第8戦 10月15日(土)〜10月16日(日) ツインリンクもてぎ(栃木県)
予選4位から好バトルを展開したEpson HSV-010
今季4度目の入賞となる5位でシリーズを締めくくる!
5位入賞のEpson HSV-010
ツインリンクもてぎを舞台に開催された2011年スーパーGTシリーズ第8戦「もてぎGT250kmレース」。全8戦で争われる今季のスーパーGTシリーズは、東日本大震災の影響で5月にシーズンインという例年とは違う幕開けとなったが、ついに最終戦を迎えた。
ツインリンクもてぎのロードコースは、1周4.801km、ストップ&ゴーが続くテクニカルサーキット。抜きにくいコースではあるが、ヘアピン、ダウンヒルストレートから続く90度コーナー、そしてビクトリーコーナー、メインストレートからの1コーナー進入は抜きどころであり、スリリングなバトルが楽しめるポイントでもある。開幕戦から第6戦までは獲得ポイント×2kgとして設定されていたハンデウエイトが、前回の第7戦では獲得ポイント×1kgと半減され、さらに今回の最終戦ではノーウエイトハンデとなるため、速さを抑えられていたマシンも本来のポテンシャルを取り戻し、各車が同条件での戦いとなる。
GT500クラスは、ダンロップユーザーとして7年目を迎える「NAKAJIMA RACING」が、デビュー2年目となるHonda HSV-010 GT、「Epson HSV-010」で頂点を目指す。昨年、チャンピオンマシンとなったHSV-010 GTは、今季はサイドラジエター化でコーナリング性能を向上させるなど、さらなるポテンシャルアップが図られている。Epson HSV-010は、第4戦SUGOで今季初表彰台の3位入賞を飾り、第5戦鈴鹿ではアクシデントに見舞われて13位、第6戦富士では12位となるが、第7戦オートポリスでは8位入賞を果たした。
GT300クラスは、昨年からダンロップユーザーとなった「JIMGAINER」(ジェイアイエムゲイナー)がFIA-GT耐久仕様(LM-GTE)であるニューマシン、フェラーリF458 GTCを新投入。「JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458」は、雨となった初戦の富士、ドライコンディションとなった岡山、灼熱の第3戦セパンと3戦連続で2位表彰台を獲得し、第4戦SUGOでは7位、第5戦鈴鹿では4位となり、ポイントランキングトップをキープして第6戦富士を迎えたが、ノーポイントに終ってトップと8点差のランキング2位に後退。だが第7戦オートポリスでは2位入賞を決めて、2位に5点差のランキングトップに復帰して最終戦を迎えた。
今回、ダンロップが用意したタイヤは、ドライはGT500クラスはハードとミディアム、GT300クラスはミディアムとソフト。ウエットはGT500クラスとGT300クラスともに、インターミディエイト(浅溝)とウエット(深溝)、それぞれミディアムとソフトを揃えた。
土曜の雨のフリー走行でのEpson HSV-010
【GT500】
今季の「NAKAJIMA RACING」は、チーム加入2年目のベテラン道上 龍選手と、スーパーGTにステップアップして3シーズン目となる若手の中山友貴選手のコンビで戦う。
250km、53周で争われる最終戦。ホンダ勢のホームコースではあるが、最終戦に設定されてノーウエイトハンデとなった09年はNSX、10年はGT-R、10年はSC430が優勝。
予選日の土曜は、朝から雨と風に見舞われた。午前9時45分から1時間45分間の公式練習では、Epson HSV-010は合計38周をタイム計測。雨が弱くなり、路面の水量が少なくなった終盤、中山友貴選手が1分52秒913のセッショントップで走行を終えた。
今回の予選はノックアウト方式で行われた。午後1時05分から30分間のQ1はウエットコンディションとなった。インターミディエイトのソフトを装着して中山友貴選手が3番手のタイムをマークしてQ2へ進出。午後3時10分から10分間のQ2も中山友貴選手がタイムアタックを担当して2番手でQ3への進出を果たす。Q3も10分間のタイム計測で、道上 龍選手がタイムアタックを担当したが、雨が強くなってしまい、装着していたインターミディエイトのタイヤとのマッチングが悪くなりながらも、ホンダ勢トップの4番手をマーク。
