第6戦 9月7日(土)~9月8日(日)富士スピードウェイ(静岡県)
【GT300】
7位でゴールのGAINER DIXCEL SLS
ドライバーランキング2位に浮上!
7位でゴールのGAINER DIXCEL SLS
今季、開幕戦から大健闘している「GAINER」(ゲイナー)。ダンロップユーザーに復帰して4シーズン目となる今年も、開幕戦で見事に優勝を飾り、序盤からタイトル上位争いを展開。
今季、チームがタイトル奪還を目指して選んだのは、名門チューナーのAMGが手掛けたGT3仕様の「Mercedes Benz SLS AMG GT3」。スーパーGTには昨年から参戦しているマシンであり、ヨーロッパのレースで活躍。FRレイアウトだが、低重心で、前後バランスも良好で、パフォーマンスの高いマシンだ。
さらに2台体制となり、ドライバーは11号車が平中克幸選手とビヨン・ビルドハイム選手、10号車は田中哲也選手と植田正幸選手が、それぞれペアを組む。ビヨン・ビルドハイム選手は昨年までGT500でレクサスSC430やGT-Rを駆り、フォーミュラ・ニッポンにも参戦していた実力派ドライバー。植田正幸選手はスーパー耐久の参戦やスーパーGTに参戦、「GAINER」からの参戦経験も豊富で、2008年には田中哲也選手と組んでスーパーGTに参戦している。
第1戦岡山では11号車のGAINER DIXCEL SLSが、予選3位から見事な追い上げを披露して優勝を飾り、チームは2年連続して開幕戦を制している。10号車は、ガルウイングドアのトラブルやアクシデントなどもあって15位でフィニッシュ。第2戦富士では11号車は6位、10号車は10位入賞。第3戦では11号車が3位、10号車は7位。第4戦SUGOでは11号車は13位、10号車は10位入賞、第5戦鈴鹿では11号車が6位、10号車は13位という結果だった。
予選6位のGAINER DIXCEL SLS
予選日の午前9 時から2時間の公式練習が行われた。気温25℃、路面温度32℃、天候は曇りとなった。このセッションでは、平中克幸選手とビヨン・ビルドハイム選手の11号車は、ブレーキのトラブルもありクラス17番手。田中哲也選手と植田正幸選手の10号車は、14番手と、まずまずのファーストセッションとなった。
ノックアウト方式で行われる予選は、午後2時からの公式予選は、気温25℃、路面温度33℃。ノックアウト方式の予選1回目であるQ1は、15分間で争われた。11号車のGAINER DIXCEL SLSはビヨン・ビルドハイム選手、10号車のGAINER Rn-SPORTS DIXCEL SLSは田中哲也選手が担当。平中克幸選手は9番手、田中哲也選手は13番手で、トップ13位までに権利のあるQ2に進出を果たした。GT500のQ1後に行われたGT300のQ2では、ビヨン・ビルドハイム選手が予選6位、植田正幸選手が予選8位という好ポジションにつけた。
「予選では、Q1の平中選手が走った時に、タイヤのグリップがかなり高かったので、Q2のビヨン選手はダウンフォースレスで行きました。それが決まり、直線が伸びて、コーナーでも安定していて、Q2での6番手というタイムにつながりました」と小笠原康介エンジニア(11号車)。
スターティンググリッド上の平中克幸選手とビヨン・ビルドハイム選手
ウエットとなった決勝日朝のフリー走行では、11号車が2番手、10号車が6番手と好タイムをマーク。決勝レース中には、雨が降るという予報が濃厚で、ダンロップ勢がウエットで、さらなるパフォーマンスを発揮できるチャンスもあった。
300kmの決勝レースは、午後2時にフォーメーションラップがスタート。予選6位の11号車はビヨン・ビルドハイム選手、予選8位の10号車は田中哲也選手がそれぞれスタートドライバーとなった。スタートでトップに立った予選2位の3号車GT-Rがレースをリード。ビヨン・ビルドハイム選手はスタートで5番手に浮上、田中哲也選手もグングンと追い上げていった。その後、11号車と10号車が、4番手と5番手で周回を重ねるという展開となった。
だが、GT500の32号車によるアクシデントでセーフティカーランとなった。ピットがオープンになり、多くのマシンが、セーフティカーランの間にピットに飛び込んだ。10号車は、このタイミングでピットイン。だが11号車は、雨が降ることを想定して、コース上に留まって周回を重ねて行った。もう1台、上位グループでコース上に留まったのが、ポイントランキングトップの16号車CR-Zだった。11号車のビヨン・ビルドハイム選手は、16号車とトップ争いを展開しながら、雨が降るタイミングを待っていた。
