行。午前9時から1時間45分間の公式練習では、Epson HSV-010は、合計32周がタイム計測され、道上 龍選手がマークした1分42秒868で13番手となった。
今回の予選方式は、予選1回目のトップ10が予選2回目に進出して上位グリッドを争うスーパーラップを採用。Epson HSV-010は道上 龍選手がタイムアタックを担当したが、1分42秒543で13番手に終わり、今季3度目となるスーパーラップ進出を逃した。
「公式練習からタイムが伸びず、スーパーラップに進出はできませんでしたが、手応えは悪くはないので、決勝では上位を目指して頑張ります」と道上 龍選手。
激しいバトルを展開したEpson HSV-010
決勝日の日曜は、前日とは変わって曇りとなり、早朝から気温15℃と肌寒いコンディションとなった。午前9時20分から行われたフリー走行では、「気温が下がったためか、ガソリン満タンの走行でもマシンフィーリングは良好でした」という中山友貴選手が3番手となる好タイムをマークし、決勝での果敢な追い上げが期待された。
雨が降ることはなく、曇天で迎えた54周の決勝レース。午後2時に1周のローリングラップが開始され、1周後にレースのスタートが切られた。スタートドライバーとなった中山友貴選手は、予選の13番手をキープしながら序盤を走行し、6周目には12番手に浮上。その後も団子状態のデッドヒートが続いたが、中山友貴選手は、果敢に攻めた。他車のピットインなどもあって、24周目には5番手までポジションアップしたが、その直後に接触で左フロント部を小破した。
25周目にピットインして道上 龍選手に交代したが、この時シートベルトの装着に手間取ってしまいタイムロス。さらにコースインしてからはエンジンのリミッターの誤作動からか、エンジンが吹けなくなるトラブルも発生して、さらにタイムロスとなり、27周目には13番手まで後退。だが。その後はマシンも復調し、タイヤもコンディションにマッチして好走を続けて、道上 龍選手はグングンと順位をアップしていった。結局、入賞圏内の8番手まで浮上して、レースはチェッカーとなった。
ピットインするEpson HSV-010
「レースペースは、けっして悪くはなかったが、予選で一発のタイムを出せていないのが引き続きの課題です。スタートポジションが悪かったことが、いろいろな意味でつらかったかな。タイヤはコンディションにピッタリと合ってパフォーマンスを発揮できました。最終戦は、今回の結果を踏まえて、全力で頑張って前を目指します」と中嶋 悟総監督。
「ここは抜きどころが少なく、タイヤに厳しいコースなので、今回、レースペースがよかっただけに、予選が重要だというのを改めて思い知らされたレースでした。結果は8位、もっと予選で前に行かないと勝負にならない。残り1戦、1年間やってきたことを、いい部分で発揮できたらと思います。まだまだやらなければならないことがあります。最終戦のガチンコ勝負で、最後を決めたいですね」と決意を語る道上 龍選手。
「スタートからペースが遅い集団の中で走ることになってしまい、ボク自身が前に詰まっているところを後ろから無理矢理抜かれたりして、集団に埋もれるような形になりましたが、それでも前との差を詰めることができました。自分としても反省するところはありましたが、これをいい経験として次に生かしたい。まだ結果として残せているのがSUGOだけなので、くやしいですね。最終戦では、ハンデウエイトは全員がゼロになるので、厳しい戦いになるとは思いますが、チームとして来年に繋がる形で終わらせたいですし、自分自身が進化しているところを結果でお見せしたいので頑張ります」と中山友貴選手。
今季最後を飾るEpson HSV-010の雄姿に期待
第7戦から2週間のインターバルを経て迎える最終戦(10月15~16日)の舞台は、ツインリンクもてぎ。ロードコースは1周4.801km、ストップ&ゴーが続くテクニカルサーキットでパッシングポイントは少ないだけに、予選での順位がより重要になるコースだ。
Epson HSV-010は、第4戦SUGOで3位表彰台を獲得し、今回は今季3度目の入賞を果たした。レースでも光る速さを見せているだけに、ノーウエイトハンデとなる最終戦でどんな走りを披露してくれるのか期待したい。すでにタイトル争いは2台に絞られているために、今季最後の勝利を目指す各車のデットヒートが展開されるのは必至。全8戦の最後を締めくくる見逃せない1戦となるだろう。