第5戦 8月20日(土)~8月21日(日) 鈴鹿サーキット(三重県)
ウエットで果敢な追い上げを披露したEpson HSV-010
予想外のアクシデントに見舞われて、無念の13位!

レース序盤、果敢に攻めるEpson HSV-010

 8月20日~8月21日、2011年スーパーGTシリーズ第5戦「40th INTERNATIONAL Pokka GT SUMER SPECIAL」が開催された。全8戦で争われるシリーズも後半戦に突入し、タイトル争いも白熱する注目の一戦となった。このレースは、今年で40回目を迎える伝統の耐久レースであり、06年からスーパーGTシリーズの一戦に組み込まれた。08年までは1000kmレースとして開催されていたが、09年からは700kmとなり、今季はシリーズ最長の500kmレース(第2戦富士は400km、それ以外は250km)として争われる。
 GT500クラスは、ダンロップユーザーとして7年目を迎える「NAKAJIMA RACING」が、デビュー2年目となるHonda HSV-010 GT、「Epson HSV-010」で頂点を目指す。昨年、チャンピオンマシンとなったHSV-010 GTは、サイドラジエター化でコーナリング性能を向上させるなど、さらなるポテンシャルアップが図られている。Epson HSV-010は、第4戦SUGOで今季初表彰台となる3位入賞を果たし、好調の波に乗っている。
 GT300クラスは、昨年からダンロップユーザーとなった「JIMGAINER」(ジェイアイエムゲイナー)がFIA-GT耐久仕様(LM-GTE)であるニューマシン、フェラーリF458 GTCを新投入。「JIMGAINER DIXCEL DUNLOP 458」は、雨の戦いとなった初戦の富士、ドライコンディションとなった岡山、灼熱の第3戦セパンと3戦連続で2位表彰台を獲得し、第4戦SUGOでは7位となり、ポイントランキングトップをキープして、第5戦鈴鹿を迎えた。
 今回、ダンロップがサーキットに持ち込んだタイヤは、ドライがGT500は新スペックとなったハードとミディアムの2種類、GT300はハードと、性能調整とウエイトハンデで増えた車重に対応した新スペックのベリーハードの2種類を投入。ウエットはGT500とGT300ともに浅溝、深溝の2種類で、それぞれハードとミディアムを用意し、予選と決勝に臨んだ。

ピットで談笑する道上 龍選手と中嶋 悟総監督

【GT500】
 今季の「NAKAJIMA RACING」は、チーム加入2年目のベテラン道上 龍選手と、スーパーGTにステップアップして3シーズン目となる若手の中山友貴選手のコンビで戦う。
 1周5.807km、テクニカルコースである鈴鹿サーキットを舞台に、今季最長の500kmレースとして開催されたが、例年は過酷な真夏の耐久レースとなるのだが、今年は雨に見舞われたこともあり、涼しい週末となった。テクニカルコースが得意であるHSV-010 GTは、昨年のこのレースを制しているだけに、ホームコースでの活躍が期待されている。
 前戦までの成績 (第6戦富士までは前戦までの獲得ドライバーズポイント1点を2kgに換算) によって、Epson HSV-010は24kgのウエイトハンデを搭載する。
 土曜の予選日は、雲が厚く、雨の降りそうな空模様となった。午前9時55分に公式練習がスタート。本来はサーキットの走り初めとなるこのセッションで、マシンのセッティングや予選に使うタイヤの最終決定をするのだが、Epson HSV-010は、パワーステアリングにトラブルが発生。そのために本格的なセッティングができないまま、13番手のタイムで公式練習を終えた。
 今回の予選はノックアウト方式を採用。予選1回目(Q1)は全車が走り、予選2回目(Q2)にはトップ11台が進出、予選3回目(Q3)にはトップ7台が進出してスターティンググリットが決定する。午後12時55分にスタートした予選1回目はドライで争われた。このセッションまでにEpson HSV-010のパワーステアリングのトラブルは解消していたが、セッティング不足もあって、中山友貴選手の1分55秒292がベストタイムとなり、Q2への進出は果たせず、予選14位からのスタートとなった。前戦のSUGOでは、スーパーラップに進出して予選4位を獲得していただけに、残念な結果に終わった。
「公式練習でパワステのトラブルが出てしまい、その原因を突き止めるのに時間が掛かってしまいました。予選は、今までで一番いいと思われるセッティングで走ったのですが、コンディションにマッチしなくて予選は沈んでしまいました。でも問題は解決しているので、決勝では何としても追い上げたいと思います」と語る中山友貴選手。

