D1選手・日比野哲也独占インタビュー

2004年7月25日。福島県エビスサーキットに
疾風のごとく現れた男がいた。
その男は前年ランキングで50位にも入らない無名ドライバー。
エビスサーキットの最終コーナーをジャンピングドリフトしながら全開で飛び出してくる走りをし、
数々の強豪を倒し決勝戦まで勝ちあがってきた。
その走りは観ているもの全てを未知の世界へと誘った。
そのドライバーは日比野哲也。
現在ではそんな自分のスタイルでD1でも上位入賞を果たす、
その人気は急上昇。
そんな日比野哲也が自分を語る「日比野STYLE」。
●第1回:DRIFTING ●第2回:COMPETITION ●第3回:AE86




日比野さんは今年でおいくつになられますか?
「昭和49年4月10日生まれだから、33。」
 
意外と若いですね。
「どうなんですかね(笑)もうおじさんですよ。」
 
いやまだ若いと思いますよ。
「もうピークは過ぎたって感じですよ。」
 
でも日比野選手はD1シード選手の中でみても年齢的には若い方ですよね?
「けどね。D1の若いやつを見ていると、今から教えたらもっと凄い事になるな~って俺的には思いますよ。」
 
具体的に教えたい選手がいるのですか?
「粋のいいのはねぇ、探せばいるんですよ。ただ、どうしたらいいのかわからないんですよね、実際の話。まったく知らない奴らを教育するっていうのか今まで俺がやってきたのを圧縮してそいつらに教えてあげれば、もっと凄い事ができるんじゃないかと思っているんだよね。」
 
日比野選手はやはり兄貴的性格ですよね。
「俺が出来ないからこそそいつらに託す、というかやってもらおうかなって思っているだけかも知れない・・・。」








































DRIFTING
ドリフトをはじめられたのはいくつの時ですか?
「21の時です。」
 
ドリフトデビューは意外と遅い。
「そうですね。もともと16でバイクの免許をとって原付レースをやってたんで。」
 
それがレースの原点。
「高校生なのでお金も無いし、バイトで新聞配達しても月に35,000円位しか稼げない。そのお金を貯めてバイクを買って、18で車の免許を取って、実家のガラス屋のトラックにバイクを積んで岐阜のサーキットまで行ってました。でも車に興味がある年代じゃないですか。バイクを一緒にやっていた仲間もどんどん離れていく。やっぱり、向き不向きがあって、自分が得意ではないと思ったら車に逃げるっていうね。俺の場合は自分でいうのもなんだけど人並みはすぐにできる。それで、もうちょっと先にいる人間を追っかけるっていう習性があるみたい。」
 
ドリフトとの初遭遇は?
 「それでたまたま自分の周りにそういう奴が一人いて、そいつと一緒につるんでたんだけどそいつもバイクを降りちゃったというのが21くらい。一人でやってて、まぁ気が抜けたとかでやる気もなくなり・・・・・。バイクレースとかやっていると怪我も付きもので、膝を右、左2回づつやっているんですよ。それで最後の4回目って言うのがギブスで3ヶ月くらいする怪我だった。丁度その頃ツレがドリフトやってた。そこで俺、もうバイクできないし暇つぶしでそいつの走りを見に行く事になって横に乗って卍されたのがはじめてかな。それまではドリフトって好きではなかったんですよ。」
 
その時の感想は?
「面白い動きするねっていう感じ。その時ドリフトしていた奴はバイクではたいした事なかったけど、俺の出来ないことやってるんで、俺も出来そうな車を探してやろうと思ったんだ。」
 
その時の車は?
「周りに安い車って何があるか聞いたら、ハチロクしかないって事で当時5万円くらいで買った。当時はハチロク10万円だせば買えたんだ。それでパーツをかき集めて車検通して20万円くらいで走れる車を作って。街乗りもそれでずうっと乗って毎晩どこかに走りに行った。それが21。」
 
その頃ドリフトコンテストには興味はあった?
「イカ天とか見ていて、一生懸命自分もドリフトやるんだけど意外と冷静なところがあって正直自分ではできないっていうのがあった。けど出来るようになってビデオとかには出たいとも思った。」
 
それからはどうしたの?
「最初はとりあえずそこそこ走れるようになってビデオ撮ってみたんだけどやっぱりビデオに出ている奴らとは同じことは出来ないと思った。それが走りを重ねてうまくなっていくと次の目標ができるんですよ。こいつとこいつみたいな感じで、そうこうしてるうちに周りに目標がいなくなったんだ。」
 
そうすると何を次の目標にしたの?
「今度はビデオの人間が目標になった。その時ビデオに出ていた人間を地元で見かけて、その人についていって、何が凄いのかっていうのを調べるんですよ。」
 
意外と分析家なんだね。
「俺もの凄く分析家っていうかオタクですよ。」
 
でどんなことを分析するの?
「まず人間なのか車なのかを判断するんですよ。人間だったら超えられるだとか、車の差であれば無理だとか。」
 
やはり負けず嫌いの精神だね。
 「相当ですよ。負ける理由が自分であれば、それを超えれば良いかも知れないけど車であればあきらめるしかない。今のD1もそうだけど腕で出来るところは限られてくるので・・・。今は8割ぐらいじゃないんですか?なので車で負けている部分は人間がカバーしたい。それで色々な車に乗って自分の技だったり基本の動作をこの頃覚えたんです。」
●第1回:DRIFTING ●第2回:COMPETITION ●第3回:AE86