「途中で雨が強くなって、最後のアタック中の最終コーナーでハイドロを起こしてタイムを更新できませんでしたが、予選4位になれました。決勝では表彰台を目指して頑張ります」と道上 龍選手。今季初表彰台の3位入賞を果たした第4戦SUGOも同じく予選4位からのスタートだっただけに、明日のレースへの期待が高まる結果となった。
スタート直後の1コーナーで、23号車にパスされて5番手に後退したEpson HSV-010
決勝日、前日の雨が残り、午前9時からのフリー走行はウエットとなった。中山友貴選手が1分55秒491で2番手のタイムをマークして、45分間のセッションを終えた。
その後、天候は急速に回復して太陽も姿を見せ、決勝レースは完全なドライコンディションとなった。午後2時にローリングラップが始まり、その後53周のレースがスタート。 道上 龍選手がスタートドライバーを担当したEpson HSV-010は、スタート直後の1コーナーで23号車にパスされて5番手、3周目には100号車にもパスされて6番手に落ちてしまう。だが、9周目には100号車をパスして4番手に浮上して順位をキープしたままで24周目にピットイン。中山友貴選手にチェンジして、各車がルーティンのピットインを終えると4番手につけていた。その後は39号車を追走して3番手争いを展開。その中山友貴選手の背後には3台のHSV-010が連なり、パッシングのチャンスをねらっていた。
激しい3番手争いが続いたが52周目のヘアピンで、GT300のマシンに詰まった39号車のインを突いて並んだ中山友貴選手。だが抜くには至らずベストなラインも通れないままで、その後の加速が鈍ってしまった。背後につけていた100号車はその一瞬の隙を突いてベストラインで加速し、90度コーナーで中山友貴選手のパッシングに成功。中山友貴選手は、そのまま5番手でチェッカー。ポイントランキング12位でシーズンを終えた。
ピットインするEpson HSV-010
「今回は、予選で上位に入ることができ、レースでのペースの速さを生かせる戦いができました。結果は5 位でしたが、いい形でシーズンを終えることができました。チーム一丸となって来年も頑張ります。1年間ご声援ありがとうございます」と中嶋 悟総監督。
「今回はダンロップタイヤとのマッチングのいいウエットのおかげもあって予選で前に並べて、ドライのレースでも、序盤はポジションを落としましたが、その後はいつもどおりのペースを取り戻して走れたのでよかったと思います。ボクの中では来年が勝負だと思っているので、いろいろとある課題をクリアして次につなげたいです。来月の特別戦では、優勝を目指して全力で挑みたいと思います」と決意を語る道上 龍選手。
「レースでは道上選手がいいペースで走ってくれて、自分もいいペースで走ることができて39号車に追いついたのですが、抜き切ることができなかったのが悔しいです。あのバトルで前へ出られなかったのは大きな反省点です。シーズン序盤はいい結果を残せませんでしたが、SUGOでは表彰台にもあがることができました。最後のレースは、展開と内容がいいレースができました。チームに入って3年目ですが、よりクルマとタイヤの進化を感じられた1年でした。特別戦ではリベンジを果たしたいですね」と語る中山友貴選手。
中嶋 悟総監督、道上 龍選手、中山友貴選手(左から)
これで今季のスーパーGTシリーズは全8戦が終了。Epson HSV-010は、ダンロップタイヤとともに進化を続け、第4戦では3位表彰台を獲得。ポイントランキングでは、4回の入賞を決めて、ドライバーとチームは、ともにポイントランキング12位という結果だった。
残すはノンタイトルの特別戦、2年目を迎えるFUJI SPRINT CUP(11月11〜13日)。これは金曜に予選、土曜と日曜にドライバー交代のない100kmのスプリントレースが各1回行われる。GT500とGT300の各クラスは、混走ではなく別レースとして争われる。
昨年は、道上 龍選手が4位、中山友貴選手が6位に入っている。さらにフォーミュラ・ニッポンのスプリントレースも同時開催、中嶋 悟監督ほはじめ、往年の名ドライバーが参戦するレジェントカップ行われるなど、見どころ満載の大会となっている。