実際に雨が降ってコースはウエットにはなったが、ドライ用タイヤで走れるレベルの雨だった。一方、植田正幸選手に代わった10号車は、ワイパーのトラブルはあったが、全車がピットインを終えると6番手となった。結果的に11号車は7位でのチェッカーとなった。同じくピットインを遅らせた16号車は、11号車とのバトルの末、8位に終わった。
これでドライバーランキングでは、平中克幸選手とビヨン・ビルドハイム選手は、トップの16号車との得点差を1点縮めて14点差のランキング2位に浮上した。
ピットインするGAINER DIXCEL SLS
「今回は、雨を意識し過ぎてしまいました。セオリーどおりの作戦で行ったら表彰台は乗れていたと思うので悔やまれます。タイヤもよかったですし、ドライバーも頑張ってくれました。決勝中のタイムも悪くなかったです。ギリギリまで悩んでいたのですが、待とうということになりました。オートポリスは、11号車がタイヤテストで走ったのですが、そこそこ行けそうです」と語る小笠原康介エンジニア(11号車)。
「優勝を狙って臨んだレースだったのですが、残念な結果になりました。最低でも表彰台に行けたし、ボクの乗った後半のペースもよかった。ウエット路面でのスリックは菅生ではよくなかったのですけれど、今回はとてもよくて、まわりに比べてもよかった。チャンピオンシップでは、ポイント差を縮められたし、まだチャンスも残っているので、残りのレースでも頑張りたい」と平中克幸選手はレースを振り返った。
「今回も予選からタイヤのパフォーマンスの高さを感じられました。レースは、スタートからいい調子でしたが、結果的にセーフティカーのタイミングでピットに入らなかったのが、ダンロップにとってアンハッピーな結果になってしまいました。でもタイヤの調子は良好で、ウエットでのドライタイヤのパフォーマンスもバツグンでした。まだチャンピオン獲得のチャンスはあるので、少しでも多くポイントを獲れるようにベストを尽くしたい」とビヨン・ビルドハイム選手は語った。
「新しいタイヤを用意してもらって、鈴鹿で性能を発揮できなかった分をある程度取り返していました。ドライ用のスリックに関しては、戦えるレベルまではなっています。10号車は決勝6位と厳しい状況ながらのベストリザルトでした。今後、11号車は勝つしかないのですが、10号車は何としても表彰台を獲りたいですね」と福田洋介エンジニア(10号車)。
「今回に関しては、タイヤのポテンシャルはかなりよくて、今日も表彰台を狙えるぐらいのポテンシャルはあったような気がします。最初にボクがスタートしてトップグループを走れていました。あのままセーフティカーが入らずに走れたら、一番よかったのですけどね。10号車としては最高順位だったので、よしとして次に臨める順位だったのかなという気がします。今回みたいな調子でタイヤが決まったらまだチャンスはあると思っています」と田中哲也選手。
「朝のフリー走行ではレインがとてもよかったので、レースで雨が降れば表彰台を狙える手ごたえはありました。レースでは雨は降りましたが、そのままドライで走れる状況でした。ボクの時にワイパーが壊れて厳しかったですね。タイヤ的には、富士や鈴鹿に比べて、さらなる進化が感じられて、いい雰囲気になってきた。オートポリスはダンロップと相性がいいので。ボクらとしては、いいポジションでチェッカーを受けられるように頑張りたいです」と植田正幸選手。
GAINER Rn-SPORTS DIXCEL SLSは今季ベストとなる6位でチェッカー
第1戦優勝、第2戦6位、第3戦3位、第4戦は13位でノーポイントとなったが、第5戦で6位、第6戦で7位に入り、ドライバーズポイントでは2位に浮上した平中克幸選手とビヨン・ビルドハイム選手のGAINER DIXCEL SLS。
9月になって、アジアン・ル・マン・シリーズ第2戦「3 Hours of Fuji」(9月20日~22日、富士スピードウェイ)にGT300が参戦することが発表された。この大会でSGTクラスが設定される。GT300のマシンが参戦できるだけでなく、このレースではSGTクラスの1位から10位までに、SUPER GTのチーム、ドライバーポイント(1位:8点~10位:1点)が与えられ、これがシリーズポイントに加算されることになった。計11台の参戦が決まり、この大会には11号車とランキングトップの16号車も参戦が決まっている。
そして4週間のインターバルで迎える第7戦(10月5~6日)では、ここまでのウエイトハンデが半減、そして最終戦ツインリンクもてぎではノーウエイトハンデでの戦いとなる。
アジアン・ル・マン・シリーズ第2戦、そしてシリーズ戦の残り2戦、GAINER DIXCEL SLSと平中克幸選手&ビヨン・ビルドハイム選手の活躍で着実に上位入賞を果たし、最後までチャンピオン争いに絡み続けてほしいものだ。