第6戦 9月10日(土)~9月11日(日) 富士スピードウェイ(静岡県)
Epson HSV-010、今季2度目のスーパーラップ進出
決勝では思うようにペースが伸びず、12位でゴール!

土曜朝、公式練習走行中のEpson HSV-010

 9月10日~9月11日、2011年スーパーGTシリーズ第6戦「FUJI GT 250km RACE」が開催された。全8戦で争われるシリーズはラスト3戦となり、実力伯仲のバトルはさらにヒートアップ。昨年の9月に開催予定だった第7戦富士は、直前に直撃した台風の影響で、サーキットとその周辺が大きな被害を受けて、レースは開催中止となっている。また前週のフォーミュラ・ニッポン第5戦鈴鹿も台風の影響で中止となったが、今回のスーパーGTは、決勝日に雨の予報はあったが、予定どおりにレースは開催された。
 初戦に続く今季2度目の開催となる富士スピードウェイは、全長4563m、約1.5kmの長いメインストレートを持ち、コース前半の高速セクションと後半のテクニカルセクションが組み合わされた難しいコースだ。
 GT500クラスは、ダンロップユーザーとして7年目を迎える「NAKAJIMA RACING」が、デビュー2年目となるHonda HSV-010 GT、「Epson HSV-010」で頂点を目指す。昨年、チャンピオンマシンとなったHSV-010 GTは、今季はサイドラジエター化でコーナリング性能を向上させるなど、さらなるポテンシャルアップが図られている。Epson HSV-010は、第4戦SUGOで今季初表彰台となる3位入賞を果たしたが、第5戦鈴鹿では、アクシデントに見舞われて13位に終わっている。
 GT300クラスは、昨年からダンロップユーザーとなった「JIMGAINER」(ジェイアイエムゲイナー)がFIA-GT耐久仕様(LM-GTE)であるニューマシン、フェラーリF458 GTCを新投入。「JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458」は、雨の戦いとなった初戦の富士、ドライコンディションとなった岡山、灼熱の第3戦セパンと3戦連続で2位表彰台を獲得し、第4戦SUGOでは7位、第5戦鈴鹿では4位に入り、ポイントランキングのトップをキープして、第6戦富士を迎えた。
 今回、ダンロップがサーキットに持ち込んだタイヤは、GT500のドライ用は8月の富士テストで好結果だった新しい構造とコンパウンドを採用したハードとミディアムの2種類。GT300のドライ用はミディアム、ハード、ベリーハードの3種類、性能調整とウエイトハンデで増えた車重に対応した新スペックとなっている。ウエットはGT500とGT300ともに浅溝、深溝の2種類で、それぞれハードとミディアムを用意した。

決勝朝のフリー走行での中山友貴選手

【GT500】
 今季の「NAKAJIMA RACING」は、チーム加入2年目のベテラン道上 龍選手と、スーパーGTにステップアップして3シーズン目となる若手の中山友貴選手のコンビで戦う。
 富士スピードウェイを舞台とした第6戦は250kmレースとして開催。今季の初戦として開催されたレースでは日産GT-Rが優勝、レクサスSC430が2位から6位までを占め、HSV-010 GT勢の最上位は8位と、HSV-010 GT勢にとっては厳しいサーキットとなっている。
 前戦までの成績 (第6戦富士までは前戦までの獲得ドライバーズポイント1点を2kgに換算) によるEpson HSV-010のウエイトハンデは、前戦と同じ24kgとなる。
予選日の土曜は、快晴となり、ドライコンディションでスケジュールは進行した。午前9時15分から1時間45分間の公式練習では、Epson HSV-010は、合計36周がタイム計測されて、道上 龍選手がマークしたベストタイムの1分36秒205で14番手となった。
 今回の予選方式はスーパーラップが採用された。予選1回目のトップ10が予選2回目に進出して上位グリッドを争う。ここでEpson HSV-010をドライブする道上 龍選手が1分35秒514で10番手となり、第4戦SUGOに次ぐ今季2度目のスーパーラップ進出を果たした。
 午後3時25分に始まった予選2回目。Epson HSV-010は道上 龍選手がタイムアタックを担当し、トップアタッカーとしてコースインしてトータルで9番手となる1分35秒568をマーク。富士をホームコースとするレクサスSC430勢が予選のトップ5を独占する圧倒的な強さを発揮し、HSV-010 GT勢の予選最上位は6位という結果だった。
「練習走行でなんとかセッティングが決まって、ドライでもスーパーラップに残れたのはよかったですね。決勝でも上位を目指して頑張ります」と道上 龍選手。

