第7戦 9月12日(土)~13日(日) 富士スピードウェイ(静岡県)
Epson NSX、今季初ポールを獲得するも、アクシデントで上位入賞を逃す!
DUNLOP SARD SC430、着実な走りでレースを戦い、11位でチェッカー!
左から中山友貴選手、中嶋悟総監督、ポールをマークしたロイック・デュバル選手
今年2回目となる富士スピードウェイを舞台に、2009年スーパーGTシリーズ第7戦(9月12~13日)が開催された。例年、2回目の富士は、最終戦として開催されているが、今年は、タイトル争いの山場となるラスト3戦としてスケジュールに組み入れられた。
前回の鈴鹿は700kmだったが、今回は300kmで争われた。改修から5年目となる富士スピードウェイは、長いメインストレートを持つのが大きな特徴で、前半の高速セクションと後半のテクニカルセクションが組み合わされた攻めがいのある難しいコースだ。
今年は、開幕戦から第6戦まで、獲得ポイント×2kgとして設定されていたハンディウェイトが、第7戦からは×1kgとなる規則変更があった。さらに最終戦ではノーウエイトハンデとなるため、終盤戦に向けて、さらに激しいバトルが展開されることが期待される。
今季ダンロップは、ユーザーとして5年目を迎える「Epson NAKAJIMA RACING」:Epson NSXと、2年目となる「LEXUS TEAM SARD」:DUNLOP SARD SC430の2チーム、2台にタイヤを供給している。
今回、ダンロップが富士スピードウェイに持ち込んだドライ用タイヤは、ミディアムとソフトの2種類。ウエット用は、溝の深さの違う2種類を用意。決勝レースは、2台ともにミディアムを装着してスタートした。
ウエットとなった土曜朝のフリー走行では2番手のタイムをマークした DUNLOP SARD SC430
【GT500】
公式練習走行は、予選日の午前9時5分から100分間に渡って行なわれた。セッション直前から雨が降り出し、ウエットコンディションでの走行となった。ロイック・デュバル選手のEpson NSXと、アンドレ・クート選手のDUNLOP SARD SC430がトップ2のタイムをマークして、レースウィーク初走行から好調な滑り出しを見せた。
午後に行われた公式予選1回目もウエットコンディションとなった。ここでも、ロイック・デュバル選手はトップタイムをマークして、トップ8に権利のあるスーパーラップに進出。ライバル勢のミスが続く難しいコンディションだったが、1分46秒111というトップタイムを叩き出して、今季初のポールポジションをマーク。ロイック・デュバル選手にとっては、06年第9戦以来の通算2度目のポールとなった。
「今年はボクらにとっては厳しいシーズンとなっていますが、今日はクルマのバランスもよく、その調子のいいクルマでポールが獲れたのは最高。表彰台に上がるのが目標です。明日の朝、路面をよく確認して、決勝を頑張りたいです」とロイック・デュバル選手。
「ロイックさんは、今年のフォーミュラ・ニッポンのチャンピオンも決めましたし、絶対やってくれると思っていました。今日、午前の練習走行と予選の基準タイムをクリアするという仕事をしました。明日はミスなく走ることが一番の仕事です。精一杯できることをやって、あとは集中力を高めて走るだけです」とルーキーの中山友貴選手は決意を語った。
一方、GT参戦6年目のアンドレ・クート選手とGT500クラス初参戦の平手晃平選手がペアを組むDUNLOP SARD SC430は、午後の予選1回目では、スーパーラップ進出は果たせなかった。さらにアンドレ・クート選手は予選中のホワイトラインカットのペナルティとしてベストタイムが末梢されたため予選12位となり、エンジン交換で10グリッド降格のマシンがあったために、正式結果では予選11位となった。
スタート直後のアクシデントによって大きく順位を落としたEpson NSX
決勝日は、午前8時30分から30分間、朝のフリー走行が開始された。雨は上がっていたが、まだ路面は濡れていた。ウエットからドライに変化するコンディションで、ドライ用タイヤの選択とマシンセッティングをしなければならない厳しい条件となった。
Epson NSXは8位、DUNLOP SARD SC430は13位のタイムでセッションを終えた。10分間のインターバルで、さらに15分間のサーキットサファリも行われた。
66周、300kmの決勝レースは、ドライで争われた。ポールのロイック・デュバル/Epson NSXは、両脇のマシンに挟まれる形で1コーナーに進入。プレーキングで後続車に追突される形となったEpson NSXはスピン、すぐに復帰したがGT500クラスの最後尾までダウン。その後、セッティングが決まっていないこともあって、最後まで思うようにペースを上げることができず、9位まで挽回してチェッカーとなった。
「1周目のアクシデントがすべてだった。土曜日が雨で、ドライでのいくつかのアイデアが試せなかったのも大きかった。ドライでの速さが足りなかったですね」と中嶋悟総監督。
「ポールのスタートなので、最初からガンガン行くつもりだったが、スタートのアクシデントで、すべてがダメになった」とレースを振り返るロイック・デュバル選手。
「交代して7周目くらいからコントロールが難しくなりました。クルマのバランスが悪くなった時に、どういうドライビングをすればいいのかという引き出しが、まだまだ少ないので、それを充実させることが今後の課題だと思います」と中山友貴選手は語った。
DUNLOP SARD SC430(前)と、その直後に迫ったEpson NSX
DUNLOP SARD SC430は、スタートドライバーのアンドレ・クート選手が、好スタートを決めて、上位グループの混乱もかわして5番手にアップ。だが、2周目に後続車とのアクシデントで9番手までポジションダウン。結局、周回遅れの11位となった。
「今回はチームとしてのデータ不足もあり、予選の雨が響きました。これからダンロップと協力して、さらにいいタイヤに仕上げようと思っているのでオートポリスとツインリンクもてぎでは、それなりの結果が付いてくるのではないかな」と加藤眞総監督はコメント。
「とても難しいウィークエンドでした。決勝はセッティングが決まっておらず苦しいレースとなった。次のレースは、いい成績を残したいです」とアンドレ・クート選手。
「今回は、チャンスと言われている富士だったが、土曜日の雨で、新しいタイヤを試す時間がなかった。次のオートポリスは、全力で頑張りたいですね」と平手晃平選手。
ラスト2戦となる第8戦オートポリスでは、どんなドラマが待っているか楽しみだ
今回は、ウエットコンディションながら、ポールポジションを獲得するなど、手応えを見せているダンロップ勢。だがアクシデントもあり、惜しくも上位入賞は果たせなかった。
次はラスト2戦となる第8戦(9月12~13日)オートポリス。アップダウンがあり、高速&中低速セクションが組み合わされたテクニカルなコースで争われる300kmレース。路面は荒く、タイヤに負担の掛かるコースでもある。毎回、着実に進化しているダンロップ勢だけに、ラスト2戦でのさらなる奮闘に期待したい。