第5戦 8月18日(土)~8月19日(日) 鈴鹿サーキット(三重県)
予選13位から追走したEpson HSV-010
アクシデントで無念のリタイア!
Epson HSV-010
8月18日~8月19日、2012年スーパーGTシリーズ第5戦「41th INTERNATIONAL Pokka 1000km」が開催された。全8戦で争われるシリーズは、いよいよ後半戦に突入。タイトル争いも熾烈さを増している。このレースは、今年で41回目を迎える伝統の耐久レースであり、06年からスーパーGTシリーズの一戦に組み込まれた。08年までは伝統の1000kmレースとして開催されていたが、09年と10年は700kmに短縮、11年は500kmとなったが、今年は4年ぶりに1000kmレースとして開催されることになった。
GT500クラスは、ダンロップユーザーとして8年目を迎えた「NAKAJIMA RACING」が、デビュー3年目となるホンダのHSV-010 GT、「Epson HSV-010」で参戦する。
GT300クラスは、今季、「JIMGAINER」(ジェイアイエムゲイナー)からチーム名を変更した「GAINER」(ゲイナー)が、3年目のダンロップユーザーとして戦う。昨年は、FIA GT耐久仕様(LM-GTE)のフェラーリF458 GTCを投入して、シリーズランキング2位を獲得。今季は、最新モデルのAudi R8 LMS Ultraにマシンをスイッチして、待望のタイトル獲得をねらう。
GT500クラスとGT300クラスは、ドライ用はミディアムとハードの2種類。ウエット用は浅溝、深溝の2種類で、それぞれミディアムとハードを用意。7月の鈴鹿、8月の富士の合同テストは、ともにウエットとなってしまい、ドライ用タイヤの十分なデータを得ることはできなかった。各チームとも条件は同じとはいえ、厳しい戦いとなることが予想された。
道上 龍選手と中山友貴選手
【GT500】
「NAKAJIMA RACING」は、チーム加入3年目のベテラン道上 龍選手と、4年目となる中山友貴選手が、今季もGT500クラスのダンロップユーザーとして戦う。2010年に初登場のホンダHSV-010 GTは、デビューイヤーにチャンピオンを獲得。昨年はラジエターの位置をフロントから前輪の後方に移し、旋回性能を進化させた。今季は、ボディやパーツの空力性能をさらに進化させて、ダウンフォースを保ちながらドラッグ (空気抵抗)を軽減、トップスピードを高める改良が加えられている。
1周5.807km、テクニカルコースである鈴鹿サーキットを舞台にした1000kmレース。昨年は、雨のレースとなり、Epson HSV-010は、予選14位から5番手まで果敢な追い上げを見せたところでアクシデントのために後退して、13位完走という結果だった
今年は予選日の朝から好天に恵まれた。レースウィークの走り始めとなる公式練習は、9時20 分から11時20分までの2時間。Epson HSV-010をドライブする道上 龍選手と中山友貴選手は、予選へ向けてのセッティングを進めながらの走行を続けながら、13番手のベストタイムでこのセッションを終えた。
今回の予選はノックアウト方式が採用。予選1回目は上位11台、予選2回目は上位7台が残り、予選3回目でトップ7のグリッドが決まる。Epson HSV-010は、道上 龍選手が予選1回目のアタックを担当。公式練習でのセッティングも順調に進み、予選1回目突破の手応えを感じていたが、運悪く赤旗が出てしまい、アタックは中断。再開されたセッションでは、タイムを伸ばすことができず、予選13位に終わり、その順位でグリッドが決定。
「アタックラップ中に赤旗が出てしまい、悔しい結果に終わりました。決勝を見据えたセッティングをしているので、レースでは追い上げて上位を目指します」と道上 龍選手。
Epson HSV-010
決勝日は、前日とは少し違い、深夜に降った雨は、朝のフリー走行が始まる8時後から再び降り出し、序盤はウエット、終盤にはセミウエットに変わるというコンディションだった。ここでは、ウエットを得意とするダンロップの真価を発揮して、道上 龍選手が2分3秒643をマークして5番手につけた。
173周、1000kmで行われる決勝レースは、道上 龍選手がスタートドライバーを担当。12時30分にフォーメーションラップがスタートし、トップがメインストレートに戻ってきたところでレースはスタート。Epson HSV-010は、1周目に12番手、5周目に11番手、HSV-010の8号車とバトルをしながら、9~10周目には10番手まで浮上したが、24周目に11番手でルーティンのピットイン。タイヤ交換と給油をして中山友貴選手にチェンジ、再び追撃態勢に入った。
ハイペースで順調に前車とのギャップを詰めていた中山友貴選手だったが、13番手走行中の34周目、2コーナー立ち上がりでスピンしてイン側のウォールにインからクラッシュ。リヤに大きなダメージを受けたために、ピットまで戻ったが無念のリタイアとなった。
Epson HSV-010
「万全の準備をして臨んだのですが、残念な結果となってしまいました。次の富士も厳しい戦いとなるでしょうが、全力で頑張るのみです。応援よろしくお願いします」と中嶋 悟総監督。
「土曜の走行の結果を踏まえてセッティング変更した部分を朝のフリー走行で試したかったのですが、ウエットになってしまい、レース前の8分間の走行でぶつけ本番になりましたが、それが良かったので、決勝はそのまま挑みました。結果的にバランスがよくなっていたので、安定して最後まで走ることができました。24 周目に中山選手へ交代しましたが、追い上げている最中にクラッシュをしてしまい、残念ながらリタイアとなってしまいました。これだけいろいろなトラブルが起こったレースなので、最後まで走り切れていれば、どんな結果になっていたのかなと思うと悔しい気持ちもあります。次の富士は、どこまで行けるかわかりませんが、頑張って結果を残したいと思います」と道上 龍選手は決意を語った。
「レースは、道上選手のファーストスティントは、予選のタイムアタックに使ったタイヤということで、ペースは上がらなかったのですが、自分に代わってからは、最初はトラフィックに引っかかっていたのですが、途中からは前車より1秒以上も速いペースで、前を追い上げて、いいペースで走れていました。2コーナーでちょっとラインがワイドになってしまって、そのままコントロールを失って回ってしまい、リヤから内側の壁に当たってしまいました。現状ではベストな状態のマシンだったので、とても残念だし、応援していただいているファンのみなさんに対して、申し訳ない気持ちでいっぱいです。今回得たことを次の富士に生かしたいですね。富士は、ホンダは得意ではないと言われていますが、富士は自分たちの力でポールを取っているし、少しずつよくなってきているので、表彰台を目指して頑張ります」と中山友貴選手。
次の富士での巻き返しに期待したい
今回もアクシデントのために、いい結果を残すことはできなかったEpson HSV-010だが、着実にポテンシャルアップを果たしている。
第6戦(9月8~9日)は高速セクションとテクニカルセクションが組み合わされた富士スピードウェイが舞台となる。8月に富士で合同テストは行われているが雨だった。毎回、スリリングな好バトルが展開されるスーパーGT。次戦ではEpson HSV-010、そして道上 龍選手と中山友貴選手が、どんなパフォーマンスを見せてくれるのか、目が離せない。