D1選手・日比野哲也独占インタビュー

2004年7月25日。福島県エビスサーキットに
疾風のごとく現れた男がいた。
その男は前年ランキングで50位にも入らない無名ドライバー。
エビスサーキットの最終コーナーをジャンピングドリフトしながら全開で飛び出してくる走りをし、
数々の強豪を倒し決勝戦まで勝ちあがってきた。
その走りは観ているもの全てを未知の世界へと誘った。
そのドライバーは日比野哲也。
現在ではそんな自分のスタイルでD1でも上位入賞を果たす、
その人気は急上昇。
そんな日比野哲也が自分を語る「日比野STYLE」。
第1回:DRIFTING ●第2回:COMPETITION ●第3回:AE86




COMPETITION
初めて大会に出たのはいつ頃ですか?
「23の時ですかね。その時の結果はメタメタでした。まぁ一番に決まっているだろうって感じで走っているし、周りの連中はうまいって言うしそこそこの自信はあった。でサーキットに行って大会出てコテンパンにやられたわけで・・・。世界は広いなって感じたね。」
 
今ライバルはいますか?
「特にいないですよ。自分は自分でまだ完璧ではないので、自分が完璧になるのがまず大事じゃないかって思います。
ドリフトD1でもグリップでもそうなんですが、完璧に走れたという事は一回もないんですよ。
うまくこのコーナーは走れた。けどその次のヘアピンで失敗した。だからタイムが出ない。本当に自分で納得できた走りって一回も出来たことがないんです。この車でこのタイムがでればよいという事もあるんだけど、自分では全然納得できない走りなんで、まだまだかな?って感じがあります。」
 
では、D1などで凄いと感じるドライバーっていますか?
「うーん。追走で単走の走りをする人ってあまりいないですよね。何でかっていうと失敗をしたくないというのがあると思うんですよ。俺はいつでも単走の走りをしたいと思う。
例えば、前で遅く走る人がいればその分距離を置いていくとか、相手に合わせて走るのが好きじゃないんです。格好悪いから。追走の後ろで前に合わせるのは小手先でもできる気がします。だから単走で100点取れるんだったら、追走でも100点を取れるような走り方でしたいと常に思っています。そう考えると俺の走りの理想をやる人は今の所いないと思います。
尊敬するドライバーはいますけど。」
 
という事は追走の練習などはしない?
「あまりしないですね。計算はしますよ。この人にはこういう癖があるからここで多分詰まって俺がミスするかも知れないという計算はします。大体それで自分の計算と違う所で「おやっ?」ってなって失敗して負ける事が多いけど。鈴鹿の時もそうだけどミスった方が負けだというのが最近D1の追走では普通ですよね。結局俺は今までもそうだけど、オタクなんで追走のビデオとか何十回と見るんですよ。それでこの勝負なんで負けたんだって考えるんです。8割は自分のミスで負けてる。だから追走の練習よりもビデオで復習しているって感じです。」
 
では追走時の攻略方はどうしている?
「俺とこの人があたったら、俺が前の時に6:4で、後ろになって5:5で勝ちだなっていう計算で走るんです。勝ち負けを自分の中で計算、シュミレーションするって感じかな。だからトーナメント表みた時点でこれは勝てる、負けるなどがある程度読めてくる。で、今回だったら行けるというのもあるんですよ。鈴鹿なんてぱっと見て行けるかもって正直思ったところもありましたよ。それがやはりうまくはまって決勝までいけたんです。」
 
現在のチーム体制は?
「渡辺監督とメカニック2人、マネジャーと俺の5人。どこまで狙うかによってかわるでしょう。予選通過で良い、と思ったらメカニックとドライバーでもありですよ。やる事がわかっててそれを実行する人間がいて、さらに、やれっていわれた事ができる人間がいれば2人でもいい。ただ上位を狙おうと思ったら 何があっても対応できる人間が最低5人くらいは必要だと思う。」
今年の目標は?
「一回は優勝する。
いやしたいですね。まだチームの体制を作ってる途中だし、自分もできている感じはしないから・・・。但し、勝ちの法則は自分で作らなきゃダメって思いもある。だからエビスは嫌いなコースではないし、腕のコースなので・・・むしろ好きだしマシンのパワー差もつきづらいからね。ここがチャンスかもしれない。」
第1回:DRIFTING ●第2回:COMPETITION ●第3回:AE86