第8戦 10月15日(土)~10月16日(日) ツインリンクもてぎ(栃木県)
【GT300】
ランキングトップで臨んだJIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458
3位入賞でライバルに逆転を許し、惜しくもチャンピオン獲得ならず!
ランキング2位の平中克幸選手と田中哲也選手(左から)
昨年からダンロップユーザーとして参戦している「JIMGAINER」(ジェイアイエムゲイナー)。ベテラン田中哲也選手と若手の平中克幸選手の実力派ドライバーが健闘。昨年はFIA GT仕様の「JIMGAINER DIXCEL DUNLOP F430」で第1戦鈴鹿は予選2位、第4戦マレーシアではポールを獲得、11月の特別戦では100km(22周)レースで2連勝を達成。
今季はFIA GT耐久仕様(LM-GTE)のフェラーリF458 GTC「JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458」を新投入。雨足が変化する難しいウエットとなった初戦の富士、ドライとなった延期開催の第1戦岡山、フェラーリF458 GTC は、ダンロップタイヤとのマッチングは良好で、ハイポテンシャルを発揮。ポイントリーダーとなって60kgのウエイトハンデを搭載した第3戦セパンと、3戦連続で2位入賞を達成。 第4戦SUGOは7位、第5戦は4位と着実にポイントを加算してトップをキープ。第6戦では無念のノーポイントで、8点差のランキング2位に後退。だが第7戦オートポリスでは今季4度目の2位入賞を果たし、4号車(BMW Z4)に5点差をつけて再びトップに返り咲き、ノーウエイトハンデとなる最終戦を迎えた。
4号車が優勝すれば、たとえ田中哲也選手&平中克幸選手が2位となってもタイトルは獲れない(同点の場合は上位入賞成績の多い方が上位)。双方の順位によってタイトルは決まるが、とにかく4号車の前でチェッカーを受ければ、田中哲也選手&平中克幸選手がチャンピオンに輝く。だが、現在のマシンレギュレーションによる特性上、ストレートが遅いJIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458にとっては、厳しい戦いが予想された。
予選2位のJIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458
土曜の午前9時45分に始まった公式練習は、小雨が降りながらのウエットとなった。JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458は、走り始めからアンダーステアに苦しみながら、ノックダウン予選に向けてのセットアップを進めた。思うようにタイムは伸びず、田中哲也選手の2分05秒089で9番手となった。一方、ランキング争いをする4号車は、開始40分でトップタイムをマークすると、終盤にもタイムを更新して、公式練習でトップに立った。
最終戦の予選は、Q1、Q2、Q3の3段階で選抜されるノックアウト方式が採用された。Q1は序盤の混走パートから、ランキング2位の4号車がトップタイムをマーク、JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458は、平中克幸選手が8番手のタイムでQ2へ進出を決めた。
Q2でも、4号車がトップを奪い、JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458は田中哲也選手が3番手で、トップ10台で争われるQ3へと進出。Q3では激しいトップ争いが展開された。ここでも4号車がトップタイムを出した。JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458は、平中克幸選手のアタックで4番手に付けていたが、ラスト1周のスーパーアタックでタイムを更新。見事に予選2番手を決めて、ポールの4号車をピタリとつけて、決勝を迎えることになった。
「公式練習ではマシンバランスが悪かったのですが、予選を走りながら、何とか合わせ込むことができました。明日は、とにかくスタートから前に出て優勝をしたいですが、とにかくチーム一丸となってベストなレースをしたいと思います」と平中克幸選手。
JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458のスタート
朝のフリー走行は、雨がパラついて、昨日と同様にウエットとなった。このセッションでもライバルの4号車がトップタイムをマークするも、JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458の平中克幸選手は3番手につけた。だが午後2時からの決勝までには、雨が上がって、ドライコンディションとなることが予想されていた。
午後2時、雨雲が切れてコースはドライコンディション。セーフティカー先導による1周のローリングラップの後、53周の決勝レースがスタート。ここでロケットスタートを決めたのは、前回のスタートでも2ポジションアップ決めているポールの4号車(BMW Z4)。田中哲也選手のドライブするJIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458は、リードを広げられながらも2番手をキープして1コーナーに進入。5周目には62号車(レガシィB4)にパスされ、3番手に後退するが、62号車が9周目にマシントラブルでピットインすると再び2番手に浮上。だがトップの4号車とは徐々に間隔が広がっていった。今度はピットスタートから猛追する33号車(ポルシェ911 GT3)が3番手に浮上して、田中哲也選手の背後に迫る。
18周目には、田中哲也選手はルーティンのピットインをして平中克幸選手にチェンジ。各車がピットインを終えると、平中克幸選手は、4号車、33号車に続いての3番手となっていた。仮に33号車がトップに立てば、4号車が2番手でも、JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458が3位に入ればタイトル獲得の権利は残されていた。だが、トップ3台の間隔は開いたままの走行となり、そのままチェッカー。4号車のチャンピオンが決まり、田中哲也選手と平中克幸選手は決勝3位でランキング2位となった。
決勝3位のJIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458
「今回もタイヤ自体はとてもよかったのですが、残念としか言いようがないですね。来年は今年以上の成績が出せるようにもっと頑張りたいと思います。」と語る山本俊茂監督。
「チームとしてのベストパフォーマンスを出せたと思いますが、届きませんでした。今回は公式練習が雨からのスタートでしたが、アンダーがとても強いとこから始まり、それを修正しながらの予選となりましたが、Q3で2位まで行けました。ドライとなった時点で、ラップタイムでは太刀打ちできませんでした。もてぎというサーキットの特性とストレートが伸びないというクルマの特性もあって厳しいレースになりました。特別戦でも4号車とはストレートスピード差が大きいので、難しい戦いになるでしょう」と福田洋介エンジニア。
「あそこまでストレートが速いと苦しいです。クルマの差は大きいですが、ボクたちの力不足だったと思います。今年を振り返ると、タイヤで助けられたレースが多かったですね。今回は頑張りましたが、チャンピオンは獲れませんでした。ランキング1位と2位では大きく違います。特別戦は、さらに今回よりは厳しい戦いとなりますが、ラップタイムが狙える状態にマシンを仕上げて戦ってみたいですね」と今年を振り返る田中哲也選手。
「今週末はシーズンを通して一番厳しい週末になりました。レインでもドライでも4号車には届かない状態だったので、まさに完敗という感じです。正直、今シーズンは一度も勝てなかったのが悔しいし、チャンピオンも獲れなくて厳しいシーズンでした。今回はベストラップで1秒くらい、コンスタントラップでもコンマ6~7秒ほど負けています。チームにとってはランキング2位というのは、とてもいいことですが、チーム一丸となって戦ってきただけに悔しい結果です。特別戦は新たな気持ちで臨んで、昨年と同じように勝ってシーズンを締めくくれたらと思います」と平中克幸選手は特別戦への目標を語った。
特別戦での活躍が期待される
JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458
今季のJIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458は、優勝こそなかったが、毎戦、着実にポイントを積み重ねてきた。今回、3位入賞を果たしたものの、惜しくもチャンピオン獲得は逃してしまった。タイヤに関しても毎回、確かな手応えを感じていただけに残念な結果となってしまった。
ノンタイトル戦となるFUJI SPRINT CUP(11 月11~13日)は、ノーウエイトハンデ、ピット作業がない100kmのスプリントレース。今年の集大成ともいえる一戦だけに、心機一転、昨年に続く好結果を期待したい。