レース序盤、9番手を走行するEpson HSV-010

 決勝日の日曜、早朝には太陽が顔を見せていたが、午前8時20分から行われたフリー走行の直前になって急に雨が降り出し、セッションはウエットコンディションでスタート。ここでトップタイムをマークしたのは、道上 龍選手がドライブするEpson HSV-010だった。今季、浅溝タイヤでバツグンの速さを見せるダンロップタイヤのポテンシャルを存分に発揮した。だが午後の決勝レースまでには天候の回復が予想されていた。
 雨が上がり完全なドライコンディションで迎えた決勝レース。午後2時にローリングラップが開始された。その1周後に55周で争われる250kmレースのスタートが切られた。
 道上 龍選手は、4周目までは、予選順位の9番手をキープ。だが予想外に路面コンディションとタイヤ(土曜のスーパーラップで使用したセット)のマッチングが悪く、ペースが上がらない。5周目には13番手、6周目には15番手まで順位を落としてしまう。それでも果敢に攻めた道上 龍選手は14周目には14番手に浮上した。
 各マシンのルーティンのピットインが続いたが、Epson HSV-010はピットインを引っ張り、2番手走行中の29周目にピットイン。14番手でコースに復帰した中山友貴選手は、その後も果敢に攻めた。途中、ネッツコーナーでGT300クラス同士のクラッシュに前方をふさがれるという危ない場面もあったが、うまくクリア。終盤には19号車(SC430)と激しい13番手争いを展開。47周目にはバトルを制して13番手に浮上。上位マシンの脱落もあり、49周目に12番手となり、そのままチェッカーを受けた。

厳しいレースとなったEpson HSV-010

「スーパーラップに残れたのはよかったですが、レースのペースが悪かったのは課題ですね。HSV-010にとってオートポリスは初めてなので、どう出るか。SUGOと似たようなところもあるので、とにかく頑張りたいです。もちろん狙うは表彰台です」と中嶋 悟総監督。
「マシンは完全なフィーリングではなかったのですが、レースでは、もっと行けると思っていました。最初の2~3周は踏ん張ったのですが、後はペースが上がりませんでした。次戦まで、走る機会はありませんが、次に向けて頑張るしかないですね」と道上 龍選手。
「決勝は自信があったのですが、実際は厳しかったですね。最後の気温が低くなってからはフィーリングがよくなってきて、攻めることが出来ました。この結果を前向きにとらえて、次のレースにも全力で臨みます」と決意を語る中山友貴選手。

グランドスタンド裏のダンロップ・ブースで行われたトークイベント

 第4戦SUGOでは3位表彰台を獲得するなど、ポテンシャルアップを続けるEpson HSV-010。第7戦(10月1~2日)の舞台は、09年以来の開催となるオートポリス(大分県)。
 ここは高速&中低速コーナーとアップダウンが続くテクニカルコース。HSV-010勢にとっては初走行のコースであり、事前テストも行われていないだけに、予想外のドラマが生まれる可能性も高い見逃せないレースとなるだろう。Epson HSV-010と2人のドライバー、そしてダンロップタイヤのさらなる活躍を期待したい。





Global Race Category
Domestic Race Category
Motercycle
ニュルブルクリンク2014