第3戦 5月1日(土)~2日(日) 富士スピードウェイ
予選11位のEpson HSV-010は、9位でフィニッシュ!
DUNLOP SARD SC430は、マシントラブルでリタイア
予選では、09年から参戦する中山友貴選手が、初めてタイムアタックを経験した
5月1~2日、2010年スーパーGTシリーズ第3戦が開催された。全長4563mの富士スピードウェイは、約1.5kmの長いメインストレートを持つ。コース前半は高速セクションが続き、後半のダンロップコーナーからはテクニカルセクションとなる。トヨタのホームコースでもあり、SC430が強さを発揮するコースでもある。マシン、タイヤ、路面のマッチングがより重要となり、アクシデントなどで波乱の展開となることも多い。
5月の大型連休に開催される富士スピードウェイのスーパーGTレースは、500kmで争われていたが、昨年から距離が短縮され、2回以上のピットインが義務化された400kmレースとして開催されている。
今回、ダンロップが用意したタイヤは、GT500クラスは、ドライ用はソフト、ミディアム、ハードの3種類。GT300クラスはソフトとミディアムの2種類。両クラスともにソフトをチョイスして、予選に臨んだ。
予選と決勝日の午前には、雪化粧した富士山がクッキリと姿を見せた
【GT500】
今季、マシンを昨年までのNSXから、レース専用に新開発された「HSV-010 GT」に変更した「NAKAJIMA RACING」。新加入のベテラン道上 龍選手と、スーパーGT参戦2年目となる若手の中山友貴選手という新ラインアップで戦っている。
そして「LEXUS TEAM SARD」は、ベテランのアンドレ・クート選手と、チーム加入2年目の平手晃平選手で、「DENSO DUNLOP SARD SC430」をドライブする。
今回、開幕戦の成績によって(第6戦までは、前戦までに獲得したドライバーズポイント1点を2kgに換算)、Epson HSV-010は2kg、DENSO DUNLOP SARD SC430は14kgのハンデウエイトを搭載する。
午後1時50分から行われた予選1回目は、快晴となり、気温21度、路面温度40度という好コンディションとなった。各クラストップ8台までが、1台ずつタイムアタックを行って、決勝グリッドを決めるスーパーラップに進出できる。
Epson HSV-010は中山友貴選手、 DENSO DUNLOP SARD SC430はアンドレ・クート選手がタイムアタックを担当したが、それぞれ11位と10位。セッティング不足もあってタイムが伸びずに、スーパーラップ進出を逃した。
決勝スタート前、グリッド上で話す中山友貴選手(左)と道上 龍選手
決勝日も予選と同様に快晴となり、5万3100人がサーキットに訪れた。午後2時にローリングラップがスタート。今回はドライバー交代をするピットインが2回義務となるため、ピット戦略もレースの展開を大きく左右するポイントとなる。予選11位の中山友貴/Epson HSV-010は、1周目に10番手に浮上したが、5周目には2台にパスされて12番手に後退。9周終了時にEpson HSV-010が、作戦どおりとなる早めのピットインを行い、道上 龍選手へのドライバー交換のみで、23秒という短いピット作業で素早くコースへ復帰。
Epson HSV-010Hは、2回目のピットイン時には、タイヤ交換と給油を行い、中山友貴選手が最後のスティントを担当。序盤にパスされた100号車のHSV-010パスして、9位でチェッカーを受けた。
予選日は2万6500人、決勝日は5万3100人の大観衆がサーキットを訪れた
「レースでは、現状で我々の考えられる限りの作戦を練ってみたのですが、結果は9位という残念なポジションでした。セパンまでにはテストもあるので、万全の態勢を整えてレースに臨みたいですね」と語る中嶋 悟総監督。
「富士ではHSV勢は、一度も走ることなくレースウィークを迎えたので、トヨタ勢に負けている部分もありました。いい結果とは言えませんが、ボクの中では着実に走りきれたことで収穫があったレースでした。HSVはタイヤにやさしいクルマなので、これからのテストでタイヤとマシンを煮詰めて、マレーシアでは結果を出したいです」と道上 龍選手。
「今回は初めてボクが予選を走らせてもらいました。自分の中では大きなミスなく攻められて、納得できるラップでしたが、それがスーパーラップに届かないタイムだったのは、くやしいです。次のセパンまでにあるタイヤテストでは、しっかりエンジニアと話をして、チーム一丸となって頑張ります」と中山友貴選手。
次戦は灼熱の気候とスコールが展開を左右するマレーシア戦となる
DENSO DUNLOP SARD SC430は、予選10位のアンドレ・クート/DENSO DUNLOP SARD SC430が、スタートで8番手に浮上しながらバトルを展開。ソフトタイヤでスタートして、序盤に順位を上げる作戦だったが、それ以上のペースアップは果たせず、8番手キープで1回目のピットインをしてタイヤ交換と給油を行った。平手晃平選手に交代して12番手でコースに復帰、再び追い上げる態勢となった。だが60周前後を予定していた2回目のピットインまで半分を残した44周目のダンロップコーナーで、DENSO DUNLOP SARD SC430に駆動系のトラブルが発生。平手晃平選手はエスケープゾーンにマシンを止めた。戦列に復帰することはできずに、そのままリタイアとなってしまった。
「今回は、とてもハードなレースウィークとなり、いいレースをすることができなかった。路面コンディションにマシンとタイヤを合わせ切れずに、ペースダウンしてドライブするのが運転するのが難しかった。次のレースでは、さらにコンセントレーションを高めて、必ずポイントをゲットしたい」とアンドレ・クート選手。
「富士はSC430とダンロップが得意とするコースでしたが、前回のレースから富士に来るまでに雨でしかテストが出来ず、準備不足になったのが敗因です。レースは、いつものように悪くはなかったのですが、駆動系トラブルで止ってしまいました。次のセパンは、後半戦につなげられるレースにしたいと思います」と平手晃平選手は決意を語った。
第4戦(6月19~20日)の舞台となるマレーシア・セパンサーキットはシリーズ唯一の海外戦となる。中高速コーナーとストレートが組み合わされたテクニカルコース。赤道に近く、高温多湿な気候で、ドライバー、マシン、タイヤにとって厳しい戦いを強いられる。
前半戦を締めくくる山場となるだけに、ダンロップ勢のさらなる飛躍に注目したい。