Epson NSX CONCEPT-GTは、マシントラブルのためにストップ&リタイア
5月3~4日、静岡県の富士スピードウェイにおいてSUPER GTシリーズ第2戦が開催。
ダンロップは昨年同様GT500クラスのNAKAJIMA RACING「Epson NSX CONCEPT-GT」(中嶋大祐/ベルトラン・バゲット)、GT300クラスの「GAINER Rn-SPORTS SLS」(10号車=植田正幸/山内英輝)、「GAINER DIXCEL SLS」(11号車=平中克幸/ビヨン・ビルドハイム)の2台、計3台にタイヤを供給する。今回準備したタイヤはGT500/300両クラスともソフトとミディアムの2種類で、4月にオートポリスで行われたタイヤテストの結果を踏まえて、グリップレベルは保ったまま安定性を重視した新しい構造のタイヤを持ち込んだ。
前回の開幕戦ではGT500では序盤のアクシデントに見舞われながらも粘り強い走りで完走し、大きなデータを収穫。今回はぜひトップ10でゴールして入賞したい。またGT300は前回3位表彰台を獲得した11号車は表彰台の中央を、また新コンビの10号車は入賞を狙いたいところ。レース距離は通常より長い500kmレースでどのような走りを見せてくれるかに期待がかかった。
入場者数:予選日32,200人 決勝日 57,200人(公式発表)
富士山をバックに走行するEpson NSX CONCEPT-GT
第2戦の舞台は今年50周年を迎える富士スピードウェイ。1.5kmにも及ぶストレートを持つハイスピードコースでありながら、後半の上り区間は非常にテクニカルなレイアウトを持っている。毎年ゴールデンウィークには富士でレースが開催されているが、通常の300kmレースより長い500kmレースとなり、ピット作業回数も多くなりコース上でのバトルはもちろんピット作業もレース結果に影響を及ぼしやすい。会場は予選日朝から晴天に見回れ、まだ雪を抱く富士山も美しい姿を見せた。
2日朝に行われた公式練習では、「Epson NSX CONCEPT-GT」は15台中12位、車両の熟成に時間を要しているホンダ勢はトップ10に入ることはできなかったが、その中で2番手のタイムとまずまずの走り出しを見せた。
気温が20℃を超え爽やかな五月晴れとなった14時15分に始まった公式予選Q1では、オートポリスでも精力的に走り込んだバゲットがステアリングを握ってコースイン。タイヤが暖まったセッション終盤にアタックに入るもなかなかタイムが上がらない。それでも最後のチャンスで朝の公式練習のタイムに近い1分31秒台をマークして14位となり、この順位でのスターティンググリッドが確定。このセッションでも日産とレクサス勢がトップ10を独占し、ホンダ勢は予選から苦戦が予想された。
ピットウォークでファンとの交流を楽しむ中嶋とバゲット
午後も天候は晴れたり曇ったり。気温13℃、路面温度20℃と寒いコンディションのなか始まった公式予選のQ1では、中嶋がステアリングを握りコースイン。しかし予想以上に冷えたコンディションでは路面温度とタイヤのマッチングが優れず15位にとどまり、これでスターティンググリッドが確定となった。「なかなかタイムが出なくて焦りましたが、どうやらピットロード通過時に使用するスイッチが入っていたようです。スタートポジションは後ろの方ですが、岡山でも決勝は安定して走れましたので、今回もまず完走して今季初入賞を目標にしたい」と中嶋。
多くのファンで埋まったグランドスタンドをバックにグリッドに並んだEpson NSX CONCEPT-GT
4日も晴天となり爽やかな朝を迎えた富士。フリー走行では中嶋とバゲットは13番手につけた。
気温20℃の14時過ぎ、57,000人を超えるファンがコース各所に陣取り固唾を見守るなか、110周の決勝レースがスタート。スタートを担当したのはバゲットで、オープニングラップに1台にかわされたものの2周目には当初の順位を取り戻した。しかし4周目の1コーナー手前のストレートで、GT300車両が激しくクラッシュして序盤からセーフティカー(SC)が導入されることになった。クラッシュの影響で多くのパーツや破片がコース上に飛び散ったが、バゲットは運悪くそれを踏んでしまっていた。車両の回収やコース清掃が終了してSC解除となった10周目、バゲットはピットインして燃料を補給すると共にタイヤを交換。これでトップとは周回遅れになってしまった。
序盤のアクシデントの影響もあり不運なレースとなった
最初のピットインからすぐの13周目、バゲットが再びピットイン。今度は燃料系のトラブルが発生したためだった。メカニックが慌ただしく動き車両をコースに送り出すが、バゲットはまたもやピットへ。19周目に火災を起こした車両が出たため2回目のSC導入となるが、バゲットはピットにとどまったまま。メカニックらの懸命な作業が続いた。コースへ復帰したバゲットは再び安定したラップタイムを刻み始めた。バゲットは45周を消化してようやくピットイン。ここで中嶋に交代して中盤以降の追い上げが期待された。
しかし中嶋がコースに出てわずか10周目の終盤区間でマシンがコース脇にストップ。何とか走り出すも次の周のヘアピンでまたもやスローダウン。中嶋はコース脇のタイヤバリア切れ目にマシンを止めてそのまま動かなくなった。ストップの原因は燃料系のトラブル。残念ながらわずか56周でリタイアとなり、初夏の富士ラウンドを終了することとなった。