Epson HSV-010は26周目に1回目のピットイン

 決勝日は、早朝から雨が降ったり止んだりの不安定なコンディションとなった。午前10時から45分間のフリー走行はウエットとなった。このセッションでは、道上 龍選手のみが集中的に17周の走行を行い、2番手のタイムをマークしてセッションを終えた。ウエット路面で抜群のパフォーマンスを発揮するダンロップタイヤの活躍が、今回も期待できそうな好パフォーマンスを見せてくれた。
 87周、500kmの決勝レースは、午後3時15分にローリングスタートが切られた。Epson HSV-010はスタートドライバーの道上 龍選手が、ウエットコンディションとなったレース序盤に果敢な追い上げを展開した。3周目に13番手、4周目に11番手、5周目には10番手とポジションアップ。9周目には6番手に浮上し、5番手争いで前車をパスした直後の10周目の最終コーナー立ち上がりで、道上 龍選手はラインを外してしまい、水に乗ってアウト側ウォールのスポンジバリアに激突。だが深刻なダメージとはならず、すぐにコースに復帰して、再び13番手から追撃を開始した。
 今回は2回のピットイン義務があり、GT500勢は18周目から最初のピットインが始まった。7番手に浮上したEpson HSV-010は26周目にピットイン。道上 龍選手から中山友貴選手にチェンジ。路面は乾く方向にあり、浅溝のレインを履くEpson HSV-010は好調に周回を重ねた。中山友貴選手は他車のピットインなどもあり4番手まで浮上した57周目にピットイン、道上 龍選手に交代する。だがこの時点では、まだドライに交換できる路面状況ではなく、71周目にタイヤ交換のために3度目のピットインをすることになった。
 82周目のデグナーカーブで、道上 龍選手は後続車にプッシングされてしまいスピン。縁石に乗り上げてストップ。接触された右リヤタイヤにもダメージを受けてしまい、再び走り出すことはできなかった。Epson HSV-010は、規定周回数を満たしているために、13位完走というリザルトを残した。

好調の波に乗れなかったEpson HSV-010

「レースではいい走りも見せられたのですが、それぞれに失敗もあり、判断の遅れもありました。他車に押し出されたりもして、残念ながらいいポジションは得られませんでした。次の富士では、また新たな作戦で頑張っていきたいです」と中嶋 悟総監督。
「予選では満足する結果を出せませんでしたが、決勝では雨が降れば追い上げられる自信はありました。スタート直後はタイヤが路面にマッチして、いい追い上げが出来たにも関わらず、ラインを外してしまい、そのまま最終コーナーで前からぶつかってしまった。その後も追い上げることはできましたが、流れは悪かったですね。ボクとしては反省するレースのひとつですが、今後に繋がるレースになりました。次はウエイトハンデも増えないので、軽さを生かしたレースをしたいですね」と道上 龍選手は決意を語った。
「序盤は道上さんが浅溝のレインで、いいペースで走ってくれたので、ボクも同じスペックの新しいタイヤで走りましたが、ボクの走っているスティントも安定してグリップ感も高かったです。ちょい濡れのコンディションでは、ダンロップはマッチしていて、4番手まで順位を上げて道上さんに交代しました。あと10周走れればドライに変えられるタイミングだったのですが、燃料の関係で道上さんに交代してレインのままで行ったので、ドライへの交換で、もう1回ピットに入ることになりました。次の富士はセッティングの方向性もいいものが見つかっているのでチャンスだと思います。こういうもったいないといわれるレースをしないように頑張りたいです」と語る中山友貴選手。

富士での活躍が期待されるEpson HSV-010

 今回、決勝日には鋭いパフォーマンスを発揮しながらも、不運なアクシデントが重なって、それを好リザルトとして残せなかったEpson HSV-010。前戦では3位表彰台を獲得するなど、確実に進化を続けている。
 第6戦(9月10~11日)は高速セクションとテクニカルセクションが組み合わされた富士スピードウェイが舞台となる。8月には富士でタイヤテストが行われているだけに、事前データもあり、さらなるポテンシャルアップも期待される。毎回、好バトルが展開されるスーパーGTだけに、Epson HSV-010と2人のドライバーがどんな戦いを見せてくれるのか楽しみにしたい。





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ニュルブルクリンク2014