第2戦 4月27日(土)~28日(日) 富士スピードウェイ
予選から厳しい戦いとなったEpson HSV-010
決勝では健闘を見せるが13位でフィニッシュ!
決勝13位完走となったEpson HSV-010
4月28日~4月29日、2013年スーパーGTシリーズ第2戦「FUJI GT 500km RACE」が開催された。開幕戦から2週間のインターバルで迎えた第2戦は、開幕戦より200km長い500kmレース。このレースは、5月の大型連休に開催されるスーパーGTレースとあって、より多くの観客がサーキットに訪れる大会でもある。
約1.5kmの長いメインストレートを持つ全長4,563mの富士スピードウェイ。コース前半は高速セクション、後半のダンロップコーナーからはテクニカルセクションが続くという攻めがいのあるコース。コーナーリングスピードはもちろんだが、コースの特徴でもあるストレートでのトップスピードの伸びが勝負の分かれ目ともなる。
今季のダンロップは、GT500クラスで1チーム1台、GT300クラスでは1チーム2台のマシンにタイヤを供給する。GT500クラスは、ダンロップユーザーとして9年目となる「NAKAJIMA RACING」が、デビュー4年目のホンダのHSV-010 GT、「Epson HSV-010」で待望の勝利を目指す。2010年のデビューイヤーにチャンピオンマシンとなったHSV-010 GTも今季がラストイヤーとなる。来季はマシンレギュレーションの変更があるために、GT500クラスの現行マシンは、そのままでは参戦できない。そこで来季のホンダ勢は、新型NSXの投入を予定している。
GT300クラスは、4年目のダンロップユーザーとして戦う「GAINER」(ゲイナー)。今季は、昨年新投入したFIA GT3仕様の「Audi R8 LMS Ultra」から「Mercedes Benz SLS AMG GT3」にマシンチェンジ。さらに新たに2台体制となり、悲願のタイトル獲得を目指す。
今回用意したタイヤは、GT500クラスとGT300クラスともに、ドライ用はミディアムとハードの2種類。ウエット用は浅溝と深溝の2種類で、それぞれソフトとミディアム。
第1戦岡山とは、レース距離、気温、コースの特性も大きく異なる。公式合同テストや過去のデータを踏まえて、今回のレース状況を想定したタイヤに仕上げている。
予選Q1を走った中嶋大祐選手と中嶋悟 総監督
【GT500】
「NAKAJIMA RACING」は、今季、中山友貴選手に代わり、昨年GT300クラスでCR-Zをドライブした中嶋大祐選手が新加入。父・中嶋 悟総監督のチームで、ベテラン道上 龍選手と新たなペアを組む。中嶋大祐選手は、「NAKAJIMA RACING」からスーパーフォーミュラ(フォーミュラ・ニッポン)でも活躍する実力派だ。
2010年にデビューしたホンダHSV-010 GTは、デビューイヤーにチャンピオンを獲得。その後、毎年進化を重ねてきた。今年は、2011年からフロントから前輪の後方に移したラジエターの位置を再びフロントに配置するなど、ラストイヤーだが、最後まで全力でモディファイを重ね、さらなるポテンシャルアップを図っている。
「NAKAJIMA RACING」は、昨年は、第2戦富士でポールポジション獲得、第7戦オートポリスでは2位、最終戦(第8戦)もてぎでも3位と、ウエット絡みの難しいコンディションでは、抜群のパフォーマンスを見せ、ウエットに強いダンロップを印象づけている。
予選は、昨年までは1台ずつがタイムアタックするスーパーラップ方式と、3回のセッションでタイムアタックできる台数を絞りながら決勝グリッドを決めるノックアウト方式の2種類があった。今季の予選はすべて2回のセッションによるノックアウト方式で行われる。
第2戦の舞台である富士スピードウェイは、トヨタのホームコースでもあり、レクサスSC430が強さを発揮するサーキットである。5月の大型連休の前半、快晴となり日曜の予選日から3万1,600人の観客が訪れた。月曜の決勝までドライでのレースウィークが予想された。
予選日の公式練習は、2時間の予定で午前9時にスタート。マシンとタイヤのチェックとセッティングをしながら、道上 龍選手は18周、中嶋大祐選手は29周のタイム計測ラップを走行。道上 龍選手の1分33秒862がベストタイムとなり、15番手でセッションを終えた。HSV-010 GT勢のベストリザルトは、8番手という予選結果でもあった。
15分間で争われるノックアウト方式の予選1回目のQ1は、午後2時15分にスタート。中嶋大祐選手がタイムアタックを担当。途中、赤旗中断もあったが、タイムが伸びずに14番手となり、トップ8台が進出する12分間Q2への進出は果たせなかった。
「今回、想定していたコンディションとはならずに、タイヤとのマッチングが悪く、タイムは出なかったのですが、ミスなくアタックはできました。厳しい予選となりましたが、明日は長いレースなので全力で頑張りたいと思います」と中嶋大祐選手は語った。
ピットインするEpson HSV-010
前日に続いて好天に恵まれた決勝当日朝、30分間のフリー走行は、午前8時30分にスタート。決勝に向けて最後のチェックを行う重要なセッションだ。Epson HSV-010は、道上 龍選手は10周、中嶋大祐選手は7周のタイム計測をして15番手で終了した。
午後2時に、500km、110周で争われる決勝レースのフォーメーションラップがスタート。スタートドライバーは中嶋大祐選手が担当。1周目は予選順位の14番手をキープしてグランドスタンド前を通過。19周目に13番手、26周目には12番手とポジションをアップ。33 周目のピットインで道上 龍選手にチェンジ、78周目には2度目のピットインで再び中嶋大祐選手に代わってコースイン。決勝でも路面とタイヤとのマッチングが悪く、厳しいレースとなったが、最後のセッションでも中嶋大祐選手は果敢に攻めながらの走行を続けた。好タイムをマークするも、中嶋大祐選手の追い越しはならず、13位でフィニッシュ。やはり今回はHSV-010 GT勢にとっては成績が伸びず、最上位は7位という結果となった。
厳しい戦いとなったEpson HSV-010
「ドライバーは頑張ってくれましたが、いい結果を残すことができませんでした。次戦マレーシア・セパンに向けて、全力で取り組んで行きたいと思います」と中嶋 悟総監督。
「今回、気温や路面温度と用意したタイヤのレンジが合っていなかったために、決勝は我慢のレースになってしまいました。次のセパンまでの間には、テストもあるので、いいタイヤを持ち込んで、好結果を残したいと思います」と道上 龍選手は決意を語った。
「今回、想定していたコンディションにならず、ボクらの望んでいたグリップが得られなくて、厳しい週末でした。レースでは、最後のスティントで違うタイヤを履いたのですが、それがマッチして、いい部分も見えました。セパンは、年末と年明けに2回テストをしています。セパンはかなり暑いコンディションなので、それに合わせられるかが重要です。まだまだレベルアップする必要があるので、さらに頑張りたいです」と中嶋大祐選手。
次戦、マレーシアでの走りに注目したい
今回の富士スピードウェイは、13位フィニッシュという厳しい結果となったEpson HSV-010。第3戦(6月15~16日)は、シリーズ唯一の海外戦、マレーシア・セパンサーキット。ストレートと中高速コーナーが組み合わされたテクニカルコース。赤道に近く、高温多湿な気候で、ドライバー、マシン、タイヤにとって過酷なコンディションとなる。
セパンは、HSV-010 GT にとっても、得意なサーキットであるだけに、Epson HSV-010のさらなる飛躍に期